2017.07.06

未来の自分たちのための最先端のエコ住宅

未来の自分たちのための最先端のエコ住宅

室内を同じ温度・湿度にし、吹き抜けの大空間をより快適に

ヨーロッパの最新技術を駆使し“地球と家族にやさしい次世代の家”をテーマにしたM邸。住宅先進国のドイツに44回渡航し、最先端の住宅事情を研究してきたECO HOUSEの松岡浩正社長が考えたのは、日本の住宅にヨーロッパでは浸透しつつあったさまざまな技術を取り入れることだった。このM邸は、自宅として住みつつ必要があれば参考としてお客様に見ていただけるようにしている。「耐震に優れ、外部環境から守ってくれる強い家を再現したかったんです。スイスは地下に核シェルターがあるほど進歩的で、それにならいました」と松岡さん。地階には、有事の場合に避難するためのシェルターを設けている。
M邸は地上2階、地下1階、屋上付きで、延床面積403㎡、リビングには天井高8mの高い吹き抜けがある。SE構法ならではの大空間、大開口を大胆に取り入れた構造だ。この広い空間で室温を快適に保つために、パネル冷暖房を導入。冷水や温水が循環するパネルからの輻(ふく)射(しゃ)で室温を調節し、広い室内を常に同じ温度と湿度に保っている。また、エアコンと違って無風、無音なので、ハウスダストやモーター音を気にせず静かに生活できるのも利点だ。

海外の建材を屋根や外壁に効果的に取り入れ、省エネへ

屋根、外壁、床には、ドイツの「木製断熱材 環境断熱®ECOボード」を採用している。これは、熱を蓄える蓄熱容量が高く、約12時間もの間、外部からの熱の侵入を許さない素材。「暑い夏が続く日本にも適し、外気の影響を受けることなく室内の温度を一定に保つことができます」と、この建材の輸入も手掛けている松岡さんは語る。リビングにはガレージに面した大きな窓があり、ルーフバルコニーもあるため、夏は室温が上がりやすく思えるが、屋根や外壁、床にこの素材を取り入れているので真夏も快適だという。省エネルギーで、光熱費はかなり抑えられる。海外の技術を柔軟に取り入れることで、家族にも環境や地球にもやさしい家になった。

100年住み継ぐ家は未来の地球にもやさしい家

松岡さんが目指したもうひとつのテーマは“ドイツ基準の100年住める家”。
長く美しく住み続けるために重要なのは、建材を吟味することだと松岡さんはいう。日本での建て替え平均年数は約30年といわれ、100年以上メンテナンスしながら住み続けるヨーロッパと違い、日本では加工しやすい安価な素材を選びがちだ。例えば石油系建材は、隙間なくしっかり施工ができ、高い断熱性と気密性を誇るが、水蒸気の透過性がないため結露を防ぐという意味では不十分だという。「ドイツには結露に関しても法律で規定があり、家の外壁には水蒸気の移動を妨げる材料を制限しています。それにならい、このM邸も建材を吟味し、空気は遮断するけれど水蒸気は移動する“呼吸する家”を目指しました」と松岡さん。結果、暖かさを保ちながら結露を防ぐ構造が実現した。窓や壁が濡れて家にダメージを与える表面結露と、柱や土台など構造体に影響を及ぼす内部結露、この2つの結露への対策は、家の寿命を延ばすためには必要不可欠なのだ。さらには、化学製品の素材を多用した家は、完成した瞬間は美しいが、破損などで処分する際には環境への影響も懸念される。未来の地球環境に負担を残さず、安心安全、そして長く美しく住み続けるには、使ってはならないもの、使うべきものをしっかり見極めることが大切だと、ECO HOUSEは考えている。
SE構法を取り入れた木の家は、心身を健康にし地球環境にやさしく、耐震構法で地震や台風などに対して非常に強い。また、ECO HOUSEのように冷暖房システムなどのプランと合わせやすいのも特徴だ。SE構法とECO HOUSE独自の視点の相乗効果で、魅力的な「強い家」が実現した。

取材・文 間庭 典子

M邸

設計 松岡浩正(ECO HOUSE) 施工 ECO HOUSE 株式会社
所在地 埼玉県川口市 家族構成 夫婦+子供2人
延床面積 403.00㎡ 構造・構法 SE構法+RC造

この家を建てた工務店

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