2017.05.18

夏涼しく冬暖かいエコで快適な木の住宅

夏涼しく冬暖かいエコで快適な木の住宅

安心安全な構法を選ぶことで“家族を守る城”を実現

家族の将来を見据え、家を建てることにしたKさん。耐震に優れ、安心安全な構法をリサーチし、SE構法にたどり着いた。「この構法を選んだことで、一家の主としての責任の第一歩を果たせたと思っています」と、お嬢さまが生まれた今、改めて実感しているという。家は大切な家族を守る城。地震などの災害時には倒壊した家が凶器となる恐れもある。
1995年の阪神淡路大震災の教訓から生まれた、一棟一棟構造計算を実施する耐震構法のSE構法の家は、東日本大震災や熊本の震災でも一棟も倒壊せずに残っている。「データに裏付けられた強度や地震による倒壊の例がないという実績に、この構法ならば大丈夫だと直感しました」とKさんは語る。
その後、SE構法を得意とする関西エリアの工務店を検索し、楠亀工務店を知った。見学会やセミナーなどに出席するうち、耐震構造以外にも家づくりに大切なさまざまなポイントを知ることができた。コストに関しては、最初に投資するイニシャルコストだけでなく維持するためのランニングコストこそ重要で、自然のエネルギーを生かし、効率よく快適な環境を重視するという楠亀工務店のポリシーに納得した。設計担当の田辺俊也さんとともに、緻密な計算を繰り返したという。

足元からじんわりと温める床下エアコンで全室内調整

「高気密高断熱にすることで光熱費は抑えられます。『ダブル断熱』と『基礎断熱』仕様の両方を採用し、エアコン1台で家全体が適温に保たれる『床下エアコン』を導入しました」と語るKさん。L字型の広々とした間取りに吹き抜けの大空間でも、14畳用の標準エアコンで十分だという。「基礎空間である床下のスペースを温めることで足元からじんわり温めるシステムです。温かい空気は上に上がっていきます」。天井にとどまった温かい空気は、シーリングファンで撹拌することで均等になり、大きな空間でも同じ温度で過ごすことができる。「逆に夏は、2階でエアコンをつけることで冷えた重い空気は下へ流れ、温度が一定に保たれます」。床下エアコンは快適であるうえに、コストもかなり抑えられているという。
2年目の冬を迎えた今年は、室内の温度や湿度などのデータを記録して、より効率よくエネルギーを利用する方法を研究しているそう。「最近は遠隔でリモコン操作ができるアプリを使って外からでも温度や湿度を確認し、調節することも。この木の家での暮らしをより心地よくするために、日々探求しています」とKさん。家族がいつでも快適に過ごせる家を目指している。

全館快適な機能を生かしたすべてがつながる大空間

室内どこにいても快適だという「土台」があるため、その機能を生かしたのびのびとした間取りを自由に描けた。「L字型の大空間にすることで、キッチン、ダイニングとリビングをコーナーに分けて過ごせます。キッチンとダイニングの高さをそろえて一続きにできるよう、調理スペースの床は一段下げてもらいました」と奥さま。この大空間は、レッドシダー材で仕上げた天井のラインとも調和して美しい。キッチンスペースの床は掃除がしやすいタイルを選んだ。また、テレビボードやキャビネットなど、家具のほとんどは造作で、空間にバランスよくとけこんでいる。リビングのマガジンラックの下部に設置した床下エアコンは、目立たないように格子でカバー。収納を充実させ、無駄な要素がない空間にすることで、硬質でクールさのあるLDKが完成した。
2階の寝室と子供室の間には、採光ができる欄間のような開口を設け、風通しをよくした。リビングからつながるテラスは広く、室内と外がリンクしているような開放感がある。「天気のいい日にはピクニックのようにテラスで食事をします。これから庭を整えていくのが楽しみですね」。Kさん一家の楽しみは膨らむばかりだ。

取材・文 間庭 典子

K邸

設計 田辺俊也(楠亀工務店) 施工 楠亀工務店
所在地 滋賀県大津市 家族構成 夫婦+子供1人
延床面積 112.27㎡ 構造・構法 SE構法

この家を建てた工務店

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