穏やかな光に包まれた、子供がのびのび育つ木の住まい


LDKの床材は素肌に優しい栗の無垢フローリングを採用した。広葉樹の栗は耐水性や耐衝撃性能が高く、線路の枕木にも使用されているという。

1.土間収納の壁面には釣りが趣味というNさんのギアを並べた。/2.リビングとシームレスに連なる、アウトドアリビングとしても使えるテラス。一段下がった家庭菜園スペースでは野菜づくりも楽しめる。

吹き抜けに面した開口部から陽光が注ぐL字型のLDK。テレビの奥はクローゼットなどの収納スペースとして活用。ダイニング奥のプレイルームは、家事をしながらでも子供に目が届く便利な空間。

階段上に設けた2階のセカンドリビング。吹き抜けと高窓の2方向から採光でき、読書に最適な明るい空間。

内観、外観共に白を基調にベージュやグレージュをアクセントに用いた。隣家との距離が近いことから、道路側の窓は最小限にし、ハイサイドライトを設け、吹き抜けから採光することに。

3.システムキッチンはクリナップの「ステディア」を採用。白をべ―スとしたインテリアを生かして北欧スタイルでまとめた。壁面はオープン棚にし、ディスプレイを楽しんでいる。/4.階段の踊り場に設けたニッチはNさんの趣味であるNBA関連コーナーとしている。
遊び場であり、仕事場にもなる。家族と共に成長するLDK
新潟市の住宅地にあるN邸は、実際よりも空間を大きく見せる試みに成功した住まいだといえる。1階が約77㎡、2階が約50㎡とコンパクトな空間ながら、家の中心に吹き抜けを設けることで部屋の奥まで光を届け、広がりを感じさせる視覚効果を得た。吹き抜けを介してLDKや庭のテラス、2階のセカンドリビングがつながり、大きな空間に感じられるのだ。「さらに、敷地南側の一角に庭を設け、L型に建物を配置し、1階のどの空間からも、庭を眺められるようにしました」とアーキレーベル/鈴木組の設計担当、鈴木留美子さんは語る。リビングとテラスは段差なくフラットにつなげ、庭へと視線が自然に抜けるように。N邸の庭は眺めるだけの存在ではなく、休日に友人を招いてバーベキューをしたり、家庭菜園をしたり、生活を楽しむ場となっている。
L字型のLDK全体が、幼いお子さまの遊び場だ。おもちゃに三輪車、ハンモックなど、遊びのアイテムがいっぱい。ダイニングの南側に位置するプレイルームは将来、夫婦の仕事場としても活用できるよう、座った際の視線の高さに庭を望む横長窓を配置した。間仕切りをすれば将来、寝室としても活用できる。「2階のセカンドリビングは、子供の就学後には勉強に集中できるスペースにすることも想定しています」とNさん。プレイルームやセカンドリビングはライフスタイルに合わせてフレキシブルに使える『余白の空間』となる。「構造そのもので家全体を支えるSE構法ならば、家族の成長やライフスタイルの変化を見据えた設計が可能です」と鈴木さん。構造躯体のスケルトンと、内装のインフィル部分を分離しているため、間取りの変更が自在にできる。N邸は今を楽しむ住まいであるとともに、将来のことも見据えた住まいなのだ。
住みやすさを第一に考え、考慮したのは家事動線。「共働きのお忙しいご夫婦のため、玄関からパントリー、キッチンへの帰宅動線と、キッチンから洗面所やクローゼット、浴室やランドリーからLDKをまわれる回遊動線を確保しました」と鈴木さん。それにより無駄な動きがなくなり、家事効率がアップした。
生活空間がより豊かになるよう「見せる収納」も重視。リビングの飾り棚やキッチン横のニッチ、ダイニングの壁面のピクチャーレールなど、好きな小物や写真などを飾れるギャラリースペースを各所に設けている。土間収納の壁には有孔ボードを付け、釣りのギアを見せながら収納。階段の踊り場もニッチを設け、Nさんの好きなNBAのコーナーに。
知人を通してNさん一家が家づくりを依頼したアーキレーベル/鈴木組は、土地選びから家づくりをサポートすることをモットーとしている。「予算の制約などで、床面積を小さくせざるを得ない場合、『空間の広がり』が生活するうえで重要になってきます。構造計算に基づき、安全に大きな空間をプランニングできるSE構法の家は『小さくつくって大きく見せる』家づくりには最適です」と鈴木さん。
子育て、共働きという多忙な毎日だからこそ、日常生活を心地よく快適に。そして家に居ながらにして趣味や仲間との交流を楽しめる、木の住まいが完成した。
取材・文/間庭典子
N邸
| 設計施工 | アーキレーベル/鈴木組 | 所在地 | 新潟県新潟市 |
|---|---|---|---|
| 家族構成 | 夫婦+子供1人 | 敷地面積 | 197.39㎡ |
| 延床面積 | 127.32㎡ | 構法 | 木造SE構法 |








はこちら