2018.08.02

キッチンから家族を見守る住宅密集地のI型LDK

キッチンから家族を見守る住宅密集地のI 型LDK

夫婦2人と4匹の犬のためのコンパクトで暮らしやすい家

広いLDKとテラスがつながった心地いい空間。ダイニングの上には天窓があり、やわらかな光が降り注ぐ。Tさんご夫妻と4匹のシュナウザーたちは、一日の多くをこのLDKで過ごすという。ラガーマンだった3人の息子さんたちはそれぞれ独立し、今は夫婦二人暮らし。以前、一家5人で暮らしていた家のガーデンスペースだった場所に、ご夫妻と犬たちにとって暮らしやすい、コンパクトな新居を建てた。

家族や友人を招く機会も多く、LDKはパーティルームとしても活用できるように設計した。時には20人以上のゲストが集まるため、キッチンからダイニング、リビング、外のバルコニーまでを一直線につなげて、仕切りのないワンフロアに。子や孫世代もそれぞれが好きな場所に集まって座ることができ、かつ、みんなで同じ空間で過ごすことができる。この空間に配置された家具や照明、食器などのインテリアは、すべて北欧のデザイナーもの。好きなものだけに囲まれて暮らすのが夢だったという奥さまが揃えた。また、ゲストを招きやすいように、玄関は広めにとって、ギャラリースペースを設けた。ここに好きな雑貨やアートを飾るのも、日々の楽しみとなっている。

快適な空間を築くコツはプロの意見に耳を傾けること

その分、プライベートな空間はコンパクトに。使い勝手を重視し、1階はご主人の書斎兼寝室、3階は奥さまの寝室と好きに使える予備室と、使用者ごとに部屋を各階に振り分けた。トイレに貼った北欧の建築家兼デザイナー、アルネ・ヤコブセンの壁紙も、1階はクールな幾何学柄を、3階は花柄を採用し、それぞれの好みに合わせている。

実は、この花柄を一目で気に入った奥さまは玄関にも使用して花畑のようにしたいと考えたそう。「でも、内装担当の西山礼美さんに伝えたら『色鮮やかなこの柄はパーソナルな場所のみで』との提案が。玄関を自由に飾れ、正解でした」。T邸を手がけたTIMBER YARD/コージーライフは、チーム制で設計・インテリアを請け負うプロ集団。建て主の希望を汲みつつも、プロの視点から、家全体としてのバランスや機能の重要性を説いてくれる。たとえば、キッチンにも飾り棚をつくりたいと希望したが、設計担当の小林辰彦さんはテラスと対になる窓は風の通り道として絶対に必要、と主張した。「結果、夏でも涼しく快適に過ごせます。うちではこの窓を『小林窓』と呼んでいるんですよ」とご夫妻は笑う。

細部までカスタマイズ可能その自由さが注文住宅のよさ

そんなTIMBER YARD/コージーライフとの家づくりは、「どんな小さな注文にも応え、最善の判断をしてくれるという安心感がありました」とご主人。愛犬家の並木 浩社長が犬たちの健康まで考え、「犬の脚に負担の少ない、やわらかなオーク材がいい」と床材まで提案してくれたことに驚いたそう。来客時に犬たちが過ごすこともある作業スペースの扉はルーバーにし、空気や光を取り入れつつも、来客の気配はあまり伝わらないようにした。「外の気配を感じないだけで犬たちは安心するものなんです。また、キッチンに入らないようにするガードも、プラスティックの市販のものが嫌で、キッチンと同じ素材でオーダーしました」と奥さま。これから長い年月を過ごすことになる家の隅々まで理想を追求したT邸――注文住宅のよさを日々実感できる空間が誕生した。

取材・文 間庭 典子

T邸

設計 TIMBER YARD/コージーライフ 施工 TIMBER YARD/コージーライフ
所在地 千葉県千葉市 家族構成 夫婦+犬4匹
延床面積 134.97㎡ 構造・構法 SE構法

この家を建てた工務店

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