薪ストーブが印象的な自然素材を生かした高性能な家


階段からオークの床のリビングを見下ろす。吹き抜けの高さは約5mある。夏場には深い軒が室内に入る日差しの量を調整することで、LDKは程よい明るさになる。

リビングから庭につながるウッドデッキ。夏場は庭にバーベキューセットを設置して家族で楽しむことも多いそう。冬の晴れた日は絶好のひなたぼっこスペースに。

無垢材の質感が生きたリビングとダイニング。階段はアイアン製にするか迷ったが、建築士と相談して木製に。色と質感が統一された美しい空間に仕上がった。

1.家族が集う場所であるダイニングにも大きな窓を設けた。目隠しのために窓の外に植えたグリーンが、家族を癒やす景色としての役割も担う。/2.ウッドデッキのテラスの先に石畳のスペースを設けた。子供たちは庭に出て遊ぶことも多く、元気な声が響きわたる。

Kさんのお気に入りスペースは薪ストーブの前。冬には仕事から帰宅するとまず火に薪をくべるという。薪ストーブは性能とデザイン性に定評のあるベルギーの老舗メーカー「ネスターマーティン」を採用。薪が燃える炎を見ながら、本を読んだり、お茶を飲んだりすることが至福の時間だ。

3.ダイニングの裏手に位置する庭の眺め。飛石を配して、林の小道を想像させる詩的な空間に。/4.ウッドデッキでくつろぐ奥さまと子供たち。近隣からの視線を遮るように庭を設けており、のびのびと過ごせる。

吹き抜けの脇に設えられたスタディスペース。ここで勉強する子供たちも、1階にいる両親も、吹き抜けを介してそれぞれの気配を感じ取ることができる。

そとん壁(天然素材の「シラス」を原料とする自然素材の壁)と木材のコントラストが印象的な外観。深い軒が車寄せの役割も果たす。

2階の個室。現在は家族の寝室として利用しているが、子供たちが成長したら部屋を分けてそれぞれの個室にする予定。

TOTOのシステムキッチンを一部カスタマイズして造作。棚や扉をすべて木製でそろえた端正なキッチンが、LDKに流れる統一感の陰の立役者といえる。
春夏は庭の緑を、秋冬は薪ストーブの炎を。一年中、心地よく、安全な家
夏は深い軒の先に広がる庭の木々が直射日光を遮り、冬は薪ストーブの炎が家全体を優しく暖める。愛知県の田園風景が広がるエリアに立つK邸は、考え抜かれた温熱環境設計によって一年中、快適に過ごせる家だ。
Kさんが新居を考え始めたとき、まず優先したのが耐震性だったという。「南海トラフ地震が想定されるエリアだからこそ、地震が起こっても住み続けられる家を建てたい」と考え、調べていくうちにSE構法に出合った。「構造計算に基づき、柱と梁をボルトで強固に接合することで耐震性を高める仕組み」を知って、自らが求める“理屈に叶う家”だと感じたという。「自分なりに調べて『重量木骨プレミアムパートナー』制度を導入している工務店を探し、阿部建設を選びました。建物完成保証があるので安心してまかせられるのが決め手になりましたね」とKさん。
阿部建設の担当設計士とは、何度も打ち合わせを重ねた。「毎回、話し合いの前に疑問点や要望を資料にまとめて送っていました。担当の方は大変だったと思います(笑)。ですが、こちらの要望を伝えるだけでなく、最終判断は“設計の観点からベストだと思う案で”とお願いしていました」とKさん。建て主と設計側のお互いの意見を尊重しながら、構造・温熱・空調のバランスを探る対話を続けた結果、機能性と心地よさを兼ね備えた住まいが見事に形になった。
外観は、道路に対してわずかに角度をつけている。真南に向けて軒を深く出し、日差しを調節しながらも街並みに圧迫感を与えない。味わい深い「そとん壁」と木のコントラストが目を引くファサードは、凛としながらも温かみを感じさせる。玄関を入った1階には、LDKと薪ストーブを設置した洗い出し施工の土間スペース、浴室などの水回りを用意。LDKと約5mの吹き抜けでつながる2階には子供たちのスタディスペースと個室を配した。一家は家にいる時間のほとんどを個室ではなく、LDKとそこに隣接する土間で過ごす。SE構法によって柱を最小限に抑え、ひと続きにしたからこそ実現できた大きな空間。「家族が同じ空間にいながらも、リビングやキッチンなど、それぞれ居場所を持てるのが気に入っています」とKさんは話す。
庭のグリーンは「家でもキャンプ感覚を味わえるようにしてほしい」とJINEN GARDENに設計・施工を依頼。夏場になると大きな窓の向こうに茂る緑が、まるで森林にいるような心地よさをもたらす。一方、冬には土間の薪ストーブがこの家の主役に。「冬のキャンプで味わった、テント内に設置するタイプの薪ストーブで心も体も芯から温まる感覚を、家でも再現したかった」というKさんの希望どおり、吹き抜けを通してマイルドな暖かさが家中に広がる。夜に薪をくべて熾火(おきび)にすれば、翌朝も室内は25度を下まわることはなく、夜再び火を入れるときまで室温は保たれる。
「季節や時間によって気持ちのいい場所が変わるんです。キッチン、ダイニング、ソファ、薪ストーブの前──どこにいても心が整う家になりました」とKさん。家の構造への信頼と、心地よさを追求する暮らしへの感性。2つのバランスが、この木の家に頼もしくも優しい包容力をもたらしている。
取材・文/山崎かおり
K邸
| 設計施工 | 阿部建設 | 所在地 | 愛知県岡崎市 |
|---|---|---|---|
| 家族構成 | 夫婦+子供2人 | 敷地面積 | 368.94㎡ |
| 延床面積 | 110.01㎡ | 構法 | 木造SE構法 |








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