2024.10.28

LDKの中心はすべり台!公園感覚のファンハウス

子供たちが駆けまわり、はしゃぐ、プレイグランドにもなるLDK

「家そのものが公園のようで、とにかく楽しい、遊べる空間にしたかったんです」という奥さま。東京都の西に位置する狛江市のM邸はなんとLDKの中心にすべり台がある家。壁はボルダリングウォール、ブリッジのような通路下は雲うんてい梯になっているなど、育ち盛りの4人の息子さんたちにとっては絶好の遊び場となっている。さらにユニークなデザインの書棚の横には、読書に熱中できるベンチも!人気テーマパークのキャストをしていたという奥さまは、楽しい空間、空気を盛り上げるプロでもある。自由な発想で夢のファンハウスのアイデアを自らたくさん提案し、大工集団も抱える和工務店がそれを具現化。例えばすべり台はオブジェとして設置するのではなく、実際に楽しくそして安全に遊べるように、試行錯誤を重ねたという。自由に駆け回り、回遊できるM邸は子供たちの仲間にも大人気で、放課後はいつもにぎやか。躯体が頑強なSE構法を採用することにより、柱を可能な限り排除し、仕切りのない大空間が実現した。また、アウトドア好きなMさん一家は玄関前のテラスでBBQをしたり、リビングにキャンピングチェアを置いたりと、アクティブなインテリアコーディネートを楽しんでいる。多摩川の河川敷を眺めながら飲むビールは格別だ。
 
 
Mさんは家業の農園を継ぎ、白菜などの作物が表彰も受けている東京在住の農家で、おいしい野菜を育むプロだ。それまで2LDKの集合住宅に住んでいたが、実家内の敷地に新築することを決意。当初は既存の作業場と住居を分けて2棟新築することも考えた末、1階をガレージと仕事場にし、2階を住まいとするプランを選択した。完成した新居は景観も日当たりもよい2階に大空間を配して、回遊しやすく、ゆったりとした間取り。「時間に追われる子育て世代にとって、リビングでくつろぐ時間は限られています。ダイニングでの食事の延長にホッとできる時間は貴重。そして『1日の始まりを元気に過ごすため』に朝食はとても大切です。だからこそ、ダイニングは朝日を感じられる場所に。明るいけれど、まぶしくないことを意識しています」と和工務店の社長であり、設計を担う佐俣和男さん。ポイントは「料理をする人の目線」。いくら機能的なキッチンや収納でも、キッチンで作業するメインの場所からのビューがよくないと心が弾まない。そこでキッチンに立った人の目線を具体的にイメージし、実際に眺めて、料理をしたときの適材適所な作業スペースを考え、設計している。「私自身も料理好きなので、調理を楽しめる空間で喜ばせたいんです。そうすることで、食べる人たちも楽しめますよね」と佐俣さんは語る。
 
 
また、Mさんご夫妻は周囲にエンジニアや工務店の設計士が多く、技術に明るい相談相手が身近だったのも頼もしかったそう。「情報を集めるうちに、頑丈で、かつ自由度の高い空間づくりにはSE構法が適していること、的確な断熱計画が不可欠であることを学びました」とMさん。そこでSE構法を手掛ける工務店をいくつかピックアップし、すべり台のある遊び場のような家という突飛にも思える案に理解を示してくれて、対応も素早かった和工務店をパートナーに選んだのだという。「これだけの大空間なのに、エアコンがたった1台の設置で済んだのも驚きでした」とMさんは全館空調の効率のよさにも感動している。作業場との行き来もしやすくなり、仕事面の効率も格段にアップ。
 
 
独創的なアイデアと確かな技術により、子供たちの成長を見守り、家族の幸せを支える理想的な空間が完成した。
 
 
取材・文/間庭典子

M邸
設計施工 和工務店 所在地 東京都狛江市
家族構成 夫婦+子供4人 敷地面積 636.63㎡
延床面積 423.81㎡ 構法 木造SE構法

この家を建てた工務店

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