2022.05.23

美しさと快適さを実現した子育て空間

細長いLDKはそれぞれに段差を付けて、ゆるやかにゾーニング

安らぎと華やぎが同時にかなう
スキップフロアで区切ったLDK

W邸は都市型の3階建て住宅であり、立体的な空間構成の中に家族それぞれの居場所をつくった住まい。「リビング内に目立たない子供のためのスペースと、将来のスタディコーナーを確保して、それぞれの世界観を尊重しつつ過ごせることが狙いでした」と設計を担当したIDA HOMESの髙木 法さんは解説する。育ち盛りのお子さんと4人で暮らすWさん一家。成長やライフスタイルの変化に合わせた自在な空間づくりを心掛けている。例えばリビング空間の中にありながら、凛とした雰囲気を妨げない、階段踊り場を利用したスキップフロア。ゆくゆくはデスクを置き、子供たちが勉強に集中できるスタディコーナーとして用意したスペースは、リビングよりもかなり高い位置にある。そのため視線が交錯せず、互いの気配を感じながらも、それぞれの時間を過ごせる仕掛けだ。その下には秘密基地のようなこもれる遊び場がある。LDKで過ごしながら、幼い子を見守れる。子供たちの成長後は、扉を付けてストレージとして活用する予定だそう。
LDKはIDA HOMESならではの洗練されたシンプルモダンなデザイン。ダイニングテーブルと一体型のキッチンはデザイン性の高い壁面収納やオーダー家具を手掛けるティーズコレクションに依頼した。水晶を練りこんだ光を反射してきらめく人工大理石でつくられたキッチンで、空間のアクセントとなった。東側の壁面には収納やデスクにもなる腰高の棚をつなげ、縦長のラインを強調。南側の開口へと抜けるような、すっきりと洗練されたLDKが広がる。「スキップフロアが奥まった位置にあるため、キッチン側からは目立たず、ラグジュアリーな雰囲気を保てます」と髙木さん。どんな場合でも子供たちを育む空間。時にはゲストを招き、非日常にシーンを切り替える大人のための空間。まったくムードが異なる空間を妥協なくひとつの住まいに共存させることに成功した。

層を増やし、アングルに変化をつける
リビングの吹き抜けやスキップフロア

3階は寝室やW.I.C.などの生活するうえで必要な機能を満たしている。将来の子供室は、窓やキャットウォークからリビングの吹き抜けを見下ろせる開放的なプランにした。それぞれの部屋に収納を設けて最小限の家具ですっきり暮らせるように。階段の踊り場にはスキップフロアにあるプレーコーナーとつながる扉をつけた。スキップフロアや吹き抜けを活用して、さまざまなアングルで空間を把握できるようにすることで、平面的ではない、立体的な空間づくりを楽しめたという。

竣工を家づくりのゴールとしない
将来を見据えて共に歩むパートナー

このような視線を遮る壁のない、のびのびとした大空間を可能にする木造SE構法。家づくりを検討するうちにWさんはSE構法を知り、IDA HOMESにたどりついた。サイトや見学会で施工例を知り、生活感を感じさせない端正な空間づくりを得意とする点に引かれた。結果、子育て期間を家族全員で楽しむ空間に満足されている。そのうえIDA HOMESの特長は、髙木さんも語るように「ライフスタイルや家族構成、好みの変化によって、間取りやインテリアも調整やリフォームが必要となってきます。そんな未来にも寄り添いたい」という点といえる。メンテナンス担当だけでなく設計担当や営業担当など、関わったスタッフが一丸となって家を維持し、住みやすくバージョンアップしていく、よきパートナーとなる。

取材・文/間庭典子

W邸
設計施工 IDA一級建築士事務所 所在地 兵庫県神戸市
家族構成 夫婦+子供2人 敷地面積 179.07㎡
延床面積 219.34㎡ 構法 木造SE構法

この家を建てた工務店

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