天井次第で空間は変わる! 家づくりで参考にしたい、天井の種類とその特徴とは
天井次第で空間は変わる! 家づくりで参考にしたい、天井の種類とその特徴とはのインデックス
家づくりをする際に、天井のデザインまでしっかり意識できる人は少ないかもしれません。しかし、天井のデザインや素材の選び方次第で、空間の印象はずいぶん変わります。そこで、天井の種類やそのメリットとともに、実際に素敵な天井のある家をご紹介しています。
天井の種類とそれぞれの特徴やメリットとは
天井のデザインには、いくつか種類があります。天井は建物の形状に左右される部分も大きいですが、デザインや素材の選び方次第では、自分好みの空間に変えることができます。ここでは、天井の特徴とそのメリットをご紹介します。
<平天井>
床に対して水平のシンプルな天井のこと。最も一般的な天井のデザインで、洋室・和室問わず、どんな空間でもオールマイティに選ぶことができます。他の形状に比べて、コストを抑えることができます。
<勾配天井>
屋根の形状を活かして、傾斜が付いた天井のこと。切妻屋根の住宅なら、棟木を中心に左右に下がる形状、片流れ屋根の住宅なら、一方向だけ傾斜が付いた形状になります。勾配天井は空間に開放感が生まれ、さらに高い位置に窓を設けることで明るい印象に。ただし、平天井に比べるとコストが高くなります。
<下がり天井>
天井の一部分が下がっているデザインのこと。高い天井は開放感がありますが、間取りによっては、天井を他の部分より低くした方が落ち着いた雰囲気になることもあります。また、天井の高さを変えることで、空間ごとに印象を変える効果もあります。
<折り上げ天井>
おもに天井の中央部分を、周囲よりも一段高くとった天井のこと。リビングや玄関などでよく用いられますが、寝室や和室などで使われることもあります。一部分が高くなっていることで、空間が解放的に感じられます。
スッキリとシンプルな空間を演出する「平天井」
天井の形状の中でもっとも一般的なのが、この平天井。一階がリビング、二階に個室がある住宅の場合は、このように平天井を採用する場合が多いでしょう。できるだけ空間をシンプルにスッキリ見せたいなら、クロス仕上げの平天井が効果的。空間が明るく清潔感のある印象になります。
シャープな印象と開放感が魅力の「勾配天井」
二階リビングや平屋建ての住宅であれば、屋根の形状を活かした勾配天井が最近のトレンドです。せっかくある空間を最大限に活かし、空間を広く大きく見せたり、一部をロフトなどにして収納に使ったりと、勾配天井にはさまざまなメリットがあります。また、梁を見せることで空間のアクセントになったり、ダイナミックな印象を与えることも。勾配天井には、高い位置に窓を設置することで、通気性がよくなるなどの実用的なメリットもあります。
切妻屋根を活かした勾配天井は、片流れ屋根に比べて勾配も緩く、優しい雰囲気の空間に。こちらのお宅のように平屋建ての家にも、よく使われる人気のデザインです。あらわしの梁と合板が貼られた天井は、木の温もりが感じられて、ナチュラルに見せることができます。同じ勾配天井でも、クロスを貼っているのと、木をふんだんに活かしたデザインとでは空間の印象が大きく変わります。
空間を広く見せる、デザイン性の高い「折り上げ天井」
折り上げ天井は、天井の一部を一段高くすることで、空間を広く見せてくれますが、ほかにも天井を個性的に見せてくれる効果もあります。フラットな平天井に比べて、天井にデザインが施されていることで、アクセントになり高級感が加わるでしょう。また、折り上げ天井を生かして、ダウンライトやペンダントなどの照明を効果的に見せることもできます。
こちらは、寝室に折り上げ天井を採用したお宅。折り上げ天井を生かして間接照明を設置することで、夜の寝室では壁の凹凸が美しく映えるでしょう。このデザインを寝室に取り入れることで、ベッドに横たわったときの天井の圧迫感もなくなります。この折り上げ天井があるのとないとでは、雰囲気が大きく変わるのです。
空間の印象を大胆に変えてくれる「下がり天井」
リビングやダイニングは天井を高く解放的にする一方で、キッチンは作業がしやすいように天井を下げているこちらのお宅。下がり天井の一部の色を変えてアクセントにしたり、間接照明を使ってスタイリッシュな雰囲気を出すこともできます。アイランドキッチンにデザイン性の高い換気扇を設置したり、手元に光が当たるように照明を付けるためには、下がり天井を上手に使うのがおすすめです。
こちらのお宅では、リビングからダイニングまで同色のフローリングを貼ることで、一体感を演出。一方で、リビング部分のみ下がり天井を採用し、さらに木目の天井を貼ることで落ち着いた雰囲気になっています。ダイニングは解放的で明るく、逆にリビングは間接照明でムーディーにと、天井のデザインや照明などで空間にメリハリを出しています。
平天井と勾配天井の組み合わせで、空間の変化を楽しむ!
土間とリビングダイニングの空間を自然な形で仕切るために、天井のデザインで工夫しているお宅。土間には平天井、リビングルームは勾配天井を採用し、空間の変化が目でも楽しめます。
家全体は勾配天井ですが、キッチンとダイニングのみ平天井に造作したこちらのお宅。小上がりになっている「たたみリビング」は解放的に使えて、逆にキッチンとダイニングは天井が低めでフラットにすることでおこもり感も楽しめます。フラットな天井にすれば、ダイニングにはお気に入りのペンダントを使うこともできます。
天井の素材によって、リビングの印象は大きく変わる!
天井の選び方は、形状だけが重要ではありません。どんな素材にするのかによっても、空間の印象が変わります。たとえば、スッキリと見せたければ、天井を白いクロスにしてシンプルな仕上げに。木材の温かみを出したいなら、木を貼るのもいいでしょう。天井と床の色味を揃えるのもいいですが、あえて違う種類や色合いにしてみると、遊び心が加わります。
こちらのお宅の寝室には、フローリングや扉よりもさらにダークなブラックカラーを採用。空間が引き締まり、さらにダウンライトや間接照明もよく映えます。この天井と同じ色を、リビングの一部の壁やキッチンの床などに使用し、家の中の空間に程よくアクセントを加えています。
梁を見せて、年々変化する木の風合いも楽しむ!
梁を見せる天井は、空間に心地よいリズムを与える人気のデザインです。梁を見せる天井には、構造体として必要な梁をあえて見せるものと、構造体とは関係なく、飾りで梁を付ける二種類があります。太い梁を使用する場合は、どうしても圧迫感が感じられてしまうので、天井の一部に使うなど工夫をしましょう。年月とともに味わいを増していく、梁の変化も楽しめます。
こちらの平屋の家は、あらわしの梁と羽目板張りで上品な和の空間を演出。さらに、軒裏まで同じ素材で統一することで、空間に広がりが感じられる効果も。デッキの床をリビングと同じ素材にすることで空間が続いているように見せる効果は、天井でも同じようなテクニックを活かすことができます。スッと伸びるあらわしの梁のおかげで、リビング全体が洗練された印象になります。
リビング天井の印象を左右する照明デザイン
ここまでは、天井の種類や素材によって、リビングの印象が変わるということをお伝えしました。そしてリビング空間に欠かせないものが、照明です。照明は、天井に設置されているのが一般的ですので、どんな照明を選ぶかにより、リビング天井の印象は大きく左右されます。
ペンダントライト
リビングの天井に「ペンダントライト」を取り入れると、空間に独特なアクセントが生まれます。ペンダントライトは、優雅で美しいデザインが多く、天井から吊られた照明が視界に入りやすいため、そのデザインがより印象に残るでしょう。これにより、空間内に個性が感じられるエリアが生まれ、全体がより魅力的になると言えます。例えば、勾配天井などの高さのある天井にペンダントライトを設置するのも一つのアイデアです。比較的低めの位置からの照明になるので、十分な明るさを確保でき、掃除などもしやすいでしょう。
シーリングライト
「シーリングライト」をリビングの天井に設置すると、リビング全体に明るさが保たれます。シーリングライトは天井にぴったりと取り付けるスタイルのため、シンプルで洗練された雰囲気を感じさせます。また、光が均一に届くため、部屋の中で影が少なくなり、視覚的に広がりを感じさせ、開放的で清潔感のある印象を生み出します。リビングは、家族や友人との集まり、くつろぎの場として使われることが多いため、シーリングライトの全体的な明るさは、快適で居心地の良い空間を提供します。
ダウンライト
「ダウンライト」は、天井に埋め込むタイプの照明で、シンプルでモダンなデザインが特徴。スタイリッシュで洗練された雰囲気を演出します。ダウンライトが作り出す柔らかい影は、リビングに落ち着いた雰囲気をもたらし、くつろぎのスペースを演出するでしょう。また、リビングの天井にダウンライトを取り付ける際に、調節機能を個別につけておけば、明かりを灯す電灯の数を変更したり、明るさに変化を付けたりして、部屋の雰囲気を変えることもできます。
間接照明
「間接照明」をリビングの天井に設置すると、空間に優雅で心地よい雰囲気を演出します。間接照明は、明かりが直接目に入らないように施工される照明なので、「折り上げ天井」のような、照明が隠れるような構造の天井にマッチするでしょう。直接的な明かりではなく、壁や天井に光を反射させて空間を柔らかく照らし、目に優しい明るさを提供します。また、光が壁や天井に反射・拡散することで、視覚的な奥行きが増し、部屋全体が広く感じられるようになるでしょう。
リビング天井の色の選び方
住まいにおける色選びは、とても重要です。色にはそれぞれ視覚的な反応が与える演出効果があります。ここでは、天井にどんな色を選ぶと、どういった効果があるかということを見ていきましょう。自分の作りたい空間に合わせて色を選んでくださいね。
明るい色は天井を高く見せる効果が
明るい色の天井は、天井を高く見せ、部屋をより広々と感じさせる効果があると言われています。光が明るい色に反射することで、上方向に広がり、天井が遠くまで伸びているかのような錯覚を生み出します。これにより、部屋全体に、開放的で軽やかな印象を与えることができます。比較的低め天井のリビングであっても、特に狭さを感じることなく、快適で開放的な空間を演出できるでしょう。
おしゃれな空間を演出する木目柄
木目柄の天井は、部屋におしゃれで温かい印象を与える効果があります。木目調は自然の風合いを感じさせ、リビングにナチュラルで心地よい雰囲気を与えます。また、木目の天井は、視覚的なアクセントにもなり、シンプルな空間に変化をもたらします。独自の模様や色合いが、部屋に奥行きや表情を与えるだけでなく、木目自体に色のバリエーションがあることから、さまざまなインテリアスタイルにマッチし、モダンでありながらもアットホームな雰囲気を演出します。
落ち着いた印象を作るダークカラー
濃い色合いの天井は、部屋に落ち着いた雰囲気を演出する効果があります。濃い色は、一般的に重厚感や深みをもたらし、空間全体に静かで穏やかな印象を与えます。これにより、部屋がリラックスできる場所として感じられ、くつろぎの空間をつくりだします。また、暗い色調は、空間全体を引き締める役割を果たします。人間はあまりに広い空間にいると、実は落ち着かないとも言われています。大空間は欲しいけれど、落ち着いた空間にしたいという場合に暗い色を選ぶのは、心理的にいい効果を与えてくれそうですね。
まとめ
部屋全体を広く見せ開放感を出したり、逆に天井の一部を下げて落ち着いた雰囲気にしたりと、天井の形状を工夫することで、空間を素敵に演出することができます。また、天井の素材や色味、梁使いなどは、空間全体の印象を決める大事な要素にも。家づくりの際には、どんな雰囲気に仕上げたいのかをイメージしながら、さまざまな実例集を参考にしてみてください。