リビングの一角を癒しの和モダン空間に。和室を作りたい時の5つのポイント
リビングの一角を癒しの和モダン空間に。和室を作りたい時の5つのポイントのインデックス
間取りを考える際に、和室を一室設けるかどうかは迷うところ。来客用にと和室を確保しても、いつの間にか物置代わりになってしまった……なんてこともあります。そこで、和室を最大限に活かすために、リビングの一角を畳ルームにしてみたり、フルオープンにできる空間にしたり、小上がりの和室にしたりと、間取りやデザインに工夫をしてみてはいかがでしょうか。そこで、和室を作る際に参考にしたいメリットとデメリット、さらに5つのポイントを紹介します。
リビングの一角に和室を作る、3つのメリット
和室を最大限に有効活用させるためには、リビングの一角や隣に和室を設けるのが最適です。そこで、その3つのメリットをご紹介します。
1.フラットに過ごせる空間を持つことができる
リビングは広くゆったり取りたいけれど、和室があれば何かと便利……。そんな時は、リビングの一角を和室ルームにするのがおすすめです。床を完全にフラットにし、さらに扉をオープンにできれば、普段は1つの空間として広々と使えて、扉を閉めれば別々の空間として使うことができます。
フラットにすれば、リビングと和室の行き来もスムーズですし、掃除もしやすいなどのメリットも。また、ただリビングを広くして何も置かない空間にしておくと、なんとなく空間が間延びしてしまいます。しかし、和室という空間にすることで、デザイン性にもアクセントが加わり、空間を効果的に広く見せることができます。
フローリングは寝転がるのにあまり適してはいませんが、畳はクッション性に優れているため、ごろんと横になることもできます。お子さんとの添い寝はもちろん、大人も昼寝をするのに最適です。また、フラットにすることでバリアフリーにもなり、乳幼児や高齢者の転倒やケガのリスクが低くなるのもメリットのひとつです。
2.畳スペースを有効活用できる
リビングルームの一角に和室を設けることで、さまざまなシーンで活用することができます。たとえば来客があった時には、和室に荷物を置いてもらったり、宿泊する場合は寝室として使ってもらうことができます。襖やスライドドアなどでリビング側としっかり仕切れるようになっていれば、来客にも快適に使ってもらうことができますね。
また、お子さんのいるご家庭では、リビング横の和室はかなり重宝されます。赤ちゃんの頃はベビーベッドやオムツなどを置き、ここでお世話をすることができます。昼寝をしていても、キッチンやリビングと隣接しているため、いつでも目が届くので安心です。また、和室であれば、大人が一緒に添い寝しやすいというメリットもあります。
さらに、洗濯物を取り込んで畳んだり、アイロンをかけたり、座って裁縫をしたりと、座ってする家事をするのに最適です。また、一時的に荷物などを置いておくことができたりと、暮らしの中で何かと便利に使えるフリースペースにもなるでしょう。和室が小上がりのデザインになっていれば、床下を収納スペースとして活用することもできます。
最近では、リモートワークをする機会も増え、リビングと区切られた空間が必要になることも多いですね。扉のある和室であれば、リモートワークにも便利に使えるでしょう。
3.畳の見た目や香りによるリラックス効果
畳の魅力は、何といっても寝転んだ時の気持ちよさですよね。い草の香りを感じながら適度なクッション性のある畳の上で寝転ぶのは、床では味わえない感覚です。また、手で畳を触れた時の感触も、フローリングにはない気持ちよさが感じられるでしょう。
い草の香りにはアロマセラピー効果があり、気持ちが爽快に、リラックスできます。また、い草には調湿効果があったり、夏はサラサラして涼しく、冬はほんのりと温かく感じるなど、シーズンを問わずに快適に過ごすことができます。和室を取り入れることは、環境面でも、そしてメンタル面でもよい効果が期待できるのです。
知っておきたい、和室のデメリットとは
和室を設けることには、環境面やメンタル面でのメリットが大きいですが、ちょっとした注意点もあります。そこで、和室を作るデメリットも知っておきましょう。
1.コストやメンテナンスに費用がかかる
間取りに和室を設ける場合は、床がフローリングの洋室と比べると、建築コストが高くなってしまうことが多いです。それは、畳や襖、障子などの素材が、洋室で使用するものよりも高くなるためです。
また、メンテナンスにも費用がかかることを知っておきましょう。新品で使い始めて3〜5年ぐらいすると、日焼けしたり、擦り切れて傷んできてしまうので、まずは裏返しにします。裏返しをしてから5年ほどしたら、表替えをする必要があります。このように、和室には洋室には必要ないメンテナンスや張り替えが発生してきてしまうからです。
2.ペットがいる家では不向きな場合も
ペットがいるご家庭の場合は、畳の部屋を設けるのに注意が必要です。犬や猫などの特性によって、畳の上で粗相をしてしまったり、前足で引っ掻いてしまうことがあります。とくに犬の場合は、畳の素材であるい草を草むらと勘違いしてしまうことも。ペットのいるご家庭で和室を設ける場合は、犬や猫が入らないような対策をする、マットを敷く、トイレの場所をしっかり躾をすることが必要になります。
もし、ペットがいるご家庭で和室を作る場合は、単独の個室として作ったり、襖や扉をしっかり設置するのがいいでしょう。
3.重い家具や脚付きの家具が置きにくい
畳はへこみやすいので、重い家具などを置くのにあまり向いていません。また、陽光がよく入る和室の場合は畳が日焼けしやすいので、家具を置いていた部分と置いていない部分で、色の差が出てしまいます。
また、脚付きの家具の場合も、脚の部分がくっきりとへこみが出てしまうので、家具選びでは注意が必要です。和室に収納が必要な場合は、押し入れを活用したり、あらかじめ造作収納をプランニングするのがおすすめです。
4.無駄なスペースになってしまう可能性も
「和室はとりあえずあったほうがいいかな……」と、なんとなくで和室を作ってしまうと、いつの間にかほとんど使わないスペースになってしまうこともあります。和室はコストもかかりますし、1室分のスペースも必要になるので、プランニングの段階でしっかり目的を検討することが大切です。
どんなシーンで使いたいか、どんな目的で使うかをよく考え、それに合わせて位置やデザインを考えていきましょう。
扉をフルオープンにすれば広々空間に早変わり
完全に独立した和室は、用途がかなり限られてしまいます。ご両親や親戚、ご友人が来客した際に、寝室として使ってもらうことができますが、そんなに頻繁に来客があるわけではありませんよね。
そこで取り入れたいのが、和室をフルオープンにもできるような間取りにするアイデア。普段は開け放しておけば、リビングと同空間として使えて、個室として使用するときは扉で区切るなどフレキシブルに活用できます。床はできるだけフラットにすれば、よりリビングとの一体感が生まれます。扉は障子にするか、洋風の扉にするかで、雰囲気もずいぶん変わりますね。
和室がリビングの一角にあれば、お子さんのお昼寝で使えたり、大人がごろんと横になれたりと、洋室にはない魅力があります。また、若い頃は和室が必要ないという考えでも、年齢を重ねるにつれて和室が欲しくなるなど気持ちの変化もあるでしょう。その場合は、リフォームで和室ルームに変更することができるように、あらかじめ設計段階で住宅メーカーに相談しておくのもおすすめです。
小上がりは子どもの遊び場や収納など多目的に活用
リビングの一角に小上がり風の和室を設けることもできます。子育て真っ最中のご家庭なら、子どもの遊び場やお昼寝の空間として重宝します。また、小上がりにするメリットは、下にたっぷりの収納を設けることができるところ。ここに来客用の寝具や座布団などを入れておくのもいいでしょう。
壁面を無垢にして統一感を持たせることで、洋室感覚で使うこともできます。たくさんのご友人が集まるホームパーティーなどでは、小上がり部分に自由に腰を掛けてもらうこともできそうです。
こちらのお宅でも、リビングと隣接させて小上がりの和室を設けています。お子さんが小さな頃は遊び場やお昼寝の場所として、少し大きくなったら子供部屋として、将来的には夫婦の寝室にと、家族の年齢が上がるのに合わせて使い方を変化させることもできます。将来的なリフォームを考えるのであれば、あらかじめ小上がりにして空間を仕切っておくのも良いアイデアでしょう。
また、リビングからの続きで天井を同じ素材にしていることがわかります。さらに奥側一面は収納になっていて、収納下に取り付けた地窓空間をオープンにさせることで、空間を広く見せる効果も。窓を設ければ、明るく風通しのよい室内をキープできますね。
扉や畳にこだわって、見せたくなる和モダンインテリア
和室のインテリアは、どうしてもワンパターンになりがちです。畳が敷かれ、障子があり、和風の照明、それに似合う家具が置かれ……。でもせっかくなら、あえて見せたい和室ルームにしてみましょう。
どうしても和のイメージが強くなってしまうのが障子ですが、最近では現代的な住宅とも馴染みやすい、モダンな雰囲気のデザイン障子も多く登場しています。お気に入りのデザインを見つけて、取り入れてみるのもいいですね。
障子は本来、縦横に細い桟を入れた木枠に紙を張り、明かりを通す建具です。窓際に使用することがほとんどでしたが、最近は部屋と部屋の間仕切りとして使うことも多くなっています。障子をデザイン性の高いものにするだけでも、ずいぶんとモダンな雰囲気にすることができます。
最近では、畳は縁なしの琉球畳でモダンに見せるのが主流ですが、畳とフローリングを組み合わせてみたり、一般的な畳と琉球畳を組み合わせてみたりと、常識にとらわれず遊んでみるのもいいかもしれません。
また、あえてレトロな雰囲気の家具を合わせてみたり、照明で遊んでみたり、和室はインテリア次第で、より居心地の良い空間にすることができます。
素材に統一感を持たせれば、洋室とも馴染みやすく
リビングの一角に和室を設けることに抵抗があれば、壁の素材などをリビングルームからのひと続きにして統一させましょう。このお宅の場合は、リビングルームの床材をそのまま和室ルームの壁に施しています。
ウォルナットの落ち着いた雰囲気のリビングルームにも、素材の選び方次第では違和感なく和室ルームを設けることができます。琉球畳を選んだり、収納の扉にモダンなデザインを取り入れたり、障子ではなくカーテンやブラインドなどに差し替えることで、洋風のリビングの一角にあっても、自然と馴染む和モダン空間になります。
フローリングから畳へフラットに続く大空間
和室を一室と捉えて考えるのではなく、リビングの一角に畳ルームを作るという感覚であれば、よりカジュアルに和室を使うことができそうです。モダンに見せるのであれば、縁なしの琉球畳を取り入れると、すっきりとおしゃれに仕上げることができます。
リビングから和室までフルフラットにすることで、リビングに足を踏み入れた時に、大きな一つの空間のように見えます。収納の扉などを同じ素材にすることで、全体に統一感が生まれます。
もし、和室が確保できなくても、最近では取り外しができる置き畳やフローリング用の薄畳なども出回っているので、そのようなアイテムを活用して、リビングの一角を畳ルームにしてみてもいいですね。
和室を上手に活用した、4つの実例集
和室をリビングの一角に取り入れることで、暮らしの質が高まります。そこで、4つの実例をご紹介します。
【和室リビングの実例その1】リビングとシームレスにつながる和室リビング
こちらのお宅は、リビングの一角に和室スペースを設けていますが、和室に敷かれた畳は、リビングに敷かれた畳とつながっています。リビングルームでくつろぐときにも、気軽に横になれるなど、リラックスして過ごすことができるでしょう。
和室の扉はスライドドアタイプになっていて、ドアをすべて仕切れば完全に独立した和室空間に。すべて開け放てば、リビングルームがより広く感じられるでしょう。縁なしの琉球畳を採用することで、よりモダンな雰囲気に仕上がっています。
【和室リビングの実例その2】「和」と「洋」の対比が楽しめるリビング空間
リビングルームの隣に、純和風の空間を設けたこちらのお宅。和室側から見ても、リビング側から見ても、「和」と「洋」の対比が楽しめます。リビングは木をふんだんに使って、落ち着いた雰囲気の内装にしていることで、和室と組み合わせても違和感はありません。リビングの一部ではなく、隣り合わせの間取りにしたことで、用途をしっかりと区切って使うことができます。
【和室リビングの実例その3】床下は収納にもなる、小上がり風のモダン和室
リビングにある和室スペースを、あえて小上がりにしているこちらのお宅。小上がりのデザインにすることで、床下部分が引き出し収納になっています。お子さんのリビング学習の勉強道具や、消耗品などのストック場所として重宝しているそう。
ほかにも、ちょっと腰をかけたり、昼寝をしたり、お子さんの遊びスペースになったりと、さまざまな用途で使うことができます。モダンな引き戸や琉球畳を使うことで、リビングのインテリアとも自然と馴染んでいます。
【和室リビングの実例その4】おこもり感のある、スキップフロアの和空間
和室をフラットにしたり、小上がりにするデザインはよく見かけますが、こちらはちょっと変わった間取りに。リビングから一段下がった場所に、モダンな雰囲気の和室ルームを設けています。少し奥まった場所にすることで、落ち着いた空間に仕上がっています。リビングと段差とつけることで、つながりを感じながらも空間を自然な形で区切っていますね。
さらに、琉球畳を採用したり、床の間のデザインを工夫したり、天井の色をぐっとシックにするなど、デザイン性の高い和室に仕上がっています。
まとめ
和室を検討する際に、畳や障子、縁側など、伝統的な内装を想像して、インテリアと合わないからとあえて作らないというご家庭も多いかもしれません。しかし最近は、琉球畳やシンプルなスライドドア、デザイン性の高い床の間などを採用することで、和モダンな空間としてかえって新鮮に感じられます。
また、リビングと隣り合わせにすることで、ちょっと疲れたら休憩をしたり、お子さんが昼寝をしたり、ちょっとした家事をするなど、何かと使いやすい空間にもなります。プランニングの際には、ぜひメリットや実例デザインを参考にしてみてください。