2016.12.01

ミックススタイルが馴染むウッド×アイアンの空間

ミックススタイルが馴染む
ウッド×アイアンの空間

技術の革新でより広くより快適に過ごせるように

千葉市の閑静な住宅街にあるW邸。この敷地にはもともとご主人の実家があり、家を継ぐことになって新築に踏み切ったそう。「実家もまだ築15年ほどだったのですが、リフォームする金額を考えたら建て替えたほうが経済的だと気づき、決断しました」とご主人。
新築にあたって必須条件にしたのは「木の温もりを感じるフローリングの床」「新築でもヴィンテージ家具が馴染む空間」「開放的なLDK」の3つ。実は、建て替え前は1階にお父さまの事務所があり、部屋数も5つと、今より2部屋多かったため、広い空間がなく生活しづらかったという。そこで1階をLDKのみのワンフロアにし、寝室などプライベートスペースは2階に。吹き抜けと庭側の開口を大きくとった。「光の入り方や風の流れが考慮されているため、夏も冬も快適です。結露やカビに対する苦労もなくなり、掃除が格段に楽になりました」と奥さま。以前の家を建ててから約15年の間にそこまで住宅の機能が進化していることに驚いたという。

スケルトンの室内窓や吹き抜けで「抜け」を演出

家づくりのパートナーに選んだのは、木材卸の並木木材を母体とし、モダンな木の家づくりを得意とする工務店のTIMBER YARD/コージーライフ。千葉市郊外の工業地帯にある同社には、インテリアショップ「ティンバーヤード」とカフェ、モデルハウス「ギャラリー」が併設されており、ご夫妻は以前、カフェに訪れたことがあった。そのときの温かい雰囲気に好感を覚えたのを思い出し、新築にあたってコージーライフの扉を叩いた。
新築でも温もりのある家にしたいという希望は最初に伝えた。「木材に詳しいことや、インテリアも相談できるというメリットもありますが、こうしたい、という感覚をすぐに理解してもらえる安心感が大きかったですね」とご主人は振り返る。
W邸で特徴的なのが192㎜と幅広のオーク材のフローリング。自然オイル仕上げの無垢材なので蓄熱性があり冬でも暖かい。もともと木材店であったコージーライフは、「もっといい木材に触れ、そのよさを体感してほしい」という気持ちから、海外からの直輸入を行い、コストを抑えているという。「一括して大量購入することで、この標準価格が可能になったそう。ありがたかったです」とご主人。
また、玄関ホールとLDKの間の室内窓も印象的だ。通常壁になる部分に「抜け」をつくったことで空間を広々と見せることに成功した。ギャラリー(ショールーム)で見た木枠の室内窓をシャープな黒で取り入れたいと考えていたご夫妻。「壁一面を窓とせず、下の部分に壁を残すつくりにして、視線は通しつつ、適度なプライバシーを確保することで落ち着ける空間にしています」と設計担当の羽生加奈子さんは語る。ご夫妻の「こうしたい」に対して、より快適に、より効率よく生活できるよう専門家の視点で調整を加えている。

自分たちで選び、創造した満足度の高い家が実現

家づくりに際して、ご夫妻はキッチンの棚につけた真鍮のハンドルなど、パーツ探しも楽しんだという。「福生のヴィンテージショップをめぐったり、とにかく歩きましたね」とご主人。「イームズ」の椅子にアフリカの工場の作業台だったというデスクを合わせるなど、さまざまな国や要素を組み合わせたミックススタイルも美しく調和している。
コージーライフは家具や雑貨のショップも経営し、インテリアコーディネイターも常任しているため、細やかな相談にも対応してもらえた。「選んだパーツに合うバランスで棚を設計してもらったり、ランプの位置などの細部も相談しながら決めました」とご主人。結果、自分たちでつくり上げたと実感できる満足度の高い家に。「将来は子供の成長に合わせてその都度レイアウトを変えようと思っています」。これからますます、自由度の高い住み方を実践する予定だ。

取材・文 間庭 典子

W邸

設計 羽生加奈子(コージーライフ) 施工 Timber yard
所在地 千葉県千葉市 家族構成 夫婦+子供1人
延床面積 110.47㎡ 構造・構法 SE構法

この家を建てた工務店

MLWELCOMEの新着記事

MLWELCOME

MLWELCOMEは『モダンリビング』誌と「重量木骨の家」とのコラボレーションで特別編集されたムック本として2015年10月に発行されました。厳選された木造住宅の実例をウェブサイトでもご覧ください。