好きなものをミックスした都会のBOHOスタイル


自由で無国籍なボヘミアンと、NYのソーホーの都会的なイメージがミックスされたBOHOスタイルのリビング。吹き抜けから柔らかい光が降り注ぐ。

2階のバルコニーから見下ろしたリビングの様子。床は手持ちの家具と調和する無垢のナラ材を選んだ。吹き抜けがあるため小さな窓だけで採光は十分。

LDKに隣接した小上がりの和室を遊び場にし、キッチンで作業しながら子供たちと対面できる配置に。来客時は扉を閉めて隠すこともできる。

2階のフローリングは少し深みのある色味を選択。子供室のベッドフレームはハンドメイドで、壁にドット柄のシールを貼ったのは奥さまのアイデア。

寝室は東側だけマリメッコの壁紙を張り、変化をつけた。小窓は外部ではなくリビングの吹き抜けにつながっているため、視線やほこりを気にせず開放できる。南側はバルコニーに面した開放的な設計。壁面収納の上部にも、ゆったりとしたロフト収納を備えている。

1.壁面を書棚にしたロフト階の書斎。公道に面した北側に開口があるが、高さがあるので外部からの視線は気にならない。/2.玄関扉はレッドシダー材で造作。その風合いに合うヴィンテージの家具や雑貨でコーディネートした。LDK、階段、子供の遊び場と客室を兼ねた和室に、直接アクセスできる動線になっている。

3.浴槽と浴槽から下の壁、床はTOTOの「ハーフバス」を採用し、タイルの壁や大きな開口、棚になるニッチなどを造作したハーフユニット浴室。バスルーム全体を造作するより、コストを抑えられるというメリットもある。南側に坪庭を設け、露天風呂のような感覚でくつろげる空間にした。/4.浴室と洗面所の間はガラスにし、より明るく広く感じられるように視覚効果を狙った。洗面台はドレッサーとしても活用するため、一部分をデスクにし、チェアを置いている。

2階のトイレと洗面所の1面にマリメッコの壁紙を張り、同じパターンでそろえて統一感を出した。長いすりガラス窓で採光しているため、照明が必要ないほど日中は明るい。
家族の未来をデザインする白いキャンバスのような家
コンパクトな吹き抜けがもたらす
明るく風通しのいい居住空間
愛知県半田市に立つK邸。海外生活が長いK夫妻の要望は、インテリアコーディネートを楽しめるまっさらな空間だった。スケルトン・インフィルのSE構法なら、幼い2人のお子さんの成長などライフスタイルの変化に合わせ、高いレベルでリフォームに応えることができる。「現在、大阪で一人暮らしをしている母と一緒に住む可能性も考えて、水回りのあるLDKの近くに、ゲストルームにもなる和室を配しました」とKさん。今は仕切りを設けず、リビングの一部となっている。竣工して半年ほどで海外赴任が決まり、一家で渡米。ミシガン州に滞在している間に2人めのお子さんを授かった。帰国後、この和室の壁を塗り替え、のびのびと遊べるプレイルームにした。「和室の向かいにキッチンがあるので、調理をしながら子供たちを見守ることができます」と奥さま。リビングの奥には2階の寝室につながる吹き抜けが。「4.59m×1.82mとコンパクトな吹き抜けですが、十分な採光となり、風が通り抜けます。東側の天井が高くなることで奥行きも生まれました」とK邸の施工を手掛けたニケンハウジングの丹羽八州男社長は語る。「家具や食器、キッチンツールなど、家にあるほとんどがミシガン州滞在時に使用していたものです」と語る奥さまのセンスで、さまざまな文化をミックスした自由なボヘミアンスタイルのリビングが完成した。
コストとデザインという
相反する条件をクリアする方法
K邸をニケンハウジングに依頼する決め手となったのは、不可能を可能にする柔軟な対応だった。「自然光を感じられる浴室を思い描いていましたが、他社に相談すると難しいという否定的な意見が多く、諦めていました。ところがニケンハウジングさんでは、最初のプランでは庭に面した露天風呂のように外に開いた浴室の提案が。思わず『本当にできるんですか?』と聞き直してしまいました」と奥さま。そしてハーフユニットという造作と既存の製品とをうまく組み合わせた手法を採用した。「機能性や耐久性は保証されているけれど味気ないシステムバスと、思い通りのデザインが望めるけれど予算をオーバーしてしまう造作のいい点を組み合わせました」と丹羽社長。バスタブより上の壁はタイルで造作し、Bluetoothスピーカーも取り付けた。機能とデザイン性を兼ね備え、かつ予算内に収まる浴室となった。
信頼できる工務店との家造りで
理想のイメージを実現
規定を少しでも外れると不安要素を挙げて「普通」に戻される他社と異なり、理想をかなえる提案やアドバイスをニケンハウジングでは得られたとKさんは言う。また、自分で探した建材やキッチン機材などを取り入れられるのも注文住宅の強み。「海外のサイトで購入したマリメッコの壁紙を、寝室やトイレなどの1面だけ取り入れることにしました。『このスペースならこの長さで足りますよ』『太陽の光に当たるとこれくらい反射しますよ』など、経験に基づいたアドバイスがとても心強かったです」と奥さまは振り返る。フレキシブルに対応してくれて、理想の空間を一緒につくり上げる高揚感があったそう。
大手メーカーで技術職に就くKさんは、阪神・淡路大震災で被災している。数値に裏付けされたSE構法の耐震性は、技術者の目からも信頼できると確信したのだそう。家は単なる器ではなく家族で描くキャンバス、そう思える住宅だ。
取材・文/間庭典子
K邸
設計施工 | ニケンハウジング | 所在地 | 愛知県半田市 |
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家族構成 | 夫婦+子供2人 | 敷地面積 | 231.28m² |
延床面積 | 128.00m² | 構法 | 木造SE構法 |