2026.10.13

軽井沢の森を見下ろす、傾斜地の高低差を生かした別荘

木造SE構法とRC造の混構造で、傾斜地に壮観な空間を実現

玄関から一歩足を踏み入れると、眼下に広がる吹き抜けの大空間と森の景色。窓から見えるのは木々と空のみ。静寂に包まれた軽井沢の自然へと没入する感覚を極めたこの別荘は、高低差のある地形を生かして建てられた。敷地は前面道路から南東に向かって6m下がっており、その先に20m急傾斜する森林地帯が続く。
 
 
扱いの難易度が高い土地だが、建て主のYさんは「逆に平地よりもよいと感じました。普通ではない場所にどう建築してもらえるか、自分では想像だにできないからこそ楽しみだったんです」とほほ笑む。自宅は海が見える場所にあり、「森林に囲まれた山中の家にも住んでみたい」というのが奥さまの念願でもあった。
 
 
設計を依頼したのはroomz 星野建築事務所。同社代表で基本設計を行った星野貴行さんは「いちばん大事にしたのは、内部と外部の境界を曖昧にすること。建築そのものが森のなかに溶け込むように設計しました」と振り返る。前面道路から車がすべり込むようにインナーガレージへとアプローチ。隣接する玄関は建物の2階にあたり、道路と反対側の森に向かって深く下る構成とした。敷地の傾斜と呼応する巨大な1枚の勾配天井と大開口のガラス面によって、意識が自ずと外へ向かい、限りなく遠くへ抜けてゆく。その開放感と、森と屋根の木に包まれる落ち着き感を心地よく両立させている。
 
 
大空間を実現できたのは木造のSE構法ならでは。傾斜地に建てるため1階の一部をRC造、車路やアプローチを鉄骨造とし、より強固な混構造に。施工は長野を拠点とする松代建設工業が担った。SE構法に精通する重量木骨の家のプレミアムパートナーだ。「日本全国に安心して施工を依頼できる工務店のネットワークがある点もSE構法の強みだと感じます」と星野さん。軽井沢の厳しい冬も快適に過ごせるよう、木繊維断熱材と輻射式冷暖房システムを用い、室内環境も高性能化した。
 
 
大ぶりな天然石を床から天井まで張り上げた壁面は圧巻。大空間を一層ダイナミックに見せ、大自然のなかにいる臨場感も高める。「建物の立ち姿から石の張り方ひとつまで、Yさんと何度も工事現場へ足を運んで確認し、調整を重ね、理想を追求しました」と星野さん。
 
 
「おかげでずっと楽しく家づくりができ、期待も想像も超える家が完成しました」とYさんは満足を語る。これから家族やゲストとここで過ごす喜びは尽きない。
 
 
取材・文/速水真理

Y邸
設計 roomz 星野建築事務所 所在地 長野県北佐久郡軽井沢町
施工 松代建設工業 家族構成 夫婦+子供3人
敷地面積 1,623.20㎡ 延床面積 273.40㎡
構法 木造SE構法、一部RC造

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