ダイニングを快適に作るには? レイアウト&家具選びのコツをご紹介
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ダイニングは住宅の中心的なスペースの一つ。日々の食事はもちろん、家族の団らんや、ちょっとした作業など、さまざまなシーンに使われます。そのため、ダイニングの心地よさが暮らしの質に直結すると言っても過言ではないでしょう。今回の記事では、家具選びや間取りのポイントなど、ダイニングの作り方のコツについてご紹介していきます。
ダイニングとは
ダイニングとは、家族がそろって食事をするための部屋のことを言います。戦前の日本では、食べる場所と寝る場所を分けずに一つの部屋で兼用していましたが、戦後に「食寝分離」という西洋風のライフスタイルの考え方が普及し、日本の住宅においてもダイニングという食事のための空間が設けられるようになりました。
ダイニングとリビング、キッチンの関係
住宅の間取りを考える際、ダイニングを独立した部屋として設けるケースは少なく、リビングやキッチンと一体となったプランが一般的です。ここでは、ダイニングを計画する上で欠かせないリビングとキッチンについても解説していきます。
リビングとは
リビングとは、家族がくつろぐための部屋のことを言い、日本語では居間や茶の間と訳されます。戦前の日本の住宅ではダイニングと同様に、リビングという空間の概念はなく、食事も娯楽も就寝も全て同じ部屋で行われていました。戦後になると、食事をするためのダイニング、くつろぐためのリビングと、それぞれ用途を分けて空間が設けられるようになりました。
キッチンとは
キッチンとは、食事を用意するための場所、つまり台所のことを指します。キッチンはもともと、土間や板間として居住空間から外された場所に設けられてきました。現代では、家事動線の効率の良さから、キッチンをダイニングと併設する間取りが主流となり、同一空間に設けるケースが多く見られるようになりました。
ダイニングのある間取り【DK・LDK】
住宅の間取り図において、ダイニングは「D」、リビングは「L」、キッチンは「K」と表記されます。ダイニングはリビングやキッチンと一続きの空間でプランニングされることが一般的で、組み合わせには「DK」や「LDK」など、さまざまな種類があります。
DKとは
DK(ダイニングキッチン)とは、食事をとる場所と台所を一つにまとめた間取りのことを言います。ダイニングキッチンのレイアウトにはさまざまな種類があり、背後にダイニングを配置する壁付け式や、カウンター越しにダイニングを配置する対面式などがあります。また、キッチンの作業台とダイニングテーブルを兼用するレイアウトも人気があります。ダイニングとキッチンを一体で計画することによって、料理の配膳や片付けなどの動線が短くなり、家事効率を高めることができます。
LDKとは
LDK(リビングダイニングキッチン)とは、DKに居間の機能を加えた部屋のことを言います。一つ一つの空間を壁で仕切らないため、オープンな空間を作ることができます。リビング、ダイニング、キッチンの3つの機能が一つの空間にまとめられているため、食事の支度から食後の団らんまで、家族が同じ空間で過ごすことができます。
DKとLDKの広さの目安
DKとLDKの違いは、リビングがあるかどうか、つまり、くつろぐための空間を設ける広さがあるかどうかで決まります。それぞれに必要な広さの目安は不動産公正取引協議会連合会によって定められており、一般的な戸建住宅(DKまたはLDK以外に居室が2部屋以上ある)の場合、キッチンのある空間が6帖以上あればDK、10帖以上あればLDKとして区別されます。
家族で快適に過ごすには、最低でも12帖以上の広さのLDKが必要とされています。一人暮らしのアパートなどで居室が1部屋のみの場合は、4.5帖以上あればDK、8帖以上あればLDKと区別されます。
ダイニングを快適にするためのポイント
テーブル周りのスペースを確保する
ダイニングに置く家具の中でも、ダイニングテーブルが最も場所を取るため、その周囲に十分なスペースを確保しなければなりません。テーブル本体のスペースはもちろん、椅子を引いて座れるだけのスペースや、通路のためのスペースも必要になります。また、テーブルを使用する人数が多いほど広いスペースが必要になりますが、大きすぎるテーブルを選ぶと、そのほかのスペースが圧迫されてしまうため、過不足のないサイズを選ぶことが大切です。
フレキシブルな家具を選ぶ
ダイニングに置く家具は、さまざまなシーンや用途に合わせてフレキシブルに使い分けられる家具がおすすめです。例えば、伸長式や折り畳み式のテーブルは、普段は天板をコンパクトに収納して部屋をスッキリと見せ、大人数の来客時には広げてゆったりと使用することができます。また、椅子に関しても、複数人で一緒に座れるソファやベンチにすると便利です。
内装の工夫で空間を広く見せる
広々としたダイニングスペースの確保が難しい場合でも、内装の工夫次第で部屋を広く見せることができます。例えば、白やベージュなどの明度の高い色は膨張色と呼ばれ、空間に広がりを持たせる効果があります。面積の大きい壁紙やカーテンなどに用いると、より効果的です。また、ダイニングテーブルの天板にガラスを使ったり、テーブルや椅子の脚を細いものにしたりすれば、視線が抜けやすくなり、開放感を演出できます。
スッキリ片付けて生活感をなくす
ダイニングは、散らかりやすく生活感が出やすい空間です。しかし、食事をするための場であるからこそ、清潔感を意識した部屋づくりが重要となります。そのためには、できる限りものを置かないことがポイント。食器やカトラリーといったダイニングに欠かせないアイテムに関しては、壁面やデッドスペースに隠す収納を設けて、スッキリと片付けておくと良いでしょう。
ダイニングテーブルの選び方【サイズ】
天板のサイズ
ダイニングテーブルで食事をする際、一人当たりに必要な広さの目安は「幅60cm×奥行40cm」とされています。家族とダイニングテーブルを使用する場合は、この目安をもとに人数に合わせて天板のサイズを選びましょう。また、家族との距離感にゆとりを持たせたい場合は、この目安よりも一回り大きいサイズで選ぶ必要があります。また、食事のほかに、仕事や勉強などでダイニングテーブルを使う場合は、それぞれの用途に合わせてサイズを選びましょう。
テーブルの高さ
ダイニングテーブルの高さも、使い勝手を大きく左右するポイントです。体に合わない高さのテーブルを使うと、姿勢が悪くなったり、疲れを引き起こしたりする可能性があります。国内で流通しているテーブルの多くは70~72cmで設計されていますが、海外製のものは75cm以上のものが一般的で、ソファと組み合わせる場合は63cm程度、お子さんと一緒に使う場合は67cm程度が適切なサイズとされています。テーブルを購入する場合は、実物に触れ、快適な高さを確かめた上で選ぶことをおすすめします。
ダイニングテーブルの選び方【形状】
長方形
長方形のダイニングテーブルは、間取りを選ばず配置しやすいのが魅力です。壁際に寄せても、部屋の中央に置いても快適に使うことができます。また、長辺は横並びに座ることができるため、家族でテーブルを囲みやすく、来客時にも対応しやすいという利点があります。サイズやデザインの種類が豊富なので、部屋の雰囲気や好みに合うものがきっと見つかるでしょう。
正方形
正方形のテーブルはシンプルかつコンパクトなデザインが特徴で、少人数での使用や、小さめのダイニングにおすすめ。壁付けや角置きがしやすいため、デッドスペースを減らすことができ、空間を有効に使うことができます。ただし、座れる人数に限りがあるため、来客時には使用せず、日常生活での使用にとどめておくと良いでしょう。
円形・楕円形
円形・楕円形のテーブルは、柔らかく温かみのある印象を与えます。角がないデザインは安全性が高く、小さなお子さんがいらっしゃるご家庭でも安心して使えます。円形はコンパクトで場所を取らず、楕円形は複数人でも使いやすいというメリットがあります。ただし、正方形や長方形のように壁付けができず、デッドスペースを生みやすい点がデメリットです。
ダイニングチェアの選び方【サイズ・形状】
サイズの目安
ダイニングチェアを選ぶときはまず、足が床につくかを確認しましょう。座ったときに窮屈さや圧迫感を感じないことも重要なポイントです。さらに、テーブルとの高さのバランスも要チェック。一般的には座面とテーブルの差が27~30cm程度になるものが理想とされています。座り心地や高さをしっかり確かめて、自分にぴったりのサイズを選ぶことで、快適でリラックスできる食事空間を作ることができます。
チェア
ダイニングのテーブルセットで最もポピュラーなのは、一人掛けのチェアと組み合わせるタイプ。チェアはコンパクトかつ軽量であるため、片手でも動かすことができ、掃除がしやすいというメリットがあります。脚が高いデザインが多いため、お部屋にすっきりとした印象を与え、広く見せる効果もあります。また、デザインや素材の種類が豊富で、好みに合わせて選べる点も魅力です。
ソファ
テーブルセットでソファを組み合わせるタイプは、柔らかな座り心地が魅力。長時間座っていても疲れにくく、食後もゆったりと過ごすことができます。ダイニングとリビングの機能を一体化できるため、スペースの節約にもつながります。また、一人ずつ座るチェアとは対照的に、ソファは複数人が詰めて座れるため、家族や来客が多い家庭にぴったりです。
ダイニングテーブルのおすすめの配置
ダイニングの使い勝手は、キッチンに対してダイニングテーブルをどのように配置するかで変わってきます。ここでは、代表的な3種類のイアウトをご紹介していきます。
キッチンと横並び
キッチン横にダイニングテーブルを配置すれば、キッチンカウンターの延長として使うことができ、料理の準備、配膳、片付けといった家事動線がスムーズになります。また、リビング側のスペースを広く取ることができるため、開放感のある空間で食後にゆったりとした時間を過ごすことができるでしょう。ただし、このレイアウトにするためには、キッチン横にダイニングテーブルを置けるだけの横長いスペースが必要になります。
キッチンに対して垂直
キッチンに対して垂直にダイニングテーブルを置くレイアウトは、使いやすい定番のスタイルです。カウンターキッチンの場合は、テーブル全体を見渡すことができ、着席している一人一人の顔が見えやすい点もメリット。このタイプは縦長の空間に適していて、コミュニケーションを重視したい方におすすめです。
キッチンに対して平行
このレイアウトは、キッチンカウンターから少し距離を離して、ダイニングの中央にテーブルを置きます。テーブルの周囲に空間が生まれるため移動がしやすく、家事の効率も高まります。また、椅子を引く動作もスムーズになります。ただし、座席によってはキッチンに背を向けて座る人も出てくるため、コミュニケーションの面でデメリットがあります。
ダイニングの間取りのポイント【人数別】
1〜2人暮らしの場合
ダイニングを作る際は、使用する人数や家族構成に合った広さで計画しましょう。1人暮らしや、2人暮らし(夫婦・カップルなど)の場合は、コンパクトな間取りがおすすめ。リビングとダイニングの機能を一体化させれば、小さな空間を有効に活用できるでしょう。例えば、テーブルセットをソファと組み合わせれば食後もそのままくつろぐことができます。また、キッチンカウンターを食卓と兼ねればダイニングスペースを節約でき、広々としたリビングを作ることができます。
3人以上で暮らす場合
お子さんのいらっしゃるご家庭など、3人以上で暮らす場合は、家族のコミュニケーションを重視した間取りを考えましょう。LDKのスペースを広めに取れば、開放感のある空間を作ることができ、家族が自然と集まりやすくなります。また、スペースに余裕を持たせることで、LDKの用途の幅が格段に広がります。仕事や趣味の作業スペースや、お子さんの勉強スペースとしても使用できるでしょう。
ダイニングの間取りのポイント【広さ別】
12畳ほどのコンパクトなLDK
12帖ほどのコンパクトな広さで計画する場合、ダイニングテーブルは必要な人数に合わせた最低限のサイズに合わせ、過不足のない空間を作りましょう。壁付け式のキッチンにすれば、背面のスペースを広く取ることができ、リビングとダイニングにゆとりが生まれます。対面式の場合も、キッチンの近くにダイニングテーブルを配置すれば作業スペースとして兼用でき、スペースを有効に使うことができます。
16〜18畳ほどの平均的なLDK
16〜18帖ほどのLDKは平均的なサイズ。4人家族で快適に使える広さだと言われています。ゆとりのあるダイニングテーブルを置くことができるため、家族間のパーソナルスペースも十分確保できるでしょう。テーブルセットやソファ以外にも、収納棚やワークデスクといった家具を配置でき、空間の用途が広がります。
20畳ほどの広々としたLDK
20帖ほどの広さのあるLDKであれば、比較的大きめの家具を置いても、空間に余裕を感じられるでしょう。家具のサイズを問わずに配置できるため、内装の自由度が高まり、おしゃれで洗練された空間を作りやすくなります。ゆとりを感じながら生活できる一方、室内の移動距離が長くなってしまう点には注意が必要です。
ダイニングのおしゃれな実例7選
夫婦2人のコンパクトなダイニング
ご夫婦2人で暮らすコンパクトな住宅。キッチンはオールステンレスのシンプルなデザインが目を引きます。また、背面に隠す収納を設けたことで、生活感のない洗練されたDK空間を実現しました。ダイニングテーブルは、2人暮らしに十分な小さめサイズを採用。場所を取らないためキッチンと横並びに配置しやすく、通路も確保できています。
背面パントリーでスッキリした印象に
対面キッチンの正面にダイニングテーブルを配置した、スタンダードな間取り。キッチンとテーブルの間にスペースを確保しているため、効率の良い回遊動線が生まれています。キッチンの背面にはパントリーが設けられていますが、白い壁で隠されてスッキリとした印象に。散らかりがちなキッチンの清潔感が保たれ、ダイニングでの食事がより美味しく感じられそうです。
天井高の変化でLDKをゾーニング
こちらもご夫婦2人が暮らす住宅で、キッチン横にぴったりとダイニングテーブルを付けるレイアウト。食事の準備や片付けの動線が短く、利便性の高い空間を実現しています。このLDKは、キッチン側は一般的な天井高であるのに対し、ダイニングからリビングにかけて、広々とした吹き抜けの空間が広がっています。天井高に変化をつけることで、LDKという一体空間でありながら、作業スペースとくつろぐスペースの領域を緩やかに切り分けています。
白と木目のナチュラルなダイニング
壁紙とキッチンは白、テーブルセットと床は木で統一され、シンプルかつナチュラルな印象を与えています。また、このダイニングには大開口窓とハイサイドライトが設けられ、明るさをたっぷりと取り込めている点も魅力です。テーブル周りには十分なスペースが確保されていて、この余白が作業動線をスムーズにし、落ち着いた開放的な空間を演出しています。
木目で統一されたダイニングキッチン
こちらのダイニングとキッチンは、木目の美しいストライプが目を引きます。デザインを統一することで、空間にまとまりと安心感をもたらしています。また、キッチンに対して平行に配置されたダイニングテーブルは、幅広い天板が特徴。並んで座ってもゆとりがあるため、幅を取りやすい肘掛け椅子と組み合わせても快適に使用できます。
大開口から四季を楽しむダイニング
こちらは、木をさらに多く使ったダイニングスペース。柔らかな円形のデザインのダイニングテーブルが、温かくナチュラルな空間によく馴染んでいます。またこの空間の最大の特徴は、中庭に面して設けられた大開口でしょう。外部の視線が気にならない間取りとなっているため、カーテンは不要。四季折々の景色をたっぷりと視界に取り込みながら、食事を味わうことができます。
キッチンと一体のダイニングカウンター
対面キッチンのカウンターとダイニングテーブルが一体となった、こちらのLDK。小さなスペースに設けられていますが、空間を有効に活用しているため、狭さを感じさせません。また、勾配天井で天井高を確保していて、開放感を感じられます。床や家具、天井の梁などに使われている木材は深い色味が特徴で、古民家のような落ち着いた佇まいを感じさせます。
まとめ
ダイニングは、家族が集まって食事を取る場所。居心地の良い空間で食事をすれば、料理がより美味しく感じられるでしょう。そして、大切な人と食卓を囲みながら、笑顔で今日一日の出来事を共有する。そんな素敵なダイニング空間を、ぜひ作ってみてはいかがでしょうか。