2021.03.29

シンボルツリーを囲むコの字形の家

伸びやかなラインを描くLDKの勾配天井

ダイナミックな高低差のある天井が
広がりを演出する日当り良好なLDK

 
幹線道路から一本奥に入った場所に立つY邸。南側は畑で視界を遮るものがなく、背後には伸び伸びとした風景が広がり、まるでリゾート地のコテージのような雰囲気。家の外構部分にはシュロの木があり、約50㎡のゆったりとしたウッドデッキをコの字形で囲んでいる。そのため外部からの視線は遮断されつつも、常に明るく快適だ。
玄関を入って正面には陽光が差し込むリビングがあり、南側の大開口と西側の採光でダイニングやキッチンにも光が入る。また、勾配天井も迫力がある。「リビングの勾配は、法規制などによるものではなく、南側上部の窓からDK側まで光を落としたかったので初めから考えていました」と設計を担当した関工務所の北爪俊之さんは語る。
 

利便性、快適性を第一に考え
今は1階のみでも生活可能な動線に

 
勾配天井はレッドシダー張りにし、あえて色をまばらにして風合いを出した。「当社の大工技術を最大限に発揮し、天井がつながっているよう、ラインをそろえて仕上げました」と北爪さん。関工務所は創業120年以上、今まで携わった住宅は1300棟以上の歴史を誇る。現在もその高い技術を継承し、棟梁6名、大工8名の社員と専属大工4組を抱えるプロ集団。その経験をもとに、利便性、快適性を第一としたプランを提案している。ゆえに生活動線も利便性を最優先した。幼稚園生の男の子2人が成長するまでは、1階だけでも暮らせるレイアウトにし、1階の東側に主寝室を。ゲストルームやホームシアターとしても活用予定の1階の予備室は、現在は子供たちが元気に遊べるプレイルームになっている。この部屋はウッドデッキにも面しているため陽光が入り、また洗面所との境の壁に高窓があるので奥の洗面所まで光が届く。キッチンにも隣接しており、調理をしながら子供たちが遊ぶ様子も見えて安心だ。2階は将来の子供室として計画された。各々のための個室を作り、階段近くには手洗い、うがいが習慣になるようにと洗面所を配置している。
 

在宅時間をより豊かにした、
家族が集う場と個の空間の共存

 
また、Yさんの要望によるコンパクトな書斎は、北側の開口から光が入り、快適かつ集中して作業ができる。LDKもウッドデッキや予備室とリンクすることで、家族がそれぞれ自由に過ごせる。
「『ここをこの角度にしたら面白い』とアイデアがどんどん出てきて、毎回の打ち合わせが楽しかったです」と家づくりを振り返るYさん。要望を次々に具体化する工務店のデザイン力、技術力が頼もしかったという。
 

取材・文/間庭典子

Y邸

設計施工 関工務所 所在地 埼玉県本庄市
家族構成 夫婦+子供2人 敷地面積 383.90㎡
延床面積 157.32㎡ 構法 木造SE構法

この家を建てた工務店

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