2020.05.18

多機能LDKから庭を見渡す日だまりの家

目に鮮やかな緑と木のぬくもりに包まれた空間

週末の模様替えが楽しい
シンプルで広々としたLDK

 
千葉県船橋市の小高い丘に立つY邸のLDKは、雑木に囲まれたガーデンに面している。このLDKは1階のほとんどの面積を占め、自由に間取りを変えられる大きなスペースにした。
「我が家では模様替えが趣味のようなもの。週末、時間ができると気分転換に2人で家具を動かしています」と奥さま。柱や壁に邪魔されないのびのびとした空間ならではの暮らし方を実践。最近はキャビネットを間仕切りにし、奥を書斎のようなコーナーにした。「定位置ができてしまうのでソファは置かず、好きなときに好きな場所で過ごせる空間づくりをしています」とYさんは語る。
キッチンも単に調理する場ではなく、インテリアの一部となるようTIMBER YARDが造作。例えば、照明やグリーンをつるすために付けた天井のバー。「スチールの味気ないポールは嫌だったので、構造部分を利用して取り付けてもらいました」と奥さま。キッチン周りの棚は赤みのあるチェリー材を選択。隠す収納と見せる収納を考えて、メリハリもつけている。「棚の一部は取り出しやすく、お気に入りの食器やキッチンツールを飾れるようオープンにしました。キッチン横の壁をニッチにして、こまごまとしたものが置ける小さな棚も作っています」と奥さま。この棚はリビング側から見えないため、すっきりとした印象に収まっている。また、冷蔵庫のサイズに合わせて壁を調整し、凹凸が目立たないよう工夫もした。
 

明るく風通しが良い
閉塞感のない空間づくり

 
家全体を明るくヌケ感のあるスペースにするため、小さな工夫も各所にちりばめた。「例えば1階の洗面スペースは壁で囲まず、上部を開放して階段からの光を取り込めるようにしました」と設計を担当したコージーライフの高石幸子さん。2階の寝室も極力壁で遮断せず、腰壁で緩やかに仕切っている。さらに寝室から続く廊下には腰の高さの書棚を造作し、読書コーナーとしても活用できるようにした。
公道に面した玄関脇やトイレ前の廊下は上下に開口を設けて採光し、格子を取り付けたり、植物を置くなどして、外からの視線を遮っている。トイレの壁の下には、犬が通り抜けられる小さな出入り口を開け、夜間でも愛犬が自由にトイレに行けるようになっている。
玄関を入って廊下を進むと洗面所があり、帰宅後すぐに手洗いへ直行できる。そのままLDKへも、ランドリーを通って浴室やキッチンへも抜けられる回廊式の動線を確保している。庭へはリビングの窓からも、キッチンの勝手口からも出入りでき、駐車場のゲートからも直接入れる。子供も犬も家と庭を思いっきり駆け回れる自由さがある。
 

家造りイコール庭造り
屋外も思い通りにDIY

 
LDKと庭をつなぐのはYさん自作のデッキ。夏の日差しを和らげ、植物を絡ませるための棚、パーゴラも軒下にDIYするなど、アウトドアの空間づくりも楽しんでいる。また、この家の顔のひとつが大きな出窓だ。飾り棚にもなり、ベンチとして腰掛けることもできる。時にはお子さんの遊び場やデスクにもなるスペシャルなスペース。庭へとせり出しているため、外部と内部との境界線をあいまいにするという効果も期待できる。
室内と屋外、グリーンを肌で感じられるLDKと庭。Y邸は家全体が木のぬくもりに包まれ、心地よい自然と調和している。
 

取材・文/間庭典子

Y邸

設計施工 コージーライフ 所在地 千葉県船橋市
家族構成 夫婦+子供1人+犬 敷地面積 211.55㎡
延床面積 107.03㎡ 構法 木造SE構法

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