2025.12.08

室内ゴルフを満喫! 光と風が通り抜けるコートハウス

中庭をベースに内へと開いたコートハウスで、ホテルライクな日常を

玄関を入ると目の前にスタイリッシュな中庭が広がり、心地よい光や風が家全体にいきわたる軽井沢のT邸。南側の建物正面からは窓が1つも見えない一方で、玄関をはじめ、LDKやバスルームなど、ほぼすべての空間が中庭に面していて、日中は常に明るい光に包まれている。緑に恵まれた立地だが、幹線道路にも近いため、プライバシーを確保する必要があった。そこで、長野県内の住宅や別荘建築を数多く手掛けるMstyle house(エムスタイルハウス)が提案したのが、中庭を中心としたコの字型の平屋プラン。「外に開くのではなく、中庭を軸として内に開くコートハウスです」と代表取締役の酒井良子さんは語る。
 
 
モノトーンを基調とした洗練された空間は雑多な生活感が皆無。「木造で平屋であることは当初から希望していましたが、木のぬくもりは必要ない、と伝えていました」と建て主のTさん。キッチンは黒でまとめ、壁面全体を収納にし、冷蔵庫や調理器具も隠した。床はグレーの大判タイルで統一し、無機質でスタイリッシュなデザインを貫いている。
 
 
T邸のユニークなポイントは、充実したゴルフレンジをLDKに備えているところだろう。いわゆる“ゴルフの打ちっぱなし練習場”でもあり、シミュレーションゴルフも楽しめる。仲間を集めてのインドアコンペも可能だ。ゴルフライフをより豊かにする空間がリビングの延長にあるという贅沢が味わえる。
 
 
一般的に、ゴルフレンジは個室を用意したり、地下などの密室に配したりすることが多いものの、T邸ではリビングに隣接して設けた。もちろんゴルフボールがリビングに入らないよう、ネットに加えパーティションを立ててガード。自由な発想による、大胆なプランだからこそ趣味の時間を満喫できる。「リアルなゴルフ場でラウンドしたあとに、土間収納を通じて、そのまま汚れたキャディバッグを置けるのも気楽ですね」とTさん。玄関からLDKにつながる生活動線と、土間収納からゴルフレンジへと抜けるゴルフ動線の2つがあることで、ゴルフライフはより快適となった。
 
 
家全体の照明器具の選定や配灯など、照明計画も綿密に練った。「特にリビングのライトは天井のライン上に埋め込み、すっきりと見えるようにしています」と酒井さん。中庭も同様。昼は愛犬のドッグランとして活用、夜になるとライトアップされ、雰囲気のあるラウンジに。時間帯によって表情が変わるのもライティングを工夫したからこそ。
 
 
色や質感まで統一した上質なインテリア、生活のストレスを軽減する動線や機能に加えて、快適な暮らしのためにTさんが重視したのが軽井沢の冬をしのぐ気密断熱性だった。当初は県外の工務店に相談したもののうまくいかず、友人の紹介で軽井沢の厳しい気候を熟知するMstyle houseと出合ったという。「朝起きて屋外で光を浴びる、夜風に当たりながらお酒を楽しむ、星空を楽しむバスタイムなど、ホテルライクな毎日を、人目を気にせずに365日楽しめるプランです」と酒井さん。
 
 
この地での別荘建築の経験を積んでいるからこその知見を生かした結果、デザイン性と機能性を両立させた軽井沢のコートハウスが実現した。
 
 
取材・文/間庭典子

T邸
設計施工 Mstyle house 所在地 長野県北佐久郡
家族構成 大人2人 敷地面積 1554.27㎡
延床面積 114.90㎡ 構法 木造SE構法

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