Vol.1
@奈良県生駒市 Hさん邸
ライフスタイルや家族の進化にあわせて
自由に広がる家づくりが、SE構法で実現
閑静な住宅街でもひときわ目立つH邸の空に開いたコーナー2面の大開口。
実はこの邸宅はHさん一家にとって2軒目となる注文住宅なのだそう。
1軒目ではかなわなかった理想の大開口がSE構法により実現。
眺望を楽しむセカンドリビングを2階に設けた大空間LDKを、デザイン力のある工務店じょぶとともに作り上げました。
Text:間庭典子/Photo:伊藤 信

2軒目の家も理想は大開口のLDK。
望んだのは天然素材に包まれた家でした
奈良県生駒市の閑静な住宅地にH邸は、立地の豊かさを最大限に引き出した住まいです。LDKは吹抜けを介して2階のセカンドリビングとつながり、二面に開いた大開口から生駒の山々が望めます。

「実は注文住宅の戸建てを建てるのは2度目なのです」と夫の勝亮さん。結婚後、マンション暮らしをしていたのですが、お子さんが二人生まれて手狭になり、新築することに。自由な家づくりができると信じ、1度目は建て売りではなく注文住宅を選んだのだそう。「大手なら信頼できると思い、ハウスメーカーへ。当時から要望はずっと変わらず『大開口のある大空間』が理想だったのですが、仕上がったのはそれとはかけ離れた標準的な家でした」と妻のるみさんは語ります。選択肢が思ったほどなかった、期待したような大空間は望めなかった、などの不満はありましたが、一番、問題だったのが駅からの距離。「あの頃は娘と息子のお稽古ごとや学校の送り迎えで、常に車を運転しているような状況でしたね」と振り返るるみさん。築後、4,5年にして引っ越しを考えるように。そんなときに出会ったのが、最寄り駅から歩いて5分ほどの、現在の土地でした。「駅や公園から近く、坂の途中にある丸みのあるカーブの角地の高台。理想の条件だったので、即決しました」と勝亮さんは語ります。
「土地探しと並行して、依頼先を探しているときに、自然素材の家が好みだとわかり、デザイン的な感覚が合い、かつ無垢材や漆喰などの自然素材を生かした設計・施工を得意とするじょぶに出会い、木造SE構法による家づくりを進めることにしました。


建築家と協働した経験を経て
デザイン性が高い施工が得意に
「じょぶは床材だけでなく、標準仕様として建具や造作家具、キッチンカウンター材まで無垢材を使用。亜麻仁油や植物由来成分を主原料とした、人にも環境にも優しい自然健康塗料リボスを採用しています」とじょぶの礒山哲也社長。リボスは世界で初めて作られた自然塗料で、成分を100%開示した安全性の高い塗料です。調湿性能を損なうことなく、木の繊維に染み込み優しい風合いに仕上がり、木のぬくもりに包まれた家となるのです。


また、様々な建築家が設計した住宅300棟以上の施工を請け負ってきた実績があることもじょぶの強み。「建築家の設計した住宅はデザイン性に富んでおり、高い施工技術と知識が必要になります。建築家の先生の描くプランをどう形にするか、工務店としてどう住みやすい家に仕上げるかを試行錯誤し、生きた勉強になりました」と礒山さん。その積み重ねが引き出しとなり、吹き抜けのコーナーを大開口にしたアイデアが実現したそう。「光が常に安定している北側を大胆に開き、大空間のLDKに採光と眺望をもたらしました」と企画設計室チーフの橋本知佳さん。家族4人、猫3匹、犬2頭が集まるリビングはそれぞれが自由に過ごせる場所。「リビングを2層として、2階にある各個室へのつながる動線上にフリースペースを設け、眺望のいいセカンドリビングとしています」。吹き抜けによりシームレスにつながった大リビングで、家族全員が時間を共有できるのです。子どもたちが小さいころの放課後は友だちを連れてきて賑やかでした。部屋にこもることなく、2階のリビングで遊んでいるとお互いの存在を気にすることなく、気配は伝わって安心できます」とるみさん。中学生、大学生に成長した今も、セカンドリビングは家族と少し距離を保って、趣味に没頭できる場に。書棚や飾り棚を造作し、ライブラリーやシアターの役目も果たしています。



自宅でも楽しめ、驚きのある
忍者屋敷のようなからくりを
じょぶとの家づくりをHさんが進めたのは2019年ごろから。ちょうどコロナ禍であり、家での時間を快適にし、外出せずにどう自宅で楽しむかも課題となりました。「学校行事も制限され、遊びにもなかなか行けない時期でした。子どもたちがかわいそうで、なにか新居で楽しい仕掛けを、と思った時にひらめいたのが、その時に子供たちが夢中になっていた『忍者屋敷』のような家でした」と振り返るるみさん。2階の書棚は隠し扉となっており、そこを開くと勝亮さんの書斎が。訪れたゲストが思わず笑顔になるからくりです。セカンドリビングの壁面はボルダリングウォールにし、そこから秘密基地のような屋根裏にもアクセスできる仕掛けにしました。成長した今、その空間を収納として活用することも検討しているそう。



「SE構法は建物を支える構造躯体と内部を分離したスケルトン・インフィルというメリットもあります。リフォーム時に間取りの変更などが容易にでき、自由度が高いのです」と橋本さん。2階部分の吹き抜けの窓はフィックスではなく、あえて開閉できる窓にしたのもそのため。「将来、より多くのスペースが必要となったときには吹き抜けの空間に床を設けて部屋にするという選択肢もありますから」と橋本さんは語る。スケルトンと呼ばれる家全体を支える構造躯体を、強度や耐力壁のバランスを考慮して新築時に構造計算するため、将来、増築するときにも、強度を確認しつつ進められるのだ。
デザイン力のある工務店は
進化する家づくりのサポーター
入居後、ヨガのインストラクターの資格をお持ちのるみさんは2階リビングでセミプライベートのクラスを開講する予定でした。「ところが趣味で続けていたフラワーアレンジメントを本格的に学ぶようになり、教えてほしいという要望に応え、フラワー教室のサロンを開くことになりました」とるみさん。花材を2階に運ぶのは重労働だったため、1階リビングの一部をリフォーム。タチカワブラインドの間仕切で室内の温室、コンサバトリーをつくりました。「猫から植物を守り、植物から猫を守るためにも間仕切は必要でした」とるみさん。仕切りを完全に開放することもでき、必要に応じて開閉しています。床もタイルに張り替えることで、ゾーニングすることにも成功しました。




ほかにもウォーターサーバーを納める棚を造作するなど、入居後も細部の微調整を行い、より今のライフスタイルに添った家づくりを今でも継続しています。これもデザイン力、施工力のある工務店だからこそ可能な、細やかなサポート。納品したあとは現状維持に専念する「業者」ではなく、進化する生活に並走してくれる「パートナー」をみつけることが、幸せな家づくりの秘訣かもしれません。
H邸 データ
- 家族構成
- 夫婦、子ども2人、犬2匹、猫3匹、インコ2匹
- 敷地面積
- 347.16㎡
- 延床面積
- 168.83㎡
- 階数
- 2階建て
- 設計、施工
- じょぶ
