2019.12.16

L字形テラスが描く日だまりのスキップフロア

柔らかな陽光と木に包まれた北欧スタイルの家

2つの吹き抜けがもたらす
24時間快適な室内環境

 
K邸が立つのは千葉市のターミナル駅から歩いてすぐの便利な場所。大きなマンションや店舗が並び、南側に道路がある。そのため通行人の視線を避け、開放的に暮らせるL字形の設計となった。「中庭を設けて、リビングとプレイコーナーの上にある南北それぞれの吹き抜けを組み合わせることで、南北両方の光を取り込めます。朝日から夕日まで、一日を通して明るい室内と、風の通る環 境を実現しました」と設計を担当したコージーライフの小林辰彦さん。「吹き抜けが2つあっても十分な耐力が得られるのは、SE構法ならではですね」と語る。吹き抜けには外部からの視線を遮断しつつ、日中の陽光を取り込める小窓を各所に 設けた。直射日光ではない柔らかな光が、2つの吹き抜けからLDK全体に回るのだ。
住み手のKさんは職業柄多忙でスケジュールも不規則。夜勤明けで疲れていてもリラックスできる、24時間くつろげる空間を望んでいた。南北2つの吹き抜けから室内に心地よい風が抜けていく。中庭に接したLDKはいつも明るく、季節の移り変わりを感じられる。天気のいい日にはサンドイッチやフルーツを持って縁側に出て、子供と共にピクニック気分でランチをとることも。ここが駅から数分の、街の中心部であることを忘れてしまうほどののどかさだ。
 

中庭からLDKへと続く
スキップフロアでリズムを

 
1階はワンフロアすべてをLDKにした。玄関から扉を開けると広々としたLDKが広がり、芝生の緑が目に優しい。中庭から縁側のように活用しているデッキ、リビング空間、その先のピアノを置いたプレイルームや書斎など、リズミカルな段差も特徴だ。「LDKには仕切り壁がないのですが、段差を設けることで緩やかにゾーニングしています」と小林さん。柱も壁もない開放的な大空間を生かす間取りとなった。
「存在感のあるピアノが目立ちすぎないようにと、段差をつけて小上がりのようにしてくださって、子供が自由に遊ぶコーナーになっています」 と奥さま。奥の書斎では作業にも集中でき、キッチンで調理をしながらプレイコーナーで遊ぶ子供を見守る。また段差による視点の変化も生まれ、常に新鮮な風景が現れる。階段に腰掛けると子供と目線が合い、絵本の読み聞かせにも適したスペースだそう。
 

身近なものを飾り楽しむ
北欧スタイルの暮らし

 
玄関の扉はコージーライフによる造作で、石目ガラスを使った引き戸が玄関先まで柔らかい光をもたらす。吹き抜けとつながる2階の子供室の窓も造作だ。どこかレトロで懐かしく、K邸の優しい雰囲気に調和している。
また、玄関やリビング、階段など各所に飾り棚を設け、季節の植物や雑貨、奥さまの趣味である刺しゅうを飾って楽しんでいる。シンプルな空間にプラスしたのは、機能的で美しい北欧のデザイン家具。ダイニングやスキップフロア、書斎には、アルネ・ヤコブセンがデザインを手掛けたチェアを合わせた。「ソファは自然と家族が集える十分な奥行きが魅力の『アルファベットソファ』をおすすめしました」とインテリアコーディネーターの近藤薫さん。設計、インテリア、造園などの スペシャリストによるチーム力で、都市にありながら森のくつろぎを感じさせる北欧スタイルの家となった。
 

取材・文/間庭典子

K邸

設計施工 コージーライフ 所在地 千葉県千葉市
家族構成 夫婦+子供1人 敷地面積 156.56m²
延床面積 127.86m² 構法 木造SE構法

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