多彩なスタイルのインテリアが混在する色とりどりの空間


1.玄関の上がり框と反対側に設けた階段は、ご主人の音楽スタジオ兼仕事場へ上がる専用のもの。土間の床のタイルには錆鉄の風合いのあるものを選んだ。/2.玄関横の洋風の土間から全開放型の扉でヨーロッパテイストのテラスへとつながる。観音開きのガラス扉は特注で製作。ブルーグレーの色は奥さまが選んだもの。

ガラステーブルはカッシーナの「ボボリ」。ツイストしたメタルの脚部はボボリ庭園の木立をイメージしたもの。ダイニングチェアもカッシーナの「オラ」をセレクトした。

奥さまがローマで目にしたパティオのイメージを再現した外部とつながる土間。リビングに入る吊り戸は特注で製作。エンジの色は床のタイルの一色を用いたもの。

キッチンはクチーナで製作。一部に木を使いリビングになじませた。床は大理石調のタイルに。正面扉は和室入り口。石川県の組子細工建具職人に依頼して製作したもので以前の家で使っていた。本物の技と美しさは洋空間にも溶け込む。

和室天井は船底で葦仕上げ。丸窓障子は建具と同じ、石川県の職人に依頼して製作した。壁のベンガラ色が金沢の町家を思わせる。

リビングと玄関横の土間も半円を描く開口でつながる。立体感のあるタイルを縦長に用いている。

リビングに続くテラス。花ブロックが風を通しながら視線を遮る。

壁際に置いたのは、ポルトローナ・フラウのハイキャビネット。青みがかった灰色の繊細な格子が美しい。内側にさりげなくレザーが使われている。

玄関前は黒と白の市松模様にして楽しげな雰囲気を演出。玄関ドアは引き戸を採用し、風を通せるように。ガレージ上の箱形の部分がスタジオ兼仕事場。

2階のルーフバルコニー。屋外と浴室が一体になる。お風呂上がりにここでくつろぐことができる。右手に見えるのがスタジオに続く入り口。

玄関ホールはあえて白とガラスだけの世界に。リビングから始まる豊かな色彩を楽しむ。
明るく開放的な大きな空間で、お気に入りのものだけに囲まれて暮らす
ミノッティの円形ソファに合わせたのは、アマランサスの花をモチーフにした鮮やかなパープル色のB&B Italiaのチェア。ダイニングにはブルー色のカッシーナのレザーチェアを。イタリアの高級ブランドの家具がラグジュアリーな空気感を醸し出す。この家の家具や照明はすべてTさん夫妻が選んだものだ。
チークの無垢材を使ったヘリンボーンの床、3色を組み合わせたマットな質感のタイル床なども、2人が「ぜひこれにしたい」と決めたという。さらに、LDKの一方に和室、もう一方にテラスへとつながる土間を設け、廊下を挟まずに部屋同士をダイレクトにつなげた間取りもTさんの提案。実は、この家はTさん夫妻の2軒目となる家づくり。自分たちの好みを貫き、気に入ったものだけに囲まれて暮らす楽しい家にすることは、はじめから大きな目標だったと振り返る。
以前の住まいも鎌倉の地に建てた夫妻。古都の佇まいは気に入っていたが、坂の上だったこともあり、駅に近い平らな土地に移りたいと思っていたそう。間もなく希望に合った土地を購入。たまたま見かけた当誌『ML WELCOME』で見て気に入った家がリモルデザインの設計・施工だと知って、パートナーに選んで家づくりに臨んだ。
夫妻の要望はいたってシンプル。2人だけで暮らすこともあり、訪ねてくるゲストと過ごす、30畳くらいの広さと3m以上の天井高のあるLDKはマスト。あとは趣味のバンド演奏を楽しむ音楽スタジオ、露天風呂感覚で入れる浴室、そして寝室があればよいというものだった。「仕事部屋も兼用する音楽スタジオは防音が大切ですし、外部の人の出入りもあるのでガレージ上に設け、玄関を入ってすぐに専用の階段で上がれるようにしました」とリモルデザインと協働しているミウラデザインスタジオの三浦正道さん。また、玄関の隣に、外部テラスへとタイル床で続く土間を連続させ、奥さまが南欧の旅で見て気に入ったインテリアの雰囲気に仕上げている。
最大の要望であった広いリビングはSE構法の特徴を生かし、34.5畳を柱なしで確保。2つのテラスで挟むことで、さらに開放的で明るく、風もよく通る心地よい場所に仕上げている。メインのテラスに臨む開口部も左右に6m近く広がる大きなものだ。
「1階をLDKを中心としたパブリックスペースにして、2階にスタジオや寝室や浴室などのプライベートスペースを集める大きな空間構成はこちらから提案したうえで、細部をどうつくりこんでいくかは、むしろお2人が主導していった家づくりです」とリモルデザインの代表を務める菅沼利文さんが言うように、住まいの細部の提案を重ねたというよりは、夫妻が欲しいものや試したいことを伝え、それを設計する側がまとめていく、というスタイルをとった。例えば、キッチン横のパントリーに続く入り口をアーチにすること、165㎝という低めの高さは共に奥さまの希望だった。キッチンはクチーナ製作のオリジナル。タイルも照明器具も夫妻がたくさんのショールームをまわって一つひとつ選んでいったという。
「本当に楽しかった」と夫妻は家づくりを振り返る。「私は“ひらめき型”なので、工事が進んでいてもやっぱりこうしたいと、無理な注文を出したことが何度もありましたが、リモルデザインはすべて受け止めてくれ、プロの視点でまとめてくれました」と奥さま。建て主の思いが隅々まで貫かれた唯一無二の住まいだ。
取材・文/酒井 新
T邸
| 設計施工 | リモルデザイン | 所在地 | 神奈川県鎌倉市 |
|---|---|---|---|
| 家族構成 | 夫婦 | 敷地面積 | 365.49㎡ |
| 延床面積 | 235.31㎡ | 構法 | 木造SE構法 |








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