interview

子育てと暮らしinterview特別編2020.07.01

谷尻 直子

新型コロナウイルスの影響が続く中、Family Treeは、家族一緒のおうち時間を応援します。
特別編・第3回は、料理家として予約制レストラン『HITOTEMA』を主宰する、谷尻直子さん。この度完成したばかりの新居で過ごす、贅沢な食時間について伺いました。

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待望の新居からはじまる、新しい食の時間。

都心の喧騒を一切感じさせない、静謐な空気。敷地のまわりに設けた大きな壁が、家の内側に心地よい屋外を生み出している。その屋外エリアにシャワー、そして大きなバスタブ。見上げれば天に抜ける青空が広がり、どこまでも心地よい。この場所は、料理家として活動し5年前から予約制のレストラン「HITOTEMA」を主宰する谷尻直子さんの、完成したばかりの自宅だ。設計したのは、夫でもある建築家の谷尻誠氏。多方面で活躍する夫にとって、設計事務所立ち上げから20年を経ての初めての自邸設計だ。天井高5メートという大空間には、主役とも呼べる美しいキッチンが備わり、寝室や子ども部屋などはロフト部分に設けた。5歳になる息子が生まれてから、夫婦で夢を描き話し合ってきたという新しい家には、家族の「好き」をとことん集めた。“食べること”に、楽しみと重きを置く谷尻夫妻のこだわりは、左官職人の技術で生まれた艶のある大きなキッチンテーブルに見てとれる。自家菜園も夢だったと語る直子さん、屋外のテラスには早くもハーブの新芽が顔を出している。

新しい「我が家」で、気に入っている場所はどこですか。

普通なら2フロア作るところを、1フロアに5メートルの天井高をとり開放感をもたせたところです。ベランダ部分に作ったバスタブと、趣味である映画鑑賞のために作ってもらったアートのような巨大なスクリーン。それから、スピーカーもスッキリとするように壁に埋め込んでもらいました。

ご自宅のキッチンへのこだわりを教えてください。

調理とスタンディングイーティングを兼ねられる“長いカウンター”です。運営するお店「HITOTEMA」にも、同じコンセプトの長いカウンターテーブルがあります。使い勝手も良く、料理をしながら来客者と密接になれる空間なので、ずっと気に入っています。テーブルにはできるだけモノを置きたくないので、家電はすべて収納されていて、ソープなども内蔵型になっています。使用しているオーブンはミーレ、ガス台はアスコです。気軽に人を招くことのできる家にするには、オーブンと食洗機が“必ず要る”と思っています。母になってみて、調理のみならず他の家事を同時進行できるよう、今後はAIも活用したいと考えているところです。

ご自宅のキッチンを作る際、何をいちばん大切にしましたか?

前述のとおり、大事にしたのは、調理とスタンディングイーティングの兼ねられる“長いカウンター”です。家族で訪れたアムステルダムのホテル「Andaz Amsterdam Prinsengracht」で、シェフとゲストが同じ空間を行き来するキッチンに衝撃を受け、インスピレーションになりました。

ご自宅のキッチンで最も気に入っている道具を教えてください。

調理では、バーミキュラのオーバル鍋が重宝しています。野菜にきれいな焼き色がつき、お魚は丸ごとアクアパッツァや、白身魚の台湾風ネギ生姜蒸しなどにできてそのままテーブルに出せ見栄えも良く大好きです。浅さもちょうどよいので、皆で取り分けやすいという利点もありますね。

子どもが喜ぶ、母の手料理の十八番は何ですか?

なんと、「おでん」でした(笑)。5歳にしては渋すぎる好みですよね。

毎日の家族の食事について、どんなことを意識していますか?

常々「いい顔」をしているものを選ぶようにしています。人から買う場合も、その方がいい顔をしていないとダメです。スーパーマーケットなどで買う際も、野菜の顔、魚の顔がちゃんといい顔をしているかな?と見て選ぶといいです。10年前に野菜ソムリエの資格を取ったときに野菜と果物の選び方のベースを学び、その時の知識も役立っていますし、野菜や魚にまつわる辞典も活用しています。旦那さんに「いい顔」の食材を見てもらうのも、お買い物を頼むキッカケにもなって良いですよね! 息子も果物と野菜が大好きなので、果物は欠かしたことが無くすごい消費量です。朝は生ものから先に食べてもらい、胃腸の調子を整えてから加熱食品を出すようにしています。おかげで?二人の男子はいつも元気いっぱいです。

暮らしや家に求める家族の「安全・安心」は、どうお考えですか?

主人は建築が専門なので、大地震でも大丈夫な家にしたと話しています。我が家では、家具はほとんど作り付けで、さらに多くのものが内蔵型なので、地震で倒れたり、動いてしまうことがないという安心感はありますね。私自身が最も気になるのは、外から生活が見えることなので、外の視線が入らない家作りも大事だと思っています。

現在のコロナ禍を受け、家族で過ごす時間はどのように変化していますか?

外に出ることが多かった家族が、一緒に過ごす時間が非常に増えたのは良いことです。以前は消費しきれなかった食材も、いまは、朝食だけでなく昼も夜も食事を食べてくれる家族がいるので、食材の使い回しも組みやすく無駄にもならず、栄養バランスも考えやすくて、身体はより健やかになっていると思います。

家にいて、「幸せ」や「ぬくもり」を感じるのは、どのような時ですか?

いちばんの幸せは、眠った息子のほっぺにチューをする瞬間です! あとは月並みですが、大好きなお風呂に入ったときや、1日がんばったあとのビールですね(笑)。

直子さんにとって「豊かな暮らし」とは、どのようなものですか?

豊かさとは、多くを購入することではなく、モノを作り出せることだと考えています。

家族が笑顔になる、ワタシの時短レシピ香味野菜たっぷり、鯛の姿煮

魚一匹を、酒・水・塩だけでさっと煮るというシンプルな料理です。魚の処理が難しかったら、スーパーでお願いしても良いですね。魚と野菜を一緒に食べて、残ったスープをご飯と一緒に食べてみてください。日本酒やすっきり系の白ワイン、渋めのオレンジワインなどにも良く合い、夏にぴったりの料理です。

材料

作りやすい分量 3〜4人分
  • 真鯛またはイサキなどの白身魚 1尾
  • 玉ネギ 1/2個
  • ニンニク ひとかけ
  • 生姜 ひとかけ
  • 純米酒 100cc
  • 水 50〜100cc
  • 自然塩 小さじ1
  • リンゴ酢 生姜が浸る程度
【薬味】
  • みょうが 2個
  • 大葉 5枚
  • 長ネギ 6cm程度
  • かぼす 又は すだち 6等分くし切り1個
【エスニックだれ】
  • ナンプラー 小さじ1
  • 薄口醤油 小さじ1
  • メープルシロップ 小さじ1弱

※材料を混ぜ合わせる。面倒な場合は、醤油なしでナンプラーを倍量にしてもいい

手順

  • ① 鱗を削り、内臓を取り出した魚に、4箇所ほど切り込みを入れる。切り込み部分にスライスした生姜(分量の半分)とニンニクを、交互に差し込む。このとき、内蔵を取り出した部分に塩(分量外)を軽くすり込んでおくとなお、臭みが気にならなくなる。
  • ② 残りの生姜を千切りにして、リンゴ酢に漬けておく。
  • ③ 鍋に植物油(分量外)を熱し、玉ネギを弱火で炒めて透明になったら①の魚を入れ、日本酒を注ぎ中火にする。10秒ほど軽く煮立ててアルコールをとばしたら、水と塩を加えて、フタを少しずらして中弱火で7〜8分程度加熱する。
    ※調理する鍋の大きさで、蒸発量が変わります。水の分量を魚がひたひたにかぶる程度に。
  • ④ 魚の切れ目から白身が見えているかで、火の通り加減を確認。
  • ⑤ 火から外したら、千切りにしたみょうが・大葉と、白髪ネギをのせる。
    ※ここで、熱しておいたゴマ油(分量外)をかけると、より風味がでておいしい。
  • ⑥ 最後に、かぼす又はすだちなどの柑橘を上にのせて、できあがり。

※②の酢漬けにした生姜の水気を切って小皿にのせて添え、小籠包のように生姜をのせて食べると、おいしくいただけます。味を変化させるための【エスニックだれ】も、簡単でおすすめです。

Profile

谷尻直子/料理家
ファッションスタイリスト、ブランドのプロデュースを経て、料理家に転身。代々木上原の完全予約制レストラン「HITOTEMA」を主宰。コース仕立ての“現代版のおふくろ料理”が話題。オープンは毎週金曜日7時〜。昨年末からは隔週水曜日を「お弁当の日」とし、予約制のビーガン弁当を提供している。
www.instagram.com/naokotanijiri_hasegawa