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美しさと、強さと、自分らしさ。
[レポート]木の家づくりの資金プランを学ぶ「木の家セミナー」|木の家の選び方・重量木骨の可能性
講師:田鎖 郁男
(株式会社エヌ・シー・エヌ代表取締役社長)

木の家づくりを学ぶ「木の家セミナー」レポート。

ここは重量木骨の家の住宅体感会レポートについて紹介しているページです。

「木の家セミナー」は、重量木骨の家「春の全国一斉体感会」の特別企画として、5月に東京・名古屋・大阪で開催されました。講師の田鎖 郁男は『木の選び方 5つの法則』(ハウジングエージェンシー)、『資産になる家・負債になる家』(建築技術)の著者。今回は、その著作で提言している、資産になる家づくりと、木の家づくりのための5つのポイントを具体的に説明いたしました。ここでは、5月13日(土)、東京・品川プリンスホテルで行われた講演から、「資産価値のある家」と「新しい設計の概念、スケルトン&インフィル」についてご紹介します。

日本の家は負債形成、アメリカは資産形成。

いま、どんどん地価が上昇しています。金利もこれから上昇傾向です。そうすると長期固定金利の住宅ローンで買うのなら、いまがチャンスといわれています。このグラフを見てください。

日本型住宅資産グラフ、アメリカ・イギリス型住宅資産グラフ

これは日本不動産協会が出している資料ですが、住宅のローン残高と住宅の転売価値を表しています。10年経つと、住宅ローン残高のほうが転売価値よりも大きくなります。こういうのを「負債」といいます。借金して買った物件が、いま売っても借金が返せない状態です。実は、日本で住宅を建てる、住宅ローンを組むということは「負債形成」といわれています。いままでそれが問題として表面に出て来なかったのはなぜかというと、土地の値段が上がっていたからです。それでバブルが崩壊したときに、みんな困った!となったわけです。
アメリカやイギリスでは、建てて10年経った中古住宅のほうが新築価格よりも高い、という現象が起きています。私の家内も、いまから16年くらい前にアメリカに住んでいて、6年前に転売しましたが、20万ドルで買った家が30万ドルで売れました。もちろんローン残高が出ますよね。では15年経つとどうなるかというと、儲かるんです。こういうのを「資産形成」といいます。住宅が次に売ったときに、前に買ったときよりも高く売れば、それは資産形成となります。

10年後資産になる家とは。

アメリカでは新築の数が160万戸、ところが中古住宅が511万戸も売れているんです。日本は117万戸新築をつくっていてですね、中古住宅として売られるのが16万戸しかないんです。

新築住宅着工戸数と中古住宅取引戸数の国際比較

これはどうしてかというと、日本の場合、20年以上経った家は耐震強度が弱く、危険だから売ってはいけないし、それと当時の木造にはルールがないので売れないんです。アメリカでは住宅を中古住宅流通に流すときは保証制度、検査制度、保険といった、中古住宅を買った人が安心できるシステムがあります。ですから、アメリカでは家が資産となり、負債のない家というのがあるんです。
保証についても、アメリカでは制度がしっかりあって、第三者の人がちゃんとチェックします。建てた本人でない人が検査したものしか信じられないからです。日本では、例えばハウスメーカーが自社でつくった家を検査しました、一生懸命やりました、写真も見せます、安心です、ということで通用していますが、アメリカでは建てた本人が検査したものは信用されません。今後、日本もそうなっていくと思います。ですからいま、皆さんが家を建てるときには、構造が少なくとも10年以上保証されていること、第三者が検査していること、その証書があること、これらが今後10年で資産化できるためのポイントになると思います。

壁で仕切らないと、ここまで広く明るくなる。

私たちエヌ・シー・エヌは、これまでの木造在来工法による、つっかえ棒(筋交い)だけで家をつくるというルールを早く変えよう、と提案しています。木造住宅でも、大型建造物と同じように、ちゃんと構造計算しましょう、つっかえ棒の数は最低にしましょう、と。だからきちっと計算しています、ちゃんと実験しています、シュミレーションします。そうすると建物はつっかえ棒がなくても、きちっと耐震強度は保たれ、阪神淡路大震災に耐えられる建物がつくれるんです。長く使えて変えられる、そして明るい。広く作れば、間取りは自由につくれます。こういう概念を専門用語で「スケルトン&インフィル」といいます。

スケルトン&インフィル別

スケルトンというのは透明とか骸骨ということではなくて、骨組みのことです。インフィルというのは、収納も含めた家具・内装のこと。これを別々に考えましょう、という概念がスケルトン&インフィルで、いま、だんだんと広がっています。この図面を見てください。

平面図

このパネルのなかには、つっかえ棒は入れません。筋交いを入れずに、これだけで持たせます。そうすると、例えばこんな間取りで家をつくりました。

筋交い

最初はこういうふうに使っていました。家族が増えたから1部屋増やしましょう。着るものが増えたから収納を増やしましょう。でも、いつでもその人がいなくなったり、その荷物がいらなくなったら、自由な空間になるというのが、いま、建物にとっていちばん重要で、そして贅沢なつくり方です。例えば仕切りをはずすと、とても明るい空間になります。
これが普通の家のつくり方だと、壁をつくってしまうんですね。先程のプランを見ていただいて、真ん中に庭をつくるとすると、ここはつっかえ棒が全然ないので、とても明るい。これが外側から見ると、こんな空間になっているわけです。

明るい空間

皆さんはリビングの広さということをおっしゃいますが、例えば床を12畳分張ったとします。そうすると、リビングの大きさも12畳と呼ばれるんです。これは空間としては、20畳分の部屋と同じなんですよね。屋根をつければ部屋になります。スケルトン&インフィルというのは、こういった使い方のことです。ですから仕切らないとリビングも、こんなつくりになります。

広いリビング

家族とともに成長する家。

いま、いい建物の写真ばかりをご覧いただいていますので、気が付かれないと思うんですが、分譲住宅の建売り現場に行きますと、絶対にこういうことはしません。普通に壁を入れます。筋交いが入っている、外れない壁が入っています。でも、ちょっと家具で仕切ってみて、この壁を最初から付けないとどうなるか。スケルトン&インフィルでは、後から壁をつくるというのは非常に簡単にできるんです。広くつくっておいて、ちょっと家具で仕切ってみる、これで十分なんです。この写真は2〜3歳くらいのお子さんのいる家庭です。

家具で仕切り

この方はですね、この部屋を全部ワンルームにつくられました。将来、あの区画のなかを子供部屋にするご予定なんですが、わざと低い家具を置かれました。お子さんからは見えないけれど、お母さんからはちゃんと見える。お子さんが囲みのなかで遊んでいても、十分に納まり、1人できちっと遊べて、友達とも遊べる。でも、お母さんからはよく見える。年齢に合わせて、このパーテーションを延ばしていく。そんなライフスタイルを、スケルトン&インフィルは提案できるんです。
それではもうひとつ、階段編をお見せします。

階段

右の階段と左の階段の違いは何でしょう?皆さんから見て右側の階段のほうが、部屋が広いですよね。左側のほうが狭いです。でも皆さんは図面で見たら、この違いはたぶんお分かりにならないでしょう。先程の分譲住宅の図面を見ていただくと、筋交いが入っている壁があそこに入っているかどうか、分からないと思います。図面上では、2本の線が引いてあるだけなんです。これは、手すりで壁です。空間の広い、狭いというのは、こんなところで決まってきます。これもスケルトン&インフィルの考え方です。

屋上に庭をつくるという発想。

スケルトン&インフィルからのもうひとつの提案は、屋根を三角にしなくてもいいんじゃないですか、ということです。昔の屋根は瓦が乗っていたので、三角でないと困りました。でも、いまの建築のルーフィング技術は進んでいます。家のなかでいちばん明るくて、いちばん風通しがよくて、気持ちのいいスペースをつくりましょう、ということをご提案します。例えばこんなことです。

屋上庭

屋根は建築面積に入っていません。せっかく高い土地をおもちになっているのですから、この屋上を有効に利用するということが、SE構法の準ラーメン構造。構造計算をしていれば、最大限に使っていただけるということなんです。ここは、坪150万くらいの土地です。そこに庭を買おうと思ったら、このルーフバルコニーというか、屋上をつくるコストよりも土地を買うほうが高いです。土地を買ってもそこには日が当らないし、暗い。子供が遊べない。こうすれば、十分コストメリットのある庭が、建物の上にできるということです。

構造を考えることからはじめよう。

スケルトン&インフィルという考え方で家をつくる。重量木骨というこの骨組みで、何の変哲もない木材に見えますけども、私たちのこういったものの考え方が詰まっています。見た目の豪華さやキッチンの仕様だけ、値段だけ、坪単価だけが先行してしまいがちですが、少しでも構造のことをお考えいただいて、将来のことをお考えていただいて、家づくりを楽しんでいただけたらな、と思っています。

プロフィール田鎖 郁男(たくさり・いくお)

田鎖郁男

1965年埼玉県生まれ。
1989年、千葉大学工学部卒、日商岩井入社。木材本部で木材の輸入などを担当した後、96年株式会社エヌ・シー・エヌへ出向。98年同社入社、取締役。
2000年6月から代表取締役専務、2006年6月から現職。
著書に『木の選び方 5つの法則』(ハウジングエージェンシー)、共著に『資産になる家・負債になる家』(建築技術)がある。

 
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