2021.12.13

自然と寄り添う高台の伸びやかな住まい

玄関を開くとすぐに広がる壁や仕切りがないLDK

SE構法の自由度にひかれて
外に開かれたLDKを構想

名古屋から兵庫への転勤をきっかけに新築を決心したHさん。「強度、自由度の高さに感心して、いつか自分が家を建てるなら木造のSE構法で!と心に決めていました。SE構法を探求するうちに、NCNさんへ就職したいと本気で考えたくらいです」とHさんは笑う。元エンジニアでもあるHさんのその知識量には、設計施工に携わったじょぶの営業担当者、石田優子さんも驚くほど。「私たちからはなにも説明が要らないほどでした」と振り返る。現在、ライフプランナーとして活躍されているが、家造りの話になると、自らの経験を踏まえてつい熱くなり、SE構法の営業トークが始まるという。それくらい人生において家造りは、価値観を大きく変えさせる影響がある。
「山にも海にも近い高台の立地条件を生かして、SE構法ならではの、内と外がつながる住まいを目指しました」とHさん。一つの大きな箱、ロフトのような大空間で、LDKを中心に各所がリンクし、どこにいてもお互いに気配を感じる。

便利ではない暮らしを愛でる
スロースタイルの日常を大切に

大開口や大きく飛び出した軒もSE構法だからできる仕様だ。大空間の中で映える構造材をそのまま見せた大きな梁も特徴的。そしてユニークなのが、玄関の扉を開くとそのままLDKが広がるプランニングである。
玄関は土間風のつくり。段差も少ないため、1階の面積のほとんどを占めるLDKは、玄関とほぼ一体化している。目の前のリビングにはソファを置かず、ラグの上でくつろぐ床座に。床は軽やかな杉の無垢材に。柔らかいためキズが付きやすい面があるが、ぬくもりがあり、室内では靴を脱いで暮らす日本のライフスタイルには向いている。
キッチンもなにも仕切りをつけず、造作した無垢材のアイランドキッチンをそのまま置いた。壁はタイル、シンクも造作ステンレスにするなど、ラフでさりげないナチュラルなデザインでまとめた。「土鍋でご飯を炊き、梅を漬け、昔ながらの暮らしをしています。不便さをめでるような生活をしたい」とHさんご夫妻。木のぬくもりはそんな丁寧な暮らしを優しく包む。

昔ながらの暮らしを快適にする
高い気密性と強靭な躯体

玄関から浴室、洗面などの水回り、さらには収納から寝室を抜けLDKの大空間へ。H邸は回遊性のある間取りだ。またLDKと2階のフリースペース、ライブラリーはそのままリンクしており、視線も風も通す。「玄関からの仕切りがないので冬の気候に耐えられるかちょっと不安でしたが、高断熱にし、初めての冬も快適に越せました」とHさん。瀬戸内海からの激しい潮風でも、耐震性の高い躯体ならば安心して暮らせる。SE構法は、快適なスローライフを支えているのだ。
「しっかりとした躯体があれば、大きな工事をしなくても、将来、気軽に改装できるメリットが」とHさん。子供の成長に合わせて個室を設け、収納を増やすなどその調整は自在。「いつか子供が独り立ちしたら、夫婦で快適に過ごせるように平屋仕立てにしました」。さすがはライフプランナーらしく、数十年先の未来も見通して人生設計をし、自分たちならではのスタイルを確立している。

取材・文/間庭典子

H邸
設計施工 じょぶ 所在地 兵庫県神戸市
家族構成 夫婦+子供2人 敷地面積 226.95㎡
延床面積 93.63㎡ 構法 木造SE構法

この家を建てた工務店

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