2026.08.24

大きな吹き抜けのダイナミックな空間をアートが彩る

「余白」によりアートが生活に溶け込み、趣味性と機能性が融合

玄関の扉を開くと正面に飾られた絵画作品がゲストを出迎える。写真家の作品を連ねた廊下へと続き、テラスに面したL字型の通路を進むと、天井高約6mというダイナミックなLDKが目の前に広がる。2階には宙空に浮かぶようなライブラリーも。アートや名作家具、器などを飾るための「余白」が住まい全体に設けられた、まさにギャラリーのような家だ。写真が共通の趣味というAさん夫妻は、アートコレクションや自身の作品を、自由にキュレーションし、アートと共に暮らしている。
 
 
建築が好きで、専門的に学んだこともあるというAさん。建物の構造に関する知識も深く、さまざまな事例をリサーチ。1棟ごとに構造を計算して、データに基づき強度を導き出すSE構法なら、安全で自由度の悪い設計が叶うと確信したそう。夫妻は家づくりを進める際に、イメージやキーワードなどを密に共有。「自分たちが何を求めているかを可視化でき、優先順位がより明確になりました」とAさんは話す。
 
 
LDKや廊下は、テラスとフラットにつながり、同じ色調のタイルによって内外が一体化した空間に。また階段周辺の壁や天井、キッチンのフロント部分に効果的に用いた木製ウォールパネル材が家全体の視覚的なまとまりを演出している。
 
 
設計を担当した大分で展開する工務店のFDMが提案するのは、次の世代へとつないでいく「永く続く器」。竣工時点で完成するのではなく、住み手のライフスタイルに合わせてアップデートし、愛着を深めるような家づくりを提案している。
 
 
A邸は大空間ゆえに、室内を快適な環境に保つことも必要だった。パッシブデザインを基本とし、自然採光と通風を最大限生かす工夫を随所に採用。「南・西面の大開口により日射を確保しつつ、南面の上部開口に外付けブラインドを設置し日射を遮蔽。冷房効率を高める省エネ効果を狙っています」と設計を担当したFDM社長の高倉潤さん。屋根・壁にセルロースファイバーを用いた充填断熱と外張り断熱材によるダブル断熱やトリプルガラスサッシ、高性能の換気システムを導入し、熱損失の低減と室内空気環境の均質化を図っている。
 
 
お気に入りのアートを傍らに、家族全員が心身共に心地よく過ごせるという贅沢。趣味性と機能性が見事に融合する、大開口、大スパンの空間が実現した。
 
 
取材・文/間庭典子

A邸
設計施工 FDM 所在地 大分県大分市
家族構成 夫婦+子供2人 敷地面積 314.77㎡
延床面積 242.33㎡ 構法 木造SE構法

この家を建てた工務店

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