生活感が表に現れないように工夫しました。
壁の向こう側には、外観からは想像もつかないような明るいテラスが広がっています。
「4台分のガレージがある家が欲しい」無類の車好きのオーナーTさまは、都心で夢のような条件を満たす土地を探し求めて売地を見て廻りました。たどり着いた候補地は、3m以上の擁壁に支えられた傾斜地。聞けば数年前の豪雨の際、敷地全体が崩壊して取材のヘリまで飛んだといいます。
相談を受けて即座に購入に反対しましたが、当社が設計を担当することになりました。詳しい敷地調査の際、行政より「近隣のためにも、きちんとした工作物を造って安全を確保してほしい」との依頼があったことからです。
敷地が傾斜地のため、擁壁を兼ねたガレージ本体はコンクリート造になりました。自家用車が4台格納できる無柱の大空間は、構造計算の結果、分厚いコンクリートの壁に囲まれた防空壕のような空間に仕上がりました。
この上に、SE構法による二層の居住空間が載っています。外観は、できるだけシンプルにとの要望から窓の少ない真っ白な箱になっていますが、汚れがつきにくい工夫がされています。
箱の中に広々としたテラスを抱いて、陽光まぶしい室内空間が広がっていることは、外部からは伺い知ることはできません。