限られた空間で自由に過ごすオフィス併設住居








限られた空間で自由に過ごすオフィス併設住居
メリハリのある間取りで賢くオフィス空間を確保
大学生の息子さんをはじめ、3人のお子さんとご夫妻、愛犬が暮らすM邸。1階は建設業を営むMさんのオフィスを兼ねており、打ち合わせや作業帰りのスタッフが休憩するスペースとしても有効活用している。そのためビルトインガレージにも作業車が駐車できるよう余裕をもたせた。玄関からもガレージからも土足のままオフィスに入ることができるストレスフリーな動線だ。そして、奥さまから要望があったのはリビングの日当たり。「全面が窓で、太陽の動きを感じられるようなリビングが理想でした」という希望に応えるため、1階はオフィスや子供室などの必要な部屋をコンパクトにまとめ、2階のスペースのほとんどをLDKとした。お子さまたちは日中は学校で過ごすため、オフィスの稼働時間と動線が重なることもない。メリハリのある間取りで限られた敷地を賢く生かしている。
空間と一体化した階段と抜け感が心地よいLDK
家族が集まるLDKは空間を最大限に生かし、できるだけ広くした。特徴的なのは、階段の配置。「ガレージや玄関の位置に沿って導線を考慮したうえでのプランニングです。結果的には、LDKの中につくるしかありませんでした」と設計を担当したR.クラフトの武田 力さんは言う。しかし、完成後はこの階段がLDKの核となる存在に。インテリアデザインの面でも、手すりのスチールが空間のアクセントとして効いている。
また、このLDKには当初、南側と東側両面に大きな窓を、という希望もあった。しかし武田さんは直射日光の強さを考慮し、ルーフバルコニーから柔らかな光を取り入れることを提案。「実際に完成するまでは、壁に囲まれていて本当に明るいのかしら? と不安でしたが、今では外とつながっているような開放感に満足しています」と奥さま。それまで住んでいた家にもテラスはあったが、外からの視線が気になり、活用することはほとんどなかったという。だがこの新居では、プライバシーが完全に守られたルーフバルコニーが実現。LDKの一部としてリラックスでき、アウトドアリビングとしても活用されている。さらにここは浴室が近く、お風呂上がりには星を眺めながら過ごすこともできるそうだ。「家族5人がLDKに集まってもそれぞれのペースでくつろいだり、趣味に没頭するなど、個人で自由な時間が過ごせます」と、住み手のMさんは語る。
経験豊かな工務店とつくり上げる注文住宅ならではの自由度の高さ
加えて「リビングは娘たちがピアノの練習をするような和やかな場にしたい」という、奥さまの要望を受け、LDKの一角にはアップライトピアノを置き、演奏できるコーナーがある。「通常ならば、ここは収納スペースに充てるのですが、ピアノのサイズに合わせてLDKに馴染むようにしました」と、武田さん。DKとは階段を介しているため、お稽古にも集中できる。さらに壁で囲まれているため音が反響し、今まで以上によい音色を奏でられるようになったという、想定外の効果も得られた。
このM邸のように、定められた選択肢のなかで悩むことなく、家族それぞれのライフスタイルに合わせたコーナー、仕上げをカスタムオーダーできるのが注文住宅の豊かさ。敷地の特性や家族のライフスタイル、未来像までも考慮し、独自の機能を備えたオリジナルの住まいが完成した。
取材・文 間庭 典子
S邸
設計 | R.クラフト | 施工 | R.クラフト |
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所在地 | 埼玉県川口市 | 家族構成 | 夫婦+子供3人+犬 |
延床面積 | 161.47㎡ | 構造・構法 | SE構法 |