2016.02.17

スキップフロアで家族がつながる住宅

スキップフロアで
家族がつながる住宅

機能とデザイン性の両方を
それぞれで担当し、二人で追求

「どんな素晴らしい家でも倒れてしまっては意味が無い。
何よりも家としての機能を追求しました」と語るご主人は自動車やエンジンの部品の製造にかかわる技術系のお仕事。
家造りにあたり、災害にもまけない耐震性、そして大事な家族を守る部分を重視した。
今までの実績データで納得でき、信頼出来ると感じたSE構法を選び、見学会に訪れた。
「重量木骨の家の骨組みについて学び、木材の表面に凹凸加工をしてねじ込まれたSボルトを実際に触って確かめ、これなら安心だと確信できました」と語る。外からは簡単に侵入できないように、窓の位置や大きさも計算。
「自分が不在の時にも娘達や妻が安心して過ごせるように」と防犯対策を万全にした。

一方で、奥様はレイアウトやインテリアコーディネイトを担当。
階段中央の大きな踊り場、スキップフロアも奥様のアイディアだ。
「ミシン等を使って作業する時間が多いのですが、いつでもLDKや二階と自然に繋がり交流できるスペースが欲しかったんです」。備え付けのあるスキップフロアではご主人がパソコンに向かいつつ、キッチンにいる奥様との会話ができる。
このスペースは娘さんの勉強部屋になる事も多いようだ。音楽室として活用している部屋とも繋がり、奥様が手仕事をしつつ、娘さんのピアノの練習を見守る事もある。

コーディネイターとの二人三脚で
理想の家のスケッチを実現化

設計施工を担当したニケンハウジングは、横割り分業であることが特色で、他の工務店では珍しい程コーディネイターの役割が大きい。
最初のミーティングで設計の大枠が決まった後、引き渡しまでの期間を常にケアするコンシェルジュ的存在だ。
毎回の造作家具で図面を引くという。
「デザイナーの役割も果たす窓口担当でお客さまの細やかな要望を対話によって引き出します」と社長の丹波八洲男さんは語る。
F邸のコーディネイターは今まで約100件以上のお宅を担当してきた田中美奈子さん。
「大まかな設計が固まった後、自分なりのイメージを具体化してくれたのが、田中さんでした」と奥様は振り返る。
キッチンの雰囲気は、こう、ここにはこんな機能が欲しい。というイメージをスケッチやインテリア雑誌の写真をコラージュすることで固めていった。
それを元にこのイメージならばこのタイルがいいキッチンにはマガジンラックを付けて等、田中さんのアドバイスが選択をスムーズにした。
床はバランスがよく、ナチュラルな風合いのパイン材がイメージに合うけれど、作業用カウンターは硬質なタモ材が摘している等、用途に合わせた素材選びも指南。
家具屋さんに同行することもあり、インテリア選びの細かい部分までサポートしている。
「お客様と向き合って入居までの家造りに立ち会えるやりがいのあるお仕事です。
今まで何より、嬉しかったのは、楽しそうに家づくりをするご両親を見て、将来建築家を志すようになった息子さんがいらした事ですね」と田中さん。

細やかな部分までこだわり
満足度の高い住宅の完成

コーディネイターの田中さんの尽力もあって、機能とスタイルを同時に追求したバランスの良い住宅が完成した。
「梁をデザインとして活かしたいという希望があったのですが、耐火を高める為に、もともとの梁を不燃材でカバーしさらに木材を飾る方法を採用しました」とご主人。
北側に位置するキッチンも窓が多ければ明るくはなるが、季節や時刻によって強すぎる光は落ち着かない。
それならばと防犯性を考えて天窓をとり、やわらかな光を一日中取り込めるようにした。

飾り棚のようなキッチンの横のコーナーや玄関正面のギャラリー的な役割のニッチなど、見せる収納を意識し、カスタムオーダーした。夫婦は既製品にはないユニークなコーナーで生活を楽しみ、季節を感じている。

取材・文 間庭 典子

 

W邸

設計 丹波八洲男 田中美奈子 施工 ニケンハウジング株式会社
所在地 愛知県大府市 家族構成 夫婦+子供二人
延床面積 117.79㎡ 構法 SE構法 規模 2階建て

この家を建てた工務店

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