都市型3階建「新栄の家」 都市部ならではの“狭小”ガレージハウス|重量木骨の家 ガレージハウスコンテスト|重量木骨の家 選ばれた工務店と建てる木造注文住宅
GARAGE HOUSE CONTEST 重量木骨の家 ガレージハウスコンテスト
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応募作品

都市型3階建「新栄の家」 都市部ならではの“狭小”ガレージハウス

コンセプト

ガレージハウスの多くは、複数台の車を十分に停めることができるゆとりのある空間をイメージすることも多いものです。今回のオーナーさまは、元々は郊外に暮らしていた50代半ばのご夫婦とお子さま。年を重ね、これからの生活を見据えた時に、利便性の高い都市部での暮らしを選択されました。
愛車は2台、都市部といえども車社会のためガレージは必須です。“狭小”という一見マイナスに思える条件を逆手に取り、都市部ならではの「車との共存」の在り方を示した住まいとなりました。

●周辺環境と空間構成
敷地は南側接道で道路幅は8m、最寄り駅から徒歩5分の賑わいを感じる近隣商業地域です。1階には玄関と車3台分のインナーガレージ、ワークルームと納戸を配し、2階、3階は居住空間となっています。

●外観デザイン
インナーガレージ横の玄関脇をオーバーハングさせ、玄関先のユーティリティと開放感をつくり出しました。また、隅柱が無いことによってガレージの門型フレームが際立ち、車を迎え入れるような重厚感を演出。一方で、2、3階の居住空間を一つの塊とみせるために、X4通り(インナーガレージ上部)で柱位置を120mmずらしています。ガレージと居住空間、それぞれの「ボリューム感」をデザインすることで、間口の狭い3階建ての箱にリズムが生まれました。

●ガレージを居室の延長として捉える
ガレージの奥には、サイドビジネスの仕事場としも活躍する約4畳のワークルームを配置。ガラスの引き戸一枚で仕切られる2つの空間は、敢えてその繋がりを強く持たせ用途の幅を広げています。
また、適所に設けた窓や引き戸で繋がる廊下や玄関からこもった熱を排出し、空気の流れをつくることで温熱環境にも配慮。メンテナンス性能をあげるためガレージは塗装床を採用しました。
必然的に、狭小地におけるインナーガレージは居室との距離が近くなる。そのことを逆手に取り居室の延長としての快適性も求めました。

●ライフスタイルの変化に応えるガレージ
オーナーさまのご年齢から、これから年を重ねていった時の身体の動き、運転自体をしなくなった時のことも考える必要がありました。インナーガレージは、天候に関わらず乗り入れが楽なことはもちろん、各階の納戸としている空間に家庭用エレベーターの設置を想定しています。ガレージを含んだ上下行き来の負担が減り、車を手放した際には居室へ改装することも視野にいれています。またインナーガレージの良さを活かしたDIYやアウトドア等を愉しむ「趣味の部屋」としての変更も可能です。

●狭小が生む「効率的な間取り」
2階は南側にLD、中央に和室を配置し、その脇にキッチン、奥に洗面脱衣、浴室と続きます。日常LDの一部として使われる和室は、独立した子どもが帰省した際には、寝室として使えるように、90度回転する障子を押し入れ脇に格納。3階には3つの個室を用意し、中央部に共有のWICを配しています。主寝室や子ども室と言ったヒエラルキーをなくすことで、空間に柔軟性を持たせました。限られた広さにどのように空間を落とし込むか、家事動線と浴室の利用頻度、来客の頻度などを比較して生まれたこの配置は、結果的に無駄を省いた効率的な間取りとして、家族の暮らしを支えています。

●SE構法ならではの合理的な解法を示す
インナーガレージは両脇に120mm×360mmの平角柱を配し、5,460mm飛ばしている。シャッター開口幅は約4,700mm。大スパンを飛ばせるSE構法の特徴を活かした設計となっています。
一方で、2階、X6-Y5の柱と耐力壁はあえて残し、X6あるいはY5通りに出てくる可能性があった170mmの柱を避けました。柱と耐力壁を無くしてしまえばより広がりのあるLDと和室をつくることができました。
SE構法は大空間・大スパンを可能にするからこそ、空間のつくり方の選択肢を広げることができます。壁をどこに置くと効率的な設計になるのかを常に意識し、単純に大空間やスパンを飛ばすだけでなく、SE構法ならではの合理的な解法を追求することが重要だと考えました。
この住まいにおいては、上下階方向の柱・耐力壁をある程度合わせることで、柱の本数を減らし、梁背を小さく出できたため、オーナーさまへの費用対効果に繋がりました。

お施主様コメント

都市部のど真ん中に大好きな車を置くことに不安を感じていたので、家づくりの中でもインナーガレージの優先順位は高めでした。敷地面積は27坪程度しかなく、今思えばその間口×奥行きからインナーガレージを見据えた土地選択となっていたかもしれません。
愛車のケア、防犯性、デザイン性、全てにおいて大満足。車以外にも、愛用しているブランドの自転車、高校時代にオーダーした思い出のロードバイクなど、その一台一台をじっくりとメンテナンスする時間も楽しみのひとつで、仕事を引退した時は、ぜひここにオートバイを加えたいと密かに思っています。
家族からも雨の日の乗り降り、買い物後の荷物運びも楽ちんで、人目も気にならないと喜ばれています。欲を言えばもう少し横幅が欲しかったかもしれません。しかし都市部に住むとテーマを決め、最寄りの地下鉄駅まで徒歩5分、徒歩圏内のスーパーに加え、多くの飲食店が立ち並ぶ便利な立地はほかには変え難いものです。10年以内には車は1台になると思うので、それもいずれ気にならなくなるでしょう。都心でありながら車と近い生活が出来て、大変満足した時間を過ごしています。 

車種

車:
メルセデスベンツ AMG A35 2020年式
VW ティグアン 2020年式

自転車:
アレックスモールトン AMGT
BSモールトン
高校時代にオーダーした思い出のロードバイク

建築データ

  • 場所

    愛知県

  • 完成年

    2020年

  • 構法

    SE構法

  • 敷地面積

    89.34㎡

  • 延べ床面積

    199.93㎡

  • 規模

    3階建て以上

施工工務店

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