【おしゃれ実例】中庭のある家のメリット&デメリット、つくり方のポイントをご紹介!

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家の中を明るく保ちつつ、プライベートな庭空間を確保したい。そんな希望を叶える方法のひとつが「中庭」のある家づくりです。中庭があることで、人目を気にせず安心してくつろげるほか、目の届く範囲で小さなお子さまを安全に遊ばせることができるなど、さまざまなメリットがあります。今回は、そんな中庭のある家について、メリットやデメリット、家づくりのポイントや間取りのアイデアをご紹介します。
中庭のある家とは? 坪庭との違いも
中庭とは、建物や塀に囲まれた屋根のない屋外の庭のことを指します。外部からの視線を遮りながらプライベートな空間を確保できるため、食事を楽しんだり、リラックスして過ごしたりと、多目的スペースとして一年中活用できるのが特徴です。一方の坪庭は、一坪ほどの小規模な庭のことで、室内から眺めることを主な目的とした造りになっています。生活空間の一部に自然の風景を取り込む役割を果たし、視覚的な癒しや季節の移ろいを楽しむための存在といえるでしょう。
中庭のある家の形状
中庭のある家をつくりたいのなら、中庭のパターンを知ることから始めましょう。中庭のある家にはいくつかの形があります。代表的なのは以下の4つの形です。
コの字型
家をコの字型に設計することで、中庭スペースを確保できます。庭を三方から囲む形になるため、近隣の視線をほどよく遮りつつも、一方は開かれているため、閉塞感のない開放的な雰囲気を演出できます。四方のうち一方に壁がないことで、中庭そのものにも抜け感が生まれ、風通しや日当たりも良好。植物を育てる環境としても適しており、快適な屋外空間をつくることができるでしょう。
ロの字型
文字通り、家を上空から見たとき「ロ」の字をした家の中央部分にある庭です。中庭を四方から囲んでいますので、完全にプライベートな中庭にできるのがこの方法です。家のどこに居ても中庭からの光を受けることができる明るい空間が出来る一方で、建物の中に庭を“内包”する必要があることから、広い敷地が必要であること、庭の排水に細心の注意を払わなければならないという面があります。
L字型
建物がL字型に庭を囲んでいるパターンです。外壁2面分にしか接していないため、コの字型やロの字型に比べて建物の凹凸が少なく、比較的建築コストを抑えやすいのが特徴です。また、建物に囲まれる範囲が少ないため開放感を感じやすく、光や風も取り込みやすいというメリットもあります。敷地面積が広くなくとも採用しやすい間取りのため、都市部にも適しているといえるでしょう。
町屋型
部屋が庭を囲むロの字型と違って、家の中を進んでいくと庭が表れて来るタイプです。町家の特徴としてはウナギの寝床と呼ばれる細長い作りの家ですが、その中でも中庭を持つ例もいくつかあります。現代の狭小住宅にも取り入れたいのが、限られた敷地でも実現できる中庭のつくり方。こうした工夫を知っておくことは、家づくりにおいて大いに役立ちます。
中庭のある家のメリット
中庭のある家は、生活するうえで欠かせない「明るさ」「開放感」「安心」をもたらしてくれます。特に以下の点が大きなメリットです。
自然光をたっぷり取り込める
家づくりにおいて、どうしても譲れない条件のひとつが「明るさ」ではないでしょうか。しかし、一般的な間取りでは、どうしても日が差し込まない部屋ができてしまうことがあります。とくに北側に面した部屋は、日中でも照明が必要になるケースが多いのが現状です。
その点、中庭のある家であれば、どの部屋にも中庭を通して太陽光を取り入れることが可能になります。通常、北側に位置する部屋は自然光が届きにくいのですが、コの字型やロの字型の間取りで中庭を設けることで、たとえ敷地の北側にある部屋でも、南向きの開口部を設けることができます。これは、注文住宅だからこそ実現できる設計の工夫といえるでしょう。
プライベートを確保できる
もし庭をアウトドアリビングとして使いたい場合や、小さなお子さんを安心して遊ばせたいときには、中庭がぴったりの選択と言えるでしょう。コの字型やロの字型の住まいなら、建物に囲まれた位置に庭をつくることになるので、自然とプライバシーが守られる空間になります。隣の家や通りからの視線を遮りながら、くつろいだり遊んだりと、自由に過ごせるでしょう。
また、中庭の仕上げにもいろいろなスタイルがありますが、ロの字型の場合は水はけのことも考えて、土のままよりタイルなどで仕上げるのがおすすめです。小さなお子さんがいるご家庭なら、実例のように人工芝を敷いてあげると、クッション性がアップして、転倒時のケガの予防にもつながります。
風通しがよくなる
春や秋など気候のよい季節には、窓を開け放つことで家中に風が通り、空気を循環させることができます。特にコの字型やロの字型の住まいは壁面が多く、それに合わせて窓の数も増えるため、1年を通して風通しのよい家になります。
なかでも中庭に玄関が面している場合は、大きなメリットがあります。玄関を開けた瞬間に中庭の明るさや緑が目に入るのはもちろん、玄関という空間自体を豊かに演出できます。リビングや個室に比べて、玄関のデザインは後回しにされがちですが、実例のように中庭に面していることで、広がりを感じる印象的な空間になります。来客時にも、外からは想像できないような開放感と驚きを与えられる、そんな玄関づくりが可能になります。
防犯性が高まる
中庭のある家の安全性の高さには、いくつかの理由があります。まず、周囲を建物で囲まれた中庭は、外部からの視線を制限し、プライバシーを確保できます。この結果、不審者にとっては内部の様子が見えず、侵入しづらいと感じるでしょう。また、中庭のある家では、家の外側に大きな開口部が少ないことから、セキュリティの管理もしやすくなります。このことから中庭のある家は、住まいの安全性が向上し、安心して生活できる環境を提供しているといえるでしょう。
自然を身近に感じられる
中庭のある家は、建物が中庭に面しています。各部屋が庭に向かって開かれているため、自然光をたっぷり取り入れることができます。これにより、家の中に自然な明るさが保たれます。また、中庭には、植栽や観葉植物などが置かれることも多いので、室内にいながら、自然の緑を楽しむこともできます。中庭があることで、明るく開放的な雰囲気を感じられるだけでなく、自然の美しさも居住空間まで届きます。住まいが自然と一体となり、穏やかでリラックスした環境が生まれます。
多目的スペースとして活用できる
中庭は、ただ自然を楽しむ空間というだけでなく、ライフスタイルに応じて多目的に使える柔軟なスペースです。子どもが安心して動き回れる遊び場になるのはもちろんのこと、ペットの専用エリアにしたり、BBQやティータイム、DIYやガーデニングなどを楽しむ場として幅広く活用できます。隣家や道に直に接していないため、煙や騒音で迷惑をかける心配が少ないのもメリット。中庭のある家は、オープンな庭がある場合よりも自由度の高い家といえるでしょう。
中庭のある家のデメリット
「中庭のある家」にはメリットだけでなく、注意しておきたいデメリットもあります。こうした点を見逃さずに検討することで、より満足度の高い家づくりにつながります。
建築費用が高くなる
中庭のある家を建てる場合、庭に面する壁が増えるため、外壁の面積も広くなり、その分、材料費がかさんでしまうことも。また、建物の形が複雑になることで構造的な強度をしっかり確保する必要があり、その点でもコストが上がる傾向にあります。また、中庭を「四季を楽しむ場」だけでなく、他の部屋とつなぐ通路やアウトドアリビングのように楽しみたいと考える場合には、外構工事や屋外用の照明、給排水設備などの工事が必要になるため、そのぶんの費用も見込んでおくと安心です。
メンテナンス費用が高くなることがある
外壁の塗装や防水など、10〜15年ごとに必要になる家のメンテナンスは、外壁面が多く形が複雑な家ほど費用がかかりやすくなる可能性もあります。また、日々のお手入れについても、中庭のある家は窓が多くなりがちで、特に2階の窓や外側の掃除は、自分でできるか業者に頼むかを考えておく必要があります。注文住宅を検討する際は、こうしたメンテナンス面も含めて打ち合わせしておくと安心です。
中庭のある家づくりで後悔しないためのポイント
中庭のある家で心地よい暮らしを実現するためには、設計やメンテナンス方法にも気を付ける必要があります。豊かな暮らしを夢見て造った中庭で「こうしておけばよかった」と後悔しないためにも、あらかじめ知っておきたい大切なポイントをご紹介します。
間取りや動線を工夫する
中庭のある家を建てる際、敷地面積には限りがあるので生活スペースに多少なりとも影響が出てしまいます。暮らしが不便にならないよう、必要スペースの優先順位をつけて間取りや中庭の広さを考えましょう。また、どの部屋から中庭が見えるのか、どこを経由してアクセスできるのかを丁寧に検討することで、空間のつながりと暮らしやすさが格段に高まります。
キッチン越しに子どもが中庭で遊ぶ様子を見守れる配置は子育て世帯に人気ですし、リビングやキッチン、洗面室など、家事動線に関係する間取りはしっかり検討したいところ。家づくりの早い段階から「どこで・誰が・どんなふうに中庭を使うか」をイメージしながら計画を立てることが、満足度の高い住まいを実現する鍵となるでしょう。
虫や湿気問題の対策を考える
中庭は外とつながる開放的な空間だからこそ、虫や湿気といった自然環境の影響も想定しておく必要があります。中庭の水はけが悪いと湿気や蚊などの虫が発生しやすくなってしまうので、水はけの良い素材を選び、傾斜を設けて排水性を高める工夫が必要です。虫に関しては、夜間照明の選び方や、植栽の種類・配置によって、寄せ付けにくくすることも可能です。例えば、ハーブ系の植物は見た目もおしゃれで虫よけ効果もあるためおすすめ。こうしたちょっとした配慮の積み重ねが、日々の暮らしの快適さを大きく左右します。
お手入れしやすいデザインを考える
理想の中庭を実現するためには、見た目の美しさだけでなく、日々のお手入れのしやすさも大切なポイントです。中庭は日常的に目に触れる場所でもあるため、キレイな状態をキープしやすいよう、設備や素材には手入れの手間を最小限にする工夫を取り入れておくとよいでしょう。
例えば、砂利や防草シートで雑草を減らす工夫をしたり、植栽を植えすぎず、掃除のしやすいシンプルな形状にすることも効果的です。また掃除道具の収納場所や、屋外用の水栓の位置など、実際の暮らしを想像しながら細かい設計を詰めておくと、長く快適に中庭を楽しめるようになるでしょう。
中庭づくりに向いている植物
中庭に取り入れる植物は、デザイン性とメンテナンス性のバランスが大切です。例えば、シンボルツリーとして人気の高い「シマトネリコ」は風に揺れる姿が涼しげで、ナチュラルな雰囲気の中庭によく合います。「オリーブ」は虫も付きにくくお手入れもしやすいため、中庭に適した樹種といえるでしょう。また、グランドカバーとしては「タマリュウ」や「クラピア」などが定番で維持管理もしやすく、緑の絨毯のような美しい足元を演出してくれます。
中庭は二世帯住宅の緩衝地帯にも
中庭のある家は、明るく風通しのよい空間を作れるだけではありません。例えば二世帯住宅の場合、適度な距離を保ちながらも自由に行き来できる空間として活用できます。中庭がワンクッションになるという考えですね。お孫さんがおじいちゃん・おばあちゃん世帯に遊びに行くときも安全です。さらに、生活をお互いにそっと見守り、寄り添い合える家にすることができます。
親世帯・子世帯のベストな関係性を、よく「スープの冷めない距離」といいますが、中庭のある家であればまさしくその距離感を保っていられます。干渉しすぎず、気になったときには様子を覗きに行ける、というのは理想的な関係ではないでしょうか。庭を共用していることで、子供は祖父母と一緒に自然に触れ合う事ができ、遊びながら自然の大切さを学ぶことが出来るかもしれませんね。
【実例10選】おしゃれな中庭のある家の間取りアイデア
白いタイルの自然とつながる中庭
2階のバルコニーからも眺めることができる中庭は、南側の光を集めてくれる場所。中庭の白いタイルは太陽光を反射し、リビング全体に柔らかい光が広がります。グリーンを育てたり、風を感じながら屋外で過ごせる心地よい空間です。室内側からは目線が抜け、自然とつながるポイントとして、日常の中で安らぎを感じさせてくれそうですね。モダンでありながらナチュラルさもある素敵な中庭です。
2階のテラスともつながる開放的な中庭
こちらの事例は、シンボルツリーを囲むように中央に中庭を据えたロの字型のプラン。中庭にある階段からそのまま2階の回廊型テラスへ上がることができます。室内とフラットにつながる空間なので、アウトドアリビングとしても活用できそうですね。しっかりとプライバシーを守れることが中庭の大きな魅力です。開放的な大空間でありながら、周辺の家からの視線を気にすることなくくつろげる理想的な住まいと言えそうですね。
中庭があるといつも緑を感じられる
ウッドデッキと芝生を設けた中庭。中庭があることで、窓からは季節ごとの景色が楽しめ、広い平屋の採光も確保されています。ウッドデッキは外からの視線が気にならないので、バーベキューも気兼ねなく楽しむことができそうですね。鮮やかな緑が輝く中庭では、家庭菜園やビニールプールで遊んでみるなど、様々なアクティビティに挑戦したくなります。
キッチンと繋がるアウトドアリビングのある中庭
こちらの事例は、リビング・ダイニング・キッチンで中庭をL字型に囲んでいます。タイル張りが魅力の中庭には、アウトドアファニチャーが設置され、居心地の良いアウトドアリビングスペースとなっています。また、バスルームから直接外に出られる動線が確保されており、テントサウナを楽しむこともできます。このように、屋内と豊かな自然を感じられる屋外の境界を曖昧にしたデザインは、家族や友人とくつろぎのひとときを送るのにピッタリですね。
プライバシーの守られた思いのままに過ごせる中庭
こちらの住宅には、コンクリートの三和土と芝生のバランスの取れた中庭があります。コの字型の配置が、プライバシーを確保しつつ中庭の開放感を最大限に引き出すという役割を担っています。芝生の緑とコンクリートの薄いグレーが見事に調和した、美しい空間が広がります。また、写真の手前には、ハンガーバーが設置され、雨の日の洗濯も快適に行える工夫が施されています。
心地よく過ごせるウッドデッキを設けた中庭
建物にコの字型に囲まれたこちらの事例は、芝生が美しく開放感あふれる庭が特徴です。また、建物の開放側には植栽が配置され、プライバシーを確保しつつ、将来的には豊かな緑の美しい景観が実現するでしょう。LDKから庭へと続く大きな開口部は木製サッシを採用し、框が見えないようにデザインされているので、中庭とのシームレスなつながりが生まれています。中庭を挟んだ正面の寝室には大きなウッドデッキがありますが、長い軒が内と外の緩衝地帯となって、心地よい空間が実現されています。
シンボルツリーが美しい中庭
こちらの事例は、バルコニーに設置された鉄骨階段がユニークな仕掛けとなっています。この階段を通って2階のバルコニーへ直接アクセスできるので、建物全体をよりアクティブに楽しむことができます。また、建物で囲まれていない部分の目隠しとして、背の高いルーバーを配置して、隣地からの視線をコントロールしながら通風を確保しています。さらに中庭には、快適なソファを置いて、アウトドアリビングライフも楽しめます。
青い空を存分に楽しめる中庭
こちらの事例は、階段を挟んで2つの中庭が対象的に設計されたユニークなデザインを持つ家です。2つの中庭は、異なる雰囲気を味わうことができます。ダイニングの正面に広がる中庭には、シンプルながらもシンボルツリーが植えられ、穏やかな雰囲気を演出しています。一方で、リビングの正面に広がる中庭は、デッキで覆われており、ヨガや日光浴、BBQなどたくさんのアクティビティが楽しめます。また、リビングと同じ高さにデッキを配置することで、室内との連続性が高まり、空間もより一層広く感じられるようになります。
中庭の存在で書斎がリラックス空間に
こちらの事例は、中庭に面した大きな窓が特徴となっている書斎。中庭側の壁一面に窓を設けることで、自然光を取り込みやすい造りになっています。作業中でも、ふと視線を上げれば緑あふれる中庭の風景が広がり、自然と深呼吸したくなるような心地よい空間です。窓に面して設置された長いカウンターデスクは、大人と子どもが並んで使える広さ。親子で自然を感じながら仕事や勉強を一緒に行える、新しいワークスタイルや子育ての形を感じさせますね。
中庭の緑を大開口から楽しめるリビング
外壁が高く設計されたこの住まいでは、床から天井まで広がる大開口の窓を通して、中庭の緑をたっぷりと取り込むことができます。板張りの外壁の内側に設けられた庭は、まるで木々に囲まれた静かな森のようで、外部の視線を完全に遮りながらも、自然とつながる暮らしを実現しています。LDKは廊下や和室とつながっており、どこにいても中庭の風景や光、風を感じることができる開放的な空間設計。中庭の存在が空間全体にゆるやかな境界を生み、外と内の“あいまいな関係”が心地よい距離感を生み出しています。
まとめ
中庭のある家は、自然の恵みを取り入れながら、周囲の視線を気にせず自由にくつろげる、心豊かな住まいのかたちです。しかしながら強度・建築コスト・間取りといった面での工夫がとても重要な住まいでもあります。
特に、大切な強度面を確保するためにおすすめしたいのが、「重量木骨の家」です。重量木骨の家は、耐震構法であるSE構法を採用しており、木造住宅の中でも最高レベルの耐震性を実現。柱と柱の間隔が広く取れるロングスパンを確保できますので、中庭のある家にふさわしい大きな窓が手に入ります。ぜひ、たくさんの実例を見て、その魅力を実感してみてください。