2017.05.12

LDKとテラスがつながる気持ちのいい大開口

LDKとテラスがつながる気持ちのいい大開口

目指したのは個でも大勢でもお酒と音楽を味わえる家

Uさんご夫妻がイメージしたのは「音楽とお酒を楽しめる空間」。ご夫婦と愛犬のチワワ2匹の生活には、延床面積270.05㎡はかなり広いが、自然と人が集まりゲストと過ごす機会が多いため、各階のスペースを有効に活用できているそう。
門を開くと長いアプローチが続く。1階はガレージスペース、2階には広々としたLDKとテラス、バスルームを配置。3階はプライベートジムや寝室、和室で構成されている。吹き抜けを中心にした開放的な間取りはSE構法ならではだ。
ただこのU邸は、駅に近くマンションなどの集合住宅が隣接している地区にあり、公道に接した側を大きな開口にすることは難しかった。そのかわり中庭を設け、これに面するLDKの南西側を全面開口にし、光を取り入れるプランにした。プライバシーが守られ、外にも内部の気配が漏れることはない。「音楽を聴いてもご近所の迷惑にならないんです」とご主人。音が漏れないようにと配慮した壁がスピーカーのような役割をし、音質がさらによくなるという、うれしい効果もあった。

LDK+テラスとガレージはおのおの違うパーティスペースに

LDKと隣接するテラスの境の窓は、ゲストが集うときは開放し、ゆったりとした空間をつくる。約20㎡の広さのテラスには雨にも強いアウトドア家具をコーディネイト。「家の中でもアウトドア気分で過ごせるようなテラスにしたかったんです」とUさん。「ミノッティ」のサイドテーブルをアクセントに、洗練された空間にまとめた。話題のグラマラスなキャンピングスタイル、グランピングをイメージし、自宅にいながらにしてラグジュアリーに過ごすことができる。キッチンからの動線はスムーズで、調理や盛り付けをしていても、ゲストと交流でき、ワインも楽しめる。
1階のガレージは一転してカジュアルな雰囲気。自転車のメンテナンスルームとして、またスケーターブランド「シュプリーム」のコレクションを並べたギャラリーとしても機能している。またそこから仕切りなく続く奥のスペースには、ホームバーを設置。「外に飲みに行くのも好きなのですが、最後、どこかで語ろうかという話になるとここに行きつきますね」とUさん。趣味の仲間たちが自転車に乗ったまま、気兼ねなく集まれるのもこのガレージスペース。居心地のいい空間に自然と友人が集まり、人が人を呼び、輪が広がる。

それぞれのテイストを結ぶのはグレーと緑のカラーリング

3階は寝室がある個の空間。寝室から吹き抜け前の廊下を隔ててゲストルームにもなる和室、ご主人のプライベートジムが連なる。寝室やジムといった用途が違う部屋が並び、また階によってテイストが変わっても不思議と調和しているのは、家全体がグレーで統一されているから。フラワーショップを経営し、花とともにある暮らしを楽しんでいるお二人のために、担当の建築士は花やグリーンのみずみずしさを際立たせる無彩色のシックなグレーを提案した。「和室の壁には、玄関アプローチやキッチンの床と同じタイルをあしらっているんですよ」と奥さま。色や質感を合わせることで、まったく違う空間でも、どこかリンクしている一体感が生まれる。「バスルームのタイルは、一般的な小ぶりのもので十分だと思っていたんです。でも、テラスやリビングと同じグレーの色にし、サイズも合わせて大判のものに決めました」。これは、割高な大判のタイルを選んでも予算内に収めますから、という設計担当者の熱意に押されたから。結果、バスルームはテラスとつながりができ、露天風呂に浸かっていると錯覚する特別な空間になった。
「家の仕上がりには100%満足しています」とUさん。「100項目近い細かい要望を出したのですが、打ち合わせの度に想像を超える提案があり、毎回驚きました」と振り返る。妥協を許さない家づくりに一番大切なのは、頼りになるパートナー、つまり工務店だと実感している。

取材・文 間庭 典子

U邸

設計 テラジマアーキテクツ 施工 テラジマアーキテクツ
所在地 東京都品川区 家族構成 夫婦+愛犬
延床面積 270.05㎡ 構造・構法 SE構法

この家を建てた工務店

MLWELCOMEの新着記事

MLWELCOME

MLWELCOMEは『モダンリビング』誌と「重量木骨の家」とのコラボレーションで特別編集されたムック本として2015年10月に発行されました。厳選された木造住宅の実例をウェブサイトでもご覧ください。