土間が暮らしを変える。おしゃれで便利な、土間活用の5つのアイデア

最近よく見かけるのが、暮らしに土間空間を上手に取り入れているお宅。家の中に“土間”があることで、毎日の暮らしがちょっと便利になったり、より充実したりと、実はさまざまなメリットがあります。しかし、実際に土間を間取りに取り入れるには、場所によってはデザイン面や間取りづくりで気をつけなくてはいけないこともあります。そこで今回は、土間を上手に活用するための5つのアイデアをご紹介します。
土間が暮らしを変える。おしゃれで便利な、土間活用の5つのアイデアのインデックス
土間って、そもそもどんな空間なの?
昔ながらの日本家屋では、玄関の扉を開けると、広い土間スペースがあるのが一般的な間取りでした。この土間スペースは、現代の“玄関”の役割を果たしながらも、ここで調理をしたり、農具の手入れをしたり、ときにはコミュニケーションの場所になるなど、家族にとって大切な空間だったのです。
この土間空間は、家の内部でありながら、土足でも歩くことができるのも大きな特徴です。雨風をしのぎながら、室内ではできない作業をしたり、荷物の一時置き場にもなるので、暮らしの中で重宝します。現代の家では、玄関は靴の脱ぎ履きができるだけのコンパクトな家が一般的にはなっていましたが、あえて玄関の土間部分を大きくとって、土間玄関として活用する間取りやデザインが人気になってきています。
さらに土間玄関に限らず、リビングルームの一部やダイニング、キッチンなどに、土間スペースを取り入れる家が増えてきているようです。これは、土間特有の使いやすさや便利さが見直されたのと同時に、異素材の床を組み合わせるデザイン面での魅力を感じているからではないでしょうか。
土間の床部分は、かつての日本家屋では、赤土や砂利などを混ぜた「三和土(たたき)」という素材を使うのが一般的でしたが、これも次第に変化してきています。現代では、コンクリートやモルタル、タイル、天然石などの素材を使うことが多いようです。素材の選び方によっても、クールに見せたり、スタイリッシュに見せたりと、バリエーションが豊富なのも、現代らしい土間の魅力なのです。
土間を取り入れるメリット、デメリットとは
間取りの中に土間空間を取り入れることで、暮らしの中でどんなメリットやデメリットがあるのでしょう。
<土間のメリット>
・DIYや趣味が楽しめる、ガレージ的な役割も兼ねられる
・来客を迎え入れる場所として、サブリビングのような役割を果たす
・オブジェやアート、植物などを飾って、アトリエのように使える
・スポーツやアウトドアなどの、趣味の道具置き場になる
・野菜の保管場所として活用できる
・届いた宅配荷物などの、一時置き場になる
<土間のデメリット>
・土間の広さを確保するために、室内の居住スペースが減ってしまう
・土足で歩く場所のため、床が雨で濡れたり、湿気が残りやすい
・目的をしっかり検討しないと、無駄なスペースになってしまう
・土間の広さや素材の選び方によっては、費用が高くかかる場合もある
メリットとデメリットを考慮した上で、家族のライフスタイルに合わせて間取りに取り入れてみましょう。
【土間の活用例1】玄関を広くとれば、趣味や収納スペースに
土間といえば、玄関を広くする「土間玄関」が一般的。リビングやキッチンなどに土間スペースを設けるには、デザイン面や使い勝手をしっかり考慮する必要がありますが、玄関であれば、シンプルに土間部分を広くすればいいのです。土間を暮らしの中に取り入れたいのであれば、もっとも手軽なのが「土間玄関」といえます。
玄関の土間部分を広くすることで、ただ靴を脱ぎ履きする場所から、さまざまな使い方ができる空間に変わります。たとえば、週末にDIYや自転車いじりをしたり、植物の植え替えをしたりと、雨風がしのげる土間なら作業しやすいでしょう。土間の床は、土などで多少汚れても掃除がしやすいですし、室内より気兼ねなく作業ができます。
土間玄関の大きなメリットは、趣味の物や大きな荷物などを置いておくことができること。お子さんが小さい頃は、ベビーカーや三輪車などを置いたり、大切な自転車などを雨風から避けて安全に保管することもできます。
また、宅配で届いた大型の荷物を一時的に置いておいたり、日用品のストック類を保管しておくのにも便利な場所です。最近は感染症予防の側面から、届いた荷物をすぐに室内に入れずに、玄関などに一定期間置いておくことも有効でしょう。
【土間の活用例2】汚れても掃除がしやすい! 厨房のような土間キッチン
ダイニングルームやキッチンの床を、土間素材にしているお宅も。とくにお子さんが小さいご家庭なら、ダイニングテーブルの下が汚れてしまうことも多いですよね。そんなときに、床がラグや無垢の木材であると気を遣ってしまいますが、土間の素材であれば掃除もサッとできて安心です。
また、ダイニングルームと続いているキッチンの床も土間素材に。調理をする場所こそ、食材の汚れや油はね、水はねなどが気になってしまいます。そこで、床を土間にすることで、箒でサッと掃いたり、モップなどで水拭きをしたりと簡単に汚れを落とすことができるようになります。さらに、土間素材にすることで、カフェのキッチンのようなおしゃれな空間に。
こちらのお宅は、床をお手入れしやすいタイルにした土間風キッチン。キッチンの床や設備をシルバー系のクールな印象で統一し、一方でダイニング側は木の温かみを生かしたデザインに。こうすることで、自然な形で空間を分ける効果もあり、異素材ミックスの面白さを実感できるはず。このように、土間には機能的なメリットがある以外にも、デザイン性でも個性をプラスできるといった魅力もあるのです。
【土間の活用例3】外空間と室内をつなげてくれるアウトドアスペース
リビングと庭の間に設けられた土間スペースは、もうひとつのアウトドアリビングとして活用することができます。リビングの開口部を大きく開け放てば、驚くほどの開放感。ここにアウトドア仕様のチェアやテーブルを置けば、家にいながらにしてアウトドア気分が満喫できます。これなら、雨の日でも外の空気を感じることができ、雨風を避けながらのお外ごはんも楽しめるでしょう。
こちらのお宅は、ダイニングとキッチンスペースが丸ごと土間空間に。ダイナミックな開口部を解放すると光と風が通り抜け、室内にいるのに、まるでデッキにいるような感覚になります。
また、たくさんの来客があったときにも、庭先でバーベキューをしたり、室内のダイニングテーブルでご飯を食べたり、大人数でのパーティーにも最適。サーフィンをされるご家族ということで、大きなロングボードも楽々と室内に持ち込めるというメリットもあるようです。
【土間の活用例4】ゆとりのある暮らしができる、もうひとつの土間リビング
エントランスから続いているという土間スペースには、デザイン性の高いソファやチェアを置いて、来客をおもてなしすることも。玄関先では失礼だけれども、リビングに上がってもらうまでもない、というときに重宝します。また、セールスマンなど家に上がってもらうのに抵抗がある来客の場合も、このような空間があると安心です。土間であれば、靴を脱いでもらう必要もありません。
また、このようなちょっとした土間スペースは、オブジェやアートを並べて、ギャラリーとして活用するのもおすすめです。玄関先で、“見せて楽しむ”スペースとして、いろいろなアイデアで活用してみるのも楽しいですね。
こちらのお宅は、ダイニングテーブル側を土間スペースにし、プライベート性の高いキッチンとリビングとは区切った空間に。こうすることで、来客をエントランスから通して、そのままダイニングテーブルに案内できます。キッチン側にもリビング側にも仕切りがついているので、散らかっていて見られたくない、というときには扉を閉じておきましょう。
自宅兼オフィスとして使っているお宅などでは、ダイニングテーブルで打ち合わせもできますし、いろいろと使える間取りのアイデアですね。
【土間の活用例5】薪ストーブ置き場として、スタイリッシュに見せる
室内に薪ストーブを設置する場合、土間を設置場所として活用するお宅も多いようです。薪ストーブは一般的に、レンガ素材でできた“灯台”と呼ばれる床や、遮断壁などを設けることが多いでしょう。そこで、リビングの一部を土間にして、そこに薪ストーブを設置することで、同じような機能を持ちながらもシンプルでスッキリと見せることができます。
こちらのお宅でも、リビングと庭の間に長い土間スペースを設け、さらに薪ストーブまわりも土間仕様に。二箇所の土間は同じタイルを採用することで、全体的な統一感を出しています。さらに薪ストーブまわりは、遮断壁を設ける代わりに、壁の一部をタイル張りにするなど、デザイン面でのこだわりが感じられます。
また、この土間はキッチンのパントリーとつながっていることで、買ってきた食料や畑で収穫した野菜などを、室内を通らずにキッチンに運ぶことができます。水や食材、日用品などのストック類は運ぶのも大変ですが、土間があれば、外側からダイレクトに運び入れることも。リビングの一角に、土足でも歩ける土間空間があるのは、何かと便利ですね。
まとめ
土間空間は、絶対に必要なスペースというわけではなく、家の中では“余白”のようなスペース。とは言うものの、その余白スペースがあることで、暮らしの質がぐっと上がります。とくに、DIYやガーデニング、アウトドアなどを楽しむご家庭であれば、何かと便利に使える空間でしょう。ぜひ、家づくりをする際には、土間スペースの活用アイデアを参考にしてみてはいかがでしょうか。