玄関の扉を開けると、まっすぐに伸びる廊下の果てに上階への階段が見えます。この長い廊下は、帰宅してオンからオフへと感覚を切り替えていただくために敢えて設けた空間。生活感を排除した、この邸宅ならではの工夫です。
階段下の飾り棚として使われている部分は、地窓を通じて屋外の坪庭へと続いています。内外がつながっているかのような錯覚をもたらし、空間に広がりを感じさせる仕掛けとなっています。
東京都渋谷区の閑静な住宅街に位置する、3階建ての邸宅。プランニングにおいては、密集した住宅街であり、近隣には大きなマンションがあるため、外部からの視線を気にせずに暮らせることが大きな課題でした。また、子どもが安心して暮らせる素材を使った木造住宅でありながら、モダンで木造らしさを感じないデザインを希望されていました。
プライバシーを守るために3階に設けた大空間のリビング・ダイニングは、ブラック&ホワイトの潔いモノトーンデザインとし、シンプルかつ華やかに仕上げました。生活感を排除したそのデザインは邸宅全体に徹底され、住宅らしさを感じないほどのスタイリッシュな空間が連なります。一方、和室や音楽室、人工芝のあるルーフバルコニーなど、趣味や家族の団らんを楽しむための空間も設けました。日常と非日常が同居する、新しい都市の寛ぎを楽しめる邸宅が生まれました。