注文住宅の廊下を考える。メリット・デメリットやポイント、活用アイデアをご紹介!

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家づくりでLDKなどのメインの部屋を重視する方は多いかと思いますが、実は「廊下」も快適な暮らしに欠かせない要素です。通るだけの場所と捉えられやすい廊下ですが、設計やデザイン次第で便利でおしゃれな空間が実現します。今回はそんな廊下について、考える際のポイントや活用アイデアを、実例を交えてご紹介します。
廊下とは?
廊下とは、部屋と部屋、または玄関とリビング、階段などをつなぐ室内の通路のことを指します。建物の中で空間同士を機能的につなぐ導線としての役割を持ちますが、音や視線、臭いなどを遮る役目も果たしています。昔から日本の住宅における廊下は、移動のためというだけでなく、空間にゆとりを与え、採光や風の通り道としても利用されてきました。
一般的な廊下の横幅
一般的な住宅は、91cmの尺モジュールで設計され、そこから柱や壁の厚みを考慮した廊下幅は、約78cmが標準とされています。人がすれ違うことを想定した最低限必要な幅の値としては、78cmを確保しておけば安心です。しかし近年の住宅では、少しゆとりを持たせた90cm前後が主流になっています。幅90cmあれば大型家具や家電も通りやすく、車いすでの移動も問題なく対応できるサイズでしょう。
廊下をつくる際のポイント
最適な横幅を考える
廊下の幅を考えるときは、その空間をどのように利用するかをイメージすることが大切です。たとえば、小さなお子さまのいるファミリーや、将来の介護を見据えている方は、90cm以上の幅を確保しておくと安心でしょう。通路としてだけではなく多目的に活用したい場合には、壁面収納やくつろぎスペースも造れるよう、もう少し余裕を見て設計するのがおすすめです。
手すりを考える
廊下に手すりを設置する場合は、通路としての有効幅を確保できるよう、手すりの厚み分も含めて廊下幅を設計する必要があります。手すりの高さは床から75〜80cmが一般的とされていますが、使う方の負担が少なくなるよう身長や動きに合わせて柔軟に調整しましょう。また、「今は必要ないけれど、将来のために備えたい」という場合は、壁の中に下地を入れておくと後からのリフォームにも対応しやすくなります。
収納を考える
廊下は“通るだけ”のスペースではなく、収納スペースとして有効に利用できる空間です。廊下壁面や階段下にクローゼットや可動棚を設置すれば、掃除用具や日用品のストックなどを、生活動線の延長として使いやすい場所にスマートに収納できます。廊下収納を活用すれば、各部屋に余計な物が溢れたりする心配もなく、居室をスッキリ綺麗にキープしやすくなるでしょう。
廊下のある家のメリット・デメリット
メリット1:プライバシーを確保しやすい
廊下があると、リビングやキッチンなどの共有スペースと、寝室や子供部屋といったプライベートルームとをしっかり分けることができます。これは、家族同士の距離感を心地よく保つためにも大切なポイントといえるでしょう。さらには、来客時にも各部屋の中が見えにくくなるのもメリットのひとつ。プライバシーを守りたい方にも、静かな空間を確保したい方にも、廊下のある家は安心できる住宅設計といえるでしょう。
メリット2:生活音や臭いを遮る
廊下は、部屋と部屋の間の“緩衝空間”にもなり、生活音や臭いが直接届かないようにする役割も果たします。例えば、部屋で静かに集中したい時に、他の部屋からテレビの音やガヤガヤした声などが聞こえてくると、落ち着いて過ごしにくくなりますよね。また、夜中にトイレに行く場合も扉の開閉音などが他の部屋に響きにくくなります。廊下があると家の中をゾーニングすることができるので、思い思いの時間を過ごせるでしょう。
デメリット1:各部屋の面積に影響する
廊下のデメリットとして考えられるのは、廊下のスペースを確保することで居室の面積がややコンパクトになることです。限られた床面積のなかで設計を行うには、廊下・リビング・収納など、各スペースの配分を設計段階でしっかりと検討する必要があります。廊下があることで得られるメリットも多いので、理想の暮らしを思い描きながら、空間のバランスを丁寧に見極めていきましょう。
【実例】廊下の活用アイデア
収納スペース
廊下の片側を収納棚にした見せる収納は、今とても人気があります。お気に入りの本や雑貨、観葉植物などをディスプレイすれば、まるでギャラリーのような空間に早変わり。また、扉付きのクローゼットタイプなら、生活感を隠しながらも実用的に使えます。通常よりも廊下幅を広めにとることで、収納力を確保しながらも圧迫感を感じいくい空間になるでしょう。
デスクスペース
廊下の一角に奥行の浅いコンパクトなデスクを設けて、ワークスペースや子どものスタディスペースとして活用する例も増えています。家族の気配を感じながらも集中できる“ちょうどいい距離感”が魅力的。照明や壁の色を工夫すれば、おしゃれで落ち着いた空間に仕上がります。ちょっとした空間も有効利用できるかどうかは、設計の工夫次第といえるでしょう。
洗面スペース
この事例のように、トイレや玄関ホール付近の廊下に手洗い場を設置するケースも増えています。帰宅後やトイレ後にすぐに手を洗えるという点で、衛生面でもとても安心です。行き止まりの洗面室ではなく廊下に設置することで回遊動線をつくりやすく、スペースの無駄を減らしながら生活・家事動線がスムーズになるメリットがあります。
まとめ
廊下は、家の中の“ただの通路”ではなく、暮らしの質を上げるための大切な空間です。横幅や収納、使い方まで自由に設計できるのは、注文住宅ならではの魅力といえるでしょう。スペースを有効に使えば、家族全員が過ごしやすい、快適でおしゃれな住まいに近づけます。暮らしに合わせた廊下の使い方を、ぜひ一度ご家族で考えてみてはいかがでしょうか。