2023.03.06

シェアオフィスとしても機能する 波打ち際のヴィラ

テラスや庭に直結する外に開いたLDKとバスルーム

サーフ天国、九十九里浜の
波を100%楽しむための拠点

2021年に東京2020オリンピック・パラリンピックのサーフィン競技会場となった千葉県九十九里浜。そのビーチの目の前に立つS邸は、サーフィンを楽しむためのウィークエンドハウス。平日は会員制コワーキングスペースとして、Sさんの知人たちにも開放されている。
「ビーチからそのままアクセスできるような動線、潮風を感じられる大空間、そして音響に優れたホームシアターを設けることがSさんからのご要望でした」と話すのは、TIMBER YARDの設計担当の梶ヶ谷智之さん。梶ヶ谷さんは、Sさんのこれらの希望をかなえるには、堅牢かつ大開口も実現しやすいSE構法が最適であると判断した。そこで1階の大きな面積を占める部分を共有スペースとするプランを提案。完成後は、昼間は作業に集中できるシェアオフィス、夜になると映像や音楽を楽しむラウンジという2つの顔をもつリビングダイニングとなった。また、ホームシアターとなるリビングや、作業場でもあるダイニングのスペースを十分に確保するために、キッチンは西側に寄せて、コンパクトにまとめた。会員の共有スペースであるため機能的なパントリー、本格的なワインセラーを備えたホームバーをキッチンに隣接させる形で設置。そしてLDKの一角には、さまざまな働き方に対応できるミーティングルームが。引き戸を閉めることで個室になるため、オンライン会議もストレスフリーで行える。さらに内部と外部をつなぐウッドデッキもユニーク。2段のステップを設けて、ベンチのように座ることもできるようにした。パーソナルチェア、ベンチ、アウトドア用のディレクターチェアなどを配せば、自在に居場所が生まれる。

ビーチから直行できる
開放的なシャワー&バスルーム

また、1階の共有スペースには、半露天のような浴室も設けられた。バスルームと脱衣所、ランドリーの間仕切りはガラス扉で、ヌケも感じられる。「目の前がビーチなので、ウェットスーツを脱いで庭でシャワーを浴び、そのまま浴室へとアクセスできる動線にしました」と梶ヶ谷さん。会員全員のボードやアウトドア用ギアを収納できる倉庫、サーフガレージを玄関脇に。「サーフボードを立てるスタンドは一段高くしています」とサーファーならではの視点でプランニングした梶ヶ谷さん。完成後は、自身もここの会員になった。「いい波が来たらすぐに海へ行ける環境。理想的なワーケーションですね」と語る。実際にこのエリアは最寄駅とのアクセスも便利。2拠点生活をする層も増え、オフィスとしての機能を備えたサーフハウスの需要は高まっているという。

オフとオン、週末と平日を
完全にゾーニングしたプラン

この住宅のプランには、Sさんの考え方やライフスタイルが見事に反映されている。寝室やクローゼットなど、家族のためだけに必要な要素は2階にコンパクトに集約。平日、コワーキングで集うゲストと家族用の動線は完全に分けられているため、互いに気にならない。また、週末はSさんの愛犬と共に過ごすことを考慮し、脱衣所のスペースはゆったりと計画。庭は、ドッグランにも活用できる十分な広さが確保されている。
趣味を満喫しつつ、仕事にも打ち込むことができる誰もが快適に過ごせるサーファーハウス。海辺のロケーションに立つこのヴィラは、デザインの自由度が高いSE構法だからこそ実現した。

取材・文/間庭典子

S邸
設計施工 TIMBER YARD 所在地 千葉県長生郡
家族構成 夫婦+子供2人+犬1匹 敷地面積 564.08㎡
延床面積 115.14㎡ 構法 木造SE構法

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