2020.11.30

アウトドアライフを楽しむ広々とした土間

ノルウェーの森の家に来たような暖炉を囲むLDK

自然と共に生きる生活を
快適にする次世代の山荘

 
「スローライフを選んだつもりが、ハードライフが始まってしまいました」とNさんは笑う。N邸があるのは東京から新幹線でわずか1時間の立地でありながら、自然に囲まれた群馬県安中市。ログハウスで暮らすような暖炉を囲む平屋だ。冬の寒さに備え、まきを割る毎日だそう。「もうジムに通う必要はないですね」とNさん。想像以上の体力仕事に自然に体が引き締まり、近隣の農家が野菜をお裾分けしてくれるので、食生活も充実。今までとは比較にならないほど健康な毎日にシフトしたという。
そんな自然と共に生きる暮らしをサポートするのが、スタイリッシュなデザインと快適さを保つ性能を備えた家。次世代の山荘と呼ぶにふさわしい心地いい環境だ。「朝日が当たる南側に大きな開口部を設けました。外に開いた、自然と一体化できるLDKです」と、関工務所の北爪俊之さん。空気の熱を利用してお湯を沸かすエコキュートを導入し、オール電化住宅とした。ガス代が不要のため、日々の光熱費も大幅に抑えられる。家の中心にあるヨツールのまきストーブで冬も体の芯から温まり、煮込み料理など日常的な調理の際にも活用している。大開口のほかに各所に高窓を設け、日中は自然光が入り、照明は必要ない。自然のエネルギーを効率よく取り入れているスマートな設計である。
 

内外をゆるやかにつなぐ
広い土間は第二のリビング

 
特徴は、玄関から続く広い土間。面積10.77㎡と寝室以上の広さを誇る土間は第二のリビングであり、テラスとも一続きで、ゆったりとした時間を過ごすことができる。ゲストが訪れるとNさんが豆からコーヒーをひいて入れ、プライベートな青空カフェになることも。勾配天井には群馬県産の杉板を貼り、LDKから土間、テラスの軒下と同じ素材でつなげた。そのためLDK空間が外のテラスまで広がっているように感じる視覚効果が。天井高約4.5mのリビングやダイニングと、土間やキッチンには高低差があるため、より高く、広く感じるプランだという。高窓から陽光が差し込む天井の高い洗面スペースは類を見ないほど開放的だ。寝室やクローゼットと隣接しているため、ドレッサーとしても活用している。単調になりかねない平屋を天井に段差をつけることでメリハリを利かせた。また北側のトイレとクローゼットの間に中庭をつくるなど、平面形状においても凹凸のある間取りにすることで採光を確保した。
土間は動線にも広がりをもたらした。「玄関からLDKに入るだけでなく、土間の奥にある収納を抜けてそのままキッチンや浴室に行けるのは便利ですね」と奥さま。サッカー少年の息子さんが泥だらけで帰宅しても、ランドリーに直行でき、家族それぞれがストレスなく生活できる。
 

エネルギー効率を高め
空間を有効に生かす設計力

 
N邸の建具は浴室の扉以外すべて横にスライドする引き戸。そのため空間に無駄がなく、開放時もすっきりと見える。玄関ドアは広々とした土間との相性のよいLIXILの20型エルムーブを採用。開閉もしやすく、自転車や荷物の出し入れもスムーズ。防火性に優れ、リモコンやカードで施錠できるなど、最新技術を導入しているシリーズだ。
自分の手によるアウトドアライフと、新しい時代を切り開く最新技術の機能。その相乗効果で絶妙な居心地の、森の中の平屋の家は完成した。
 

取材・文/間庭典子

N邸

設計施工 関工務所 所在地 群馬県安中市
家族構成 夫婦+子供1人+犬 敷地面積 728.00㎡
延床面積 123.96㎡ 構法 木造SE構法

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