2024.01.29

二つの階段でつながる心弾むガレージとゆとりのLDK

ガレージでプライベートとパブリックを分けて、暮らしを楽しむ

 
スノーボードやキャンプ、登山などアウトドアのレジャーをご夫妻で楽しむIさん。新しい住まいに求めたガレージは、ただ車を入れるだけでなく、さまざまな道具を整然と収納し、積み込む荷物のチェックができるような居住スペースと連続するガレージだった。旅は出かける前がいちばん盛り上がる。今度はあの沢を登ってみようとか、お昼はここでとろうとか…2人でおしゃべりをしながら準備ができたら旅の楽しみはもっと大きくなると考えた。
活動的なIさん夫妻には友人も多い。ガレージを設けることに加えて新しい住まいに望んだのは、大勢が集まってにぎやかに過ごす広々としたLDKがあることだった。そのための土地はすでに確保済み。Iさんは工務店、ハウスメーカー、建築家…家づくりのパートナーを誰にするかを考えた。
 
 
「家を建てた人の経験談などを読むなかで、設計と施工は一体のほうが間違いがないと感じて、工務店を中心に探すことにしました」とIさん。インターネットでホープスを見つけ、実際に話をして、この工務店の姿勢に惚れ込んだという。「『ここに最高の家ができたときに、お2人は何をしていたいですか?』と最初に聞かれたので、びっくりしました。他の会社は『ご要望は?』『必要な部屋の数は?』『どんなデザインが好きですか?』といったアンケート調査のようなヒアリングだったからです。ホープスさんは真正面から“どういう人生を送りたいですか”と、問いかけてきた。この会社となら楽しい家づくりができそうだと感じました」。
 
 
やがて提案された設計プランはとてもユニークなもので、夫妻はぜひこの家を実現したいと感じたという。特に気に入ったのが、ガレージの両サイドに階段を設けて建物をプライベートスペースとパブリックスペースに明快に分けるという考え方だった。「階段が二つ?」と最初は怪訝そうな表情だったIさんにホープス側はこう説明した。「前面道路からのアプローチの関係で、ガレージは建物の中央から左に寄ったところに設けることになります。そのため向かって左側にどうしても微妙なスペースが残ってしまいます。この解決を考えるなかで浮かんだのが、『階段を二つ設けて空間を分ける』というアイデアでした」。
 
 
通常、この規模の都市型の住宅で階段を二つ設けることは考えにくい。しかし、これが夫妻の住まいとして最適なプランを導くものになった。「左端の階段は2階のパブリックスペースに直行するもので、玄関を入ったゲストはこの階段を使って2階のLDKに進みます。一方、ガレージを挟んだ反対側は寝室や水回りのあるプライベートスペースになっていて、2階からもう一つの階段で降りてくるか、ガレージ内からでなければ進めません。その結果、ゾーニングが明確になることによって、動線がすっきりして暮らしやすい住まいになりました。また二つの階段は、建物全体を強固にする構造上のコアになるので、2階のLDKは空間の中に柱も間仕切り壁も露出しない一続きの大空間にすることができました」と、ホープスの設計者はプランと構造の特徴について解説。
 
 
住まいにおけるプライオリティを明確に定めてベストなパートナーに出会ったIさん夫妻。その期待に応えた工務店側が提案して設けた二つの階段によって、ガレージを中心にしたアウトドアの楽しみと、リビングでのくつろぎという二つの魅力が存在している。この夫妻ならではのライフスタイルにマッチした住まいが見事に実現した。
 
 
取材・文/酒井 新

I邸
設計施工 ホープス 所在地 東京都世田谷区
家族構成 夫婦+子供1人 敷地面積 438.03㎡
延床面積 122.55㎡ 構法 木造SE構法

この家を建てた工務店

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