ダイニングとは? リビング・キッチンとの違いと間取りのポイントを実例とともに紹介
ダイニングとは? リビング・キッチンとの違いと間取りのポイントを実例とともに紹介のインデックス
同じ家で過ごす家族も、日中は働いたり学校へ行ったりとそれぞれの活動があります。また家に帰っても、寝る時間が多くを占めているので、家族で過ごす時間というのは平日にはあまりないということも。そんな毎日の中でも、家族そろって食事をする時間があれば、会話をする時間が生まれます。ダイニングは、家族が集まって美味しいものを食べながら笑顔でコミュニケーションが出来る、大事な空間といえるでしょう。
ダイニングとは
ダイニングと言う言葉はダイニングルームとも呼ばれ、日本語に訳すと食事室という事になります。日本の庶民の住宅スタイルの歴史を見てみると、茶の間にちゃぶ台というスタイルが懐かしいですね。古いと言えども、なんとなく見覚えがある風景のような気がします。このスタイルでは、食事の時間になると茶の間にちゃぶ台を広げて台所で作った食事を運び、そこで食べる。そして食べ終わればちゃぶ台を片付けて布団を敷いて寝るというものでした。その後、食寝分離という考え方が提唱され、台所に食事をするテーブルが置かれたダイニングキッチンが誕生しました。そしてさらに多様化し、現代ではLDKが一体となった形が主流になってきているのではないでしょうか。
ダイニングとリビングの違い
ダイニングとリビングの違いは皆さんご存知ですか? ダイニングは先ほど説明した通り、食事を取る空間ですが、ではリビングはどうでしょうか。言葉の定義としては家族が集まって寛ぐ空間、日本語で訳すと居間という事になります。先ほどもご紹介した、「茶の間」が、その昔は居間の役割も担っていました。ですが、ダイニングキッチンの登場により茶の間から食事の用途がなくなり、食事が終わった後に家族でテレビを見たりくつろぐ空間へとシフトしていきました。
ダイニングとキッチンの違い
では次に、ダインニングとキッチンの違いはどうでしょうか。先ほど住宅の歴史を見てきましたが、『食寝分離』によりダイニングキッチンなるものが登場したとお伝えしました。キッチンはいわゆる、日本語で言うところの台所です。定義は食事を準備する場所、調理をする場所ですね。そしてダイニングは食事をとる場所です。食寝分離により、寝る場所と食事を取る場所は分けられましたが、その代わりに食事を作る場所と食事を取る場所が一緒になったという歴史の経緯がありました。
DK/LDKの意味
次に、DK(ダイニングキッチン)とLDK(リビングダイニングキッチン)の違いについて考えてみましょう。
DKとは
まずはDK(ダイニングキッチン)。これは、食事を作る場所と食事を取る場所が一つの空間にまとまったものです。キッチンが独立しているという作り方の場合、生活感は隠すことは出来ますが、食事の準備から配膳まで、または食事後の片付けなどの家事動線が長くなり使い勝手もあまりよくありません。その点、ダイニングキッチンであれば、キッチンが壁付けであろうが、カウンター型キッチンであろうが、アイランド型キッチンであろうがダイニングテーブルがすぐそばに配置されることになるので家事動線も短く便利ですし、何より家族の存在をより近くに感じることが出来るスタイルと言えます。リビングが付属していないことからダイニングにリビング的な要素、例えばダイニングチェアを少し低めに、落ち着いて座れるようにするなどがあると長時間くつろぐことが出来ますね。
LDKとは
次にLDK(リビングダイニングキッチン)について。こちらは先ほどのDK(ダイニングキッチン)にリビングまで一体空間としてまとまったものになります。より多くの要素を一つの空間に収めていますので広々と開放感を感じることが出来るでしょう。敷地の形状や空間の作り方によってキッチン、ダイニング、リビングが大きな四角形の空間にすっぽりと入っていることもありますし、キッチン、ダイニングが一体になった空間にL字型のようにリビングが付いていることもあります。家族の過ごし方として一つの空間でダイニングで食事をする人と、リビングでくつろぐ人が居ても、一体感を持ってそばに感じることが出来るという事がメリットですね。ただ、生活感が出やすい作りとも言えますので収納に工夫して来客時に雑多な物を収納できるようにするといいでしょう。
間取り表記における広さの目安
DK(ダイニングキッチン)とLDK(リビングダイニングキッチン)の両方が2つあるいは3つの機能を一つの空間に収めたものになっているわけですが、ではその違いはと言うと、その空間にリビングとしての機能を付け足せる余裕があるかないかという事が言えると思います。その一つの指標に個室の数によるものがあります。以前は明確な指標はなかったようですが、2011年に公益社団法人不動産公正取引協議会連合会が定義したのもので、例えば個室が一つの場合は、DKは最低4.5畳、LDKは最低8畳必要であり、個室が2つ以上ある場合は、DKは最低6畳以上、LDKは最低10畳以上必要ということになっています。個室の数と言えば家族の人数と関わりが深く、その人数によってDKに配置するダイニングテーブルやチェアーのサイズや、リビングに配置するソファの形状や数も変わってきますのでそれぞれの広さが変わるのは当然と言えば当然ですね。
人数・家族構成別の間取りの選び方
1人暮らし・カップルでの暮らしの場合
DKを選ぶかLDKを選ぶかは家族構成によっても違います。1人暮らしやカップル(2人暮らし)の場合はコンパクトなDKを選ぶと空間を有効活用できるでしょう。あえてDKを小さくして、リビングや寝室を充実させるという考え方です。また、スペースを有効活用するために、ダイニングとリビングを一緒にしてしまうという考え方もあります。例えばダイニングテーブルを低めに設定してダイニングチェアをソファタイプのものにすれば、食事を取った後そのままくつろぐことができます。またはキッチンにカウンターをつけて食事はカウンターで、ダイニングスペースにソファを設置すればリビングスペースとして過ごすことも可能です。
3人以上の家族での暮らしの場合
では、3人以上で暮らす場合について考えてみましょう。3人以上となると、夫婦と子供という構成が考えやすいでしょう。その場合、個室で過ごす時間より、家族で過ごす時間を大切に考えると思いますので、個室を充実させるというよりはリビングを大きく作って家族で過ごす時間を増やすといいですね。また、リビングに子供が勉強するスペースを作ったり、パソコンで作業できるようなデスクスペースを作ったりすることで個室の一部の機能をリビングで担う事も出来ますので、リビングで家族が過ごす時間が増えるという事に繋がります。また、来客が多い家ではリビングとダイニングとキッチンが一体空間になっている方が迎える人も訪れた人も一体感を持って過ごせます。
ダイニングを快適な空間にするためのポイント
ポイント1 部屋の大きさにあった家具を選ぼう
まずは、ダイニングで一番場所を取るのがダイニングテーブルです。ダイニングテーブルのサイズを選ぶときはテーブル本体のサイズを部屋に合わせるのはもちろん、椅子に座った時の奥行きや椅子に座った人の後ろを通路として利用できるかどうかも考える必要がありますね。また、伸縮式や折り畳み式のテーブルを使う事で用途に応じてコンパクトに使う事も出来ます。さらに、狭い空間では背の高い家具より背の低い家具を置いた方が空間を広く見せる効果があることも覚えておきましょう。
ポイント2 部屋を大きく見せる工夫をしよう
実際の部屋の大きさは変えられませんが、目の錯覚を使うという手法もあります。白やベージュなどの色は膨張色と言って空間を広く見せる効果があります。面積の大きな壁紙を白くしたり、カーテンなども淡色を選ぶようにするといいでしょう。また、ダイニングの大部分を占めるダイニングテーブルの天板にガラスを使ったり、テーブルの脚を細いものにすると視界を遮るものが少なくなることから空間の広がりを感じることが出来るでしょう。
ポイント3 生活感をなくすアイデアを取り入れよう
生活感をなくすことによって、ダイニングを素敵な空間にすることも出来ます。例えば観葉植物やイラスト、写真などを飾りその部分に視線を集める「フォーカルポイント」を作ることです。目を惹くお洒落なポイントがあれば、生活感よりもそちらに集中しますので空間の素敵度がアップしますね。また、ダイニングテーブルの天板下に引き出しが付いているものもあります。引き出しに、ダイニング周りの雑多な物を収納しておけば生活感を隠すことが出来ますね。
ダイニングテーブルの選び方
ダイニングテーブルを選ぶ際に、デザインだけで選ばないように注意しましょう。ダイニングの広さや、家族の人数などをもとにして考えるといいですね。
家族の人数からサイズを考える
ダイニングテーブルは、家族の人数からサイズを考えるといいでしょう。一般的には、一人当たり60cmから75cmの幅が必要と言われています。例えば4人家族の場合は、120cmから150cmの幅が必要ということになりますね。奥行は、80cmから100cmが一般的ですが、大きすぎると、距離を感じてしまうので注意しましょう。また、来客が多い家の場合は、大きいテーブルを買うのもひとつですが、伸縮できるタイプのダイニングテーブルの方が普段の使い勝手は良いでしょう。
テーブル周りのスペースを確保
家族の人数や来客の頻度によって、ダイニングテーブルのサイズの目星がついたら、ダイニングスペースと空間のバランスを考えなければなりません。ダイニングスペースには、ダイニングテーブルとイスを配置する訳ですが、座る際には、椅子を引く必要があります。その分のスペースも必要であり、またそれ以外に、椅子の後ろを人が通る場合には、その通路分の幅も考えないといけません。また、椅子のひじ掛けの有無によっても、その必要な幅が違ってきますので、家具選びと空間の大きさの関係には注意しましょう。
ダイニングとキッチンのレイアウトのコツ【広さ別】
ダイニングとキッチンは非常に近い関係にありますが、部屋の広さによって暮らしやすいレイアウトが違います。広さ別に見てみましょう。
6畳ほどのコンパクトなダイニング
ダイニングが6畳ほどのスペースの場合は、ダイニングテーブルは人数に合わせた最小サイズの物を選択するのがおすすめです。また、キッチンも十分な作業スペースが取れない可能性もありますので、ダイニングテーブルはキッチン近くに配置して、補助的な作業スペースとして使えると便利でしょう。また、こちらの事例のようにデザインをシンプルにして、オープンタイプのキッチンにすると視界の抜けも良く、狭さを感じにくくなりますね。
8畳ほどの一般的な広さのダインング
8畳ほどのダイニングスペースがあれば、大きめのダイニングテーブルを置いても、通路幅が十分取れて、余裕のある暮らしができるでしょう。また、キッチンのタイプにもよりますが、対面キッチンの場合は、前面にダイニングテーブルを置く事で、家族のコミュニケーションが取りやすい配置になります。スペースにゆとりがあるので、こちらの事例のように、ダイニングセットを、家族に合わせたオリジナルのお洒落な一点モノにすることもできます。
10畳ほどの広々としたダイニング
ダイニングスペースが10畳ほどあると、キッチンとは独立した、ゆったりとした空間が実現します。ダイニングテーブルも、6人掛けのものを置いてもまだ、通路を確保できるほどの広さがあるでしょう。こちらの事例のように、ダイニングテーブルを置いて、スタディーコーナーを設置することも可能ですね。ただ、キッチンとは独立した空間とは言っても、余りに離れすぎていると、配膳や後片付けの時に家事動線が長くなって、使い勝手が悪くなる可能性もあるので注意が必要です。
素敵・おしゃれなダイニング実例7選
キッチンと横並びに配置された明るいダイニング
夫婦二人の為のコンパクト住宅です。キッチンはオールステンレスのシンプルなデザイン。キッチンの背面を隠す収納にすることで生活感を隠すことに成功しています。その奥には白木で作られたダイニングテーブル。色を薄くすることで、壁の白さと相まって空間の広がりを感じます。また、ダイニングチェアーをベンチタイプにすることで座る人数の増減に対応出来ます。来客時には重宝する椅子のタイプですね。また、ダイニングテーブルの後ろには作業カウンターと収納棚が造り付けられており、見せる収納としてのフォーカルポイントにもなっています。
キッチンに立つと家族の顔が見えるダイニングテーブルの配置
カウンターキッチンの前面にダイニングテーブルを配しています。ありがちなキッチンにピッタリとダイニングテーブルを付けるスタイルではなく、通路分のスペースを開けてテーブルを配置しています。行き止まりのない回遊性のある動線を、ダイニングテーブルを中心に作ることで家族が家の中で移動するときにストレスのないような作りになっています。
調理から食事、後片付けまでが簡単なダイニングテーブルの配置
カウンター型キッチンの前面は通路とその先には吹抜けが広がっていて、視界が抜ける開放的な空間になっています。ダイニングテーブルはキッチンの延長線上に配置していることから、調理をして配膳する、または食事をして片付けをするという動線が短くコンパクトに動きやすい工夫がされています。また吹抜けはダイニング上部まで広がっているのに対し、キッチンは通常の高さの天井があり、領域が緩やかに区切られていることで、一体感を感じつつ生活感をうまく隠す作り方になっています。
おしゃれな照明のある、白と木目のナチュラルなダイニング
大きなアイランドキッチンの前面に、広々としたダイニングセットがあり、キッチンの向かいには造り付けのベンチスペースも設けています。かなり余裕のあるダイニングスペースと言えるでしょう。天井が勾配天井なので、縦方向にも開放感がたっぷりの広々とした空間です。ダイニングスペースの開口部の作り方にもメリハリがあるのもポイント。ベンチ側には大きな開口があり、キッチンからも外の景色が楽しめます。またサイドは、天井の高さを利用して、高い位置にフィックス窓が設置されています。
キッチンとデザインを揃えた統一感のあるダイニング
カウンター式のキッチンの前面に、ダイニングセットを配置しています。ひじ掛けタイプのチェアを、4つ設置しても余裕のある、大きめのダイニングテーブルです。ダイニングスペース自体が広いので全体としてゆったりとした印象です。また、キッチンとダイニングテーブルの素材を合わせていることで、空間に統一感が保たれていることも、より広さを感じるポイントと言えるでしょう。予備のデザインチェアも素材が合っているので、空間の邪魔にならずに、インテリアの一部としての役割も担っています。
中庭に面して、四季の変化を楽しめる丸テーブルのダイニング
木をインテリアのメインにした、温かみのあるダイニングスペースです。ダイニングテーブルが円形で、デザイン性が高いところもポイントと言えるでしょう。通常、円形のテーブルセットには、大きめの空間が必要ですが、これだけの広さのあるダイニングスペースなので、テーブルを置いても、まだまだ余裕を感じます。円形のテーブルは、椅子を置く位置の自由度が高いのも魅力です。中庭側を向いて配置すれば、庭の緑を楽しみながら食事が出来ますし、キッチンの方を向いて配置すれば、キッチンで作業する人とコミュニケーションが取りやすいですね。
キッチンと一体となったダイニングカウンター
空間としては、コンパクトなダイニングスペースです。キッチンと一体となっているカウンター型のテーブルに、ダイニングチェアーが4つ配置されています。ダイニング上部は勾配天井で高さが感じられるので、コンパクトなスペースでも開放感を味わうことが出来ます。この写真を見ていると、小さなスペースというのは決して悪いものではなく、きちんとデザインされていれば、逆に落ち着けるちょうどいい空間に仕上がるということが分かりますね。
まとめ
今回は、ダイニングという空間について改めて掘り下げてみました。言葉の定義から、広さの基準など、知っているようで知らなかった情報もあったのではないでしょうか。ダイニングは、家族が集まって食事を取る場所です。美味しいものを食べると、人は笑顔になります。美味しいものを食べながら、笑顔で今日一日の出来事を家族で共有する。そんな素敵な空間にするために、あなたもダイニングの作り方について考えてみませんか。