桂川の絶景を見渡す嵐山の家








桂川の絶景を見渡す嵐山の家
土地に一目ぼれして今までにない絶景のLDKをプラン
京都市右京区にあるT邸は絶景を望む家。幹線道路を挟んで目の前が桂川という恵まれた立地で、何にも遮られることなく、川面と嵯峨野の山々を眺めることができる。「夏の夕暮れには蛍が現れ、秋には紅葉が視界いっぱいに広がって感動しました」と話す奥さまだが、もともと眺めのいい土地を探していたわけではなかったそう。市内の中心地にほどよい土地を見つけ、あとは契約書に印を押すだけという段階のときに、たまたま現在の土地の新聞広告が目にとまった。それからすぐに、「もう決めているけれど、せっかくだから見るだけ見てみようか」という軽い気持ちで足を運び、一目ぼれ。川が見える方角が土地の西側にあたるためか、当時は川方向にはほとんど開口部のない閉鎖的な家が立っていたという。「この土地に着いた瞬間に、『ここにこんな窓がほしい』『こんなものを置けたらいいな』など想像が広がって、夫婦で会話がとまらなくなりました」とご主人も振り返る。
だが、いざ設計を依頼してみると、どのハウスメーカー、工務店にも西側に開くプランは大反対されたそう。「夏が暑くて大変だから」と取り合ってもらえず途方に暮れていたときに、住まい設計工房の蘇理裕司社長に出会った。この土地に興奮して「絶景のLDKにしましょう!」と張り切ってくれたのが「とてもうれしかった」とご夫妻は話す。
真夏の西日の影響を避け大開口の下部50㎝は壁に
蘇理さんはTさんたちの希望をかなえ、かつ快適に過ごせるプランを熟考。LDKの西側に開口をつくってバルコニーを配し、室内からも室外からも川面を眺めて過ごせる空間にした。そしてこの開口部はあえて全面開口にせず、窓下に50㎝、壁を残した。「この50㎝の壁が、西日が差し込まないようにしてくれます」と蘇理社長。同じ理由でバルコニーを広くして庇を深くとったり、東側に空気の通り道となる小窓を設置するなど、西日を遮断し、熱を逃すために緻密な計算が行われている。「住宅は24時間、365日快適に過ごしたい場所。かつエネルギーコスト減は重要なテーマです。太陽や風といった自然のエネルギーを味方につける、パッシブデザインを心がけています」。
カフェにも遊び場にもなる広々としたL字型バルコニー
また、絶景を存分に味わうために、バルコニーは広めに設計された。奥さまはここで過ごす夕暮れ時が、特に気に入っているそう。「空がピンクに染まって、それはきれいなんです」。気持ちのいい季節には、お茶をしたり、読書をしたり、アウトドアリビングとしても活用している。また、幼稚園児の息子さんや2匹の愛犬にとっても格好の遊び場であり、ご夫妻は室内で過ごしながら、バルコニーで遊ぶお子さまたちを開口越しに見守っている。
さらに、T邸ならではの工夫は、絶景の生かし方以外にもたくさん。たとえば、キッチン奥の作業台の下には柵をつけて愛犬たちの居場所をつくり、遊び疲れた2匹がゆったりと過ごせる空間にした。ライフスタイルや価値観に合わせてカスタマイズできるのが注文住宅の魅力。「西側に大きな窓なんて非常識だ、と反対されましたが、こんなに快適に過ごせるなんて。夢をかなえられてよかったです」とご夫妻も満足している。
取材・文 間庭 典子
T邸
設計 | 住まい設計工房 | 施工 | 住まい設計工房 |
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所在地 | 京都府京都市 | 家族構成 | 夫婦+子供1人+犬2匹 |
延床面積 | 125.04㎡ | 構造・構法 | SE構法 |