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工場見学レポート2021.05.10

森から生まれる、木の住まい。vol.2

相場正一郎さん一家は、岡山県津山市にある院庄林業の工場にきています。前回は山で実際に木を切り出す様子を見た後に、ヒノキの植樹体験をしました。今回は、工場でSE構法の材料となる集成材がつくられる工程を見学します。工場内にずらりと並んだ木材の光景は圧巻。葉和ちゃんも興味津々です。

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広い工場内を院庄林業の黒瀬さんが案内してくださいました。

SE構法に欠かせない“集成材”とは。

鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物では、そのほとんどが「構造計算」をしています。材料の強度などを数値化し、建物がどのくらいの負荷に耐えられるのか、その安全性を科学的に検証して確認するために行われています。しかし一般的な木造住宅では、この構造計算が義務化されていません。木材は自然の素材なので、どうしても個々の特性があります。そのため強度にもばらつきが出てしまう。安全な木造の住まいを実現するために、SE構法では必ず「構造計算」をしています。そのために強度が高く、品質の安定した「集成材」を使用しています。
集成材とは、製材された木の板や角材を乾燥・加工し、それらを接着剤で張り合わせて作る材料のことで、天然の木材と比べて強度や寸法が安定し、耐久性にも優れています。
院庄林業の工場はヒノキの無垢材の加工他、集成材の大規模な生産ラインを持っています。集成材ができる工程を実際に見せていただきました。

まずは、無垢材を製材する様子を見せていただきます。大きな丸太の木の皮を剥くところから、さまざまな工場のラインを通過して製材へとカットされていく工程は非常に見応えがありました。

工場内では次々とひき板状にカットされた木材が流れてきます。しかし全てが集成材の材料として使用できるわけではありません。木材に水分が残っていると、歪みや割れの原因になります。加工した木材は十分に乾燥させ、木材に含まれる水分量=「含水率」が15%以下というJAS基準に達したもののみを素材として採用しています。

乾燥した木材は機械と人の目、両方のチェックにより、水分検査、強度検査、外観検査を経てグレード(等級)ごとに仕分けされます。その後大きな節やキズを取り除き、所定の長さにカットされてつなぎ合わされた「ラミナ」と呼ばれる部材を、接着剤を塗布して圧縮。出来上がった集成材はミリ単位の精度の寸法で整え仕上げられていきます。

「あんなに大きくてゴツゴツしていた木が、こんなにツルツルになった!」
と葉和ちゃんは、驚きながら木をなでていました。

集成材をつくる過程での強度チェックは、製造過程だけで行われるのではありません。高温多湿な環境に耐えうるのか、実際に高温のお湯につけての過酷な試験条件のもと強度を確認しています。

こちらの試験では出来上がった集成材に約3tの荷重をかけ、どのくらい耐えられるのか検査します。これらの検査は、品質を確かめるために院庄林業が独自で行っています。

集成材は複数のラミナを、強度によって決められた順序に貼り合わせてつくられます。その接着剤はかなり強力。集成材に力を加えても、接着部分は割れずに木の部分から折れるほどの強さを持っていることがこの試験からもわかります。
院庄林業では国産材や欧州からの原材料で集成材を製造しており、SE構法では基本的に、土台は国産ひのき、梁・柱はオウシュウアカマツの集成材を使用しています。

木材の品質を保障するJASの厳しい規格をクリアしている集成材。院庄林業ではさまざまな工程を経て、安全性の高いものを届けています。
「木は自然のものだから、割れたり欠けたり強度もいろいろで。それを解決する一つの手段が集成材なんですね。SE構法の集成材は、工業製品として高品質なものをつくっているということがわかりました」。
と製造過程を見学した相場さんも納得のご様子。

シャチのマークに込められた、高品質への自信。

院庄林業の集成材はシャチのマークが目印。商品の梱包やJASシールにシャチマークを載せています。
「シャチのマークの集成材」となった由来は、シャチがチームワークで行動しており、スピードも速く、海洋生物では敵なしの生き物であることから、チームワークによって素早く対応し、業界最強を目指すことを目標として、院庄林業ではシャチのマークをシンボルマークとしたそうです。
またシャチはその愛くるしい姿に人気があることから、お客様から愛され、信用を得られる会社でありたいとの思いも込めています。

また院庄林業ではヒノキのクズや、丸太の皮はバイオガスの燃料として有効活用。できるだけゴミを出さないという、サステナブルな仕組みをつくっています。ヒノキの香りに包まれた工場では、強くて安全・安心な木の家をつくるために、今日も集成材が作られています。

「工場での生産や品質管理の過程、木材の強度をいろんな方法でしっかりと検証している様子を実際に見せていただくことで、院庄林業さんが木材と、その品質や安全性対して真摯に取り組んでいる姿勢を知りました」と相場さん。

木は山から届いた、自然からの贈り物。
木と一緒に暮らしたい、高い安全性も求めたい。その両方の願いを叶えるSE構法を支えている、集成材の確からしさを感じることができた工場見学でした。