土間コンクリートのある家。家の中に土間をつくろう。実はメリットだらけ?!
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土間のある家を作りませんか? 土間といってもその素材は実は様々です。今回は数ある土間の種類の中でも、コンクリートで作った「土間コンクリート」について詳しくご紹介します。おしゃれなイメージのある土間コンクリートですが、見た目だけではないメリットもたくさんあります。もちろん、土間コンクリートを取り入れるにあたって注意する点や、デメリットと受け取られる点もあります。土間コンクリートのある家に興味がある方はしっかりチェックして、気持ちのいい空間を作りましょう。
土間コンクリートとは?
土間コンクリートとは、もともとは建築用語で、コンクリートを平面的に打設して、表面を平滑に仕上げたものことです。土間コンクリートは、使われている材料が建物を建てるためのコンクリートと同じ為、非常に耐久性が高いことが特徴です。
ただ、どんなにキレイに仕上げたとしても施工後、表面がひび割れしやすいというデメリットがあり、それを防ぐために、表面にワイヤーメッシュ(金網)を敷いて防ぐことが一般的です。住宅の用語として用いられるときは、コンクリートで仕上げられた土間空間という意味になりますが、施工方法としては同じです。
土間コンクリートと他の素材との違い
土間コンクリートの材料であるコンクリートと、それぞれの素材について見てみましょう。コンクリートというのはもともと、砂と砂利、セメント、水の三種類の材料を混ぜて作ったものです。それぞれを詳しく見てみましょう。
コンクリートとセメント
セメントは、コンクリートの材料のうちのひとつで、石灰石、粘土、けい石、酸化鉄原料、石膏などからできています。セメントは、一般的にはそれ単体で建築材料としては使うことはありません。セメントと水、砂を混ぜたものがモルタル、セメントと水、砂、砂利を混ぜたものがコンクリートとなります。
コンクリートとモルタル
モルタルは、水と砂とセメントという、三つの材料でできています。コンクリートとの違いは、材料に砂利が入っていないことです。砂利が入っていないことで、素材としてはなめらかで、外壁やブロック、レンガの接着剤として用いられたり、表面を平滑にしたい時に、仕上げ材として使われたりします。ただ、強度は高くないので、建物の構造体には適していません。また、乾燥収縮によりひび割れがしやすいので、仕上げ材として用いる際には、適宜モルタル目地を入れる必要があります。
土間コンクリートのメリット
土間コンクリートの仕上げについて、雑誌やweb記事等を見て、または実際に現場見学会などで興味を持たれた方もいらっしゃるでしょう。見た目も含めて、そのメリットを知れば、土間コンクリート仕上げを選ぶ際の判断材料になるでしょう。
土間コンクリートは掃除しやすい
土間コンクリートのメリットの一つとしては、掃除がしやすいということが言えるでしょう。土間コンクリートは、土足で入れる場所に使われることが多いので、それだけ汚れやすいという側面もありますが、掃除の時に水をかけて流したり、デッキブラシでごしごしこすったりとハードに掃除をしても問題ありません。土間コンクリートは、大体が外部に面したスペースに施工されますので、少しの汚れであれば、箒で外にササッと履き出したり、水を使って外へ流せば気軽に掃除が出来ますね。
シンプルでモダンな印象を作れる
土間コンクリートの色味は、白に近い薄いグレーから黒に近いグレーなどの幅があります。シンプルでモダンな印象を作れることから、無彩色のモノトーンが好きな方にも人気です。真っ白の壁や天井と、薄いグレーの土間コンクリートを組み合わせることで、スタイリッシュな空間が作れます。また、木などのナチュラルな素材との相性もよいと言えます。土間コンクリートのシンプルでクールな印象のグレーに、木の温かみのある色が加わると、すっきりとしながらも優しいイメージの空間に仕上がります。
蓄熱性が高く、床暖房とも相性が良い
コンクリートの性質として、蓄熱性が高いというものがあります。例えば、土間コンクリートを家の内部に施工し、開口部を設けた場合。昼間に開口部から取り入れた太陽光の熱を貯めることができ、それを夕方になってから少しずつ放熱していくので、部屋の内部が冷えにくいというメリットにつながります。また、部屋の内部の靴を脱いで過ごす部分に、土間コンクリートを施工する場合には、床暖房とセットで考えるといいですね。コンクリートに直接触れる時の冷たさを感じることが減るでしょう。
土間コンクリートのデメリット
次に、土間コンクリートのデメリットを見てみましょう。デメリットと言ってもきちんと対策をすれば、人によっては気にならないと感じるかもしれません。ただ、注意点としてきちんと確認しておくことで、快適さが増すでしょう。
冬は底冷えしやすい
通常床の高さは、建築基準法上、地面から45cm以上と決められていますが、土間コンクリートについてはその制限がないので、地面からの影響を受けやすくなります。一旦冷えると、その冷たさをキープしてしまうので、冷やさないような工夫が必要です。居住空間として考えるなら、床暖房などで下から暖めるといいでしょう。また、土足空間として考えるなら、居住空間までその冷えが来ないように間仕切りを付けるか、もしくは昼間の間に、土間空間に太陽光を蓄熱出来るような工夫をしましょう。
部屋に段差ができやすい
地面に直接施工できる土間コンクリートは、通常の室内の床との段差が出来てしまうことも。段差ができることで、バリアフリーの空間を作ることは難しくなりますが、スロープや上り下りが出来る装置を設置するれば、段差の問題も解消できます。また、段差があることで、空間としては変化があって面白いものにもなりますし、その段の高さを利用して、人が座って落ち着ける場所を作ることも可能です。
土間コンクリートの仕上げ方
土間コンクリートには、いくつかの表面の仕上げ方法があります。その代表的なものは「金ゴテ仕上げ」と「刷毛引き」の2種類です。それぞれに特徴がありますので、見てみましょう。どちらがいいか、その特徴もしっかりおさえておきましょう。
金鏝仕上げ
土間コンクリートの仕上げの中でよく使われる方法として、金ゴテ仕上げというものがあります。これは、平たい金属のコテで表面を滑らかに仕上げるもので、表面がツルツルになり、見た目もオシャレです。金ゴテ仕上げは、玄関土間やビルトインガレージ等の内部空間で使われることが一般的です。何より凹凸がないので、箒で気軽に履けるなど、掃除がしやすいというのがメリットです。濡れると滑りやすいので、水を使った掃除の際は気を付けましょう。
刷毛引き仕上げ
土間コンクリートの仕上げでもう一つよく使われるのは、刷毛引き仕上げというものです。これは、コンクリートが固まる前、表面に刷毛で履いた筋模様を付けていくもので、表面がざらざらとした触感になります。このざらざらが凹凸となり、雨の日も滑りにくいなどの安全性が高まります。施工費用が比較的安価なため、広い施工面積が必要な駐車スペースなどで採用されるのが一般的です。ただ、この凹凸に汚れが入りやすいため、掃除がしにくいという点には注意が必要です。
土間コンクリートの間取りのアイデア
土間コンクリートを使った間取りについて、実例を見てみましょう。実際に様々な施工例を見ることで、自分が作りたい空間のイメージが具体的に湧いてきて、思ってもみなかったアイデアに気付くかもしれませんね。
スッキリとしたモダンな印象の土間玄関
土間コンクリートの玄関収納と一体となった、すっきりとしたエントランス
真っ白の壁と天井に、薄いグレーの土間コンクリートがマッチした玄関と収納スペース。収納と玄関の間に扉がないことで、一体感と開放感を演出しています。空間としての役割は別々なため、玄関部分はスッキリとした印象に。また、玄関に備え付けられた、まるで壁と一体化しているような真っ白なシューズボックスも、フロートタイプにして浮かせることで、空間がより広く感じられます。
土間コンクリートの仕上げは「洗い出し」で和の雰囲気も
土間コンクリートの仕上げ方法の中に、「洗い出し」と呼ばれるものがあります。コンクリートを流した後に、表面のモルタルを洗い流すことで、中に沈んだ砂利や石を浮立たせるという方法です。この仕上げ方法は和の雰囲気にピッタリで、落ち着いた雰囲気を演出していますね。また、こちらの玄関は、整然とした空間の来客用と、シューズクローゼットを設えた家族用に分かれているので、使い勝手も抜群です。
土間コンクリートの質感にこだわったビルトインガレージ
ゆったりとしたビルトインガレージは質感のある土間コンクリートで
車1台を停めても余裕のある、広々としたビルトインガレージの床は、柱や壁などの構造体もコンクリート打ちっ放しで仕上げられています。モノトーンでデザインされた外観にピッタリの、土間コンクリート仕上げと言えそうです。玄関のアプローチと同空間になっているため、雨の日でも濡れずに車から出て家の中に入ることが可能です。土間はガレージ部分だけではなく、敷地ギリギリまで施工されているので一体感があります。
墨を流した動きのある土間コンクリートで仕上げ
こちらのビルトインガレージは、パッと目をひく、墨を流した土間コンクリート仕上げです。ただ墨を流しただけではなく、その後コテで表面をならすことで、動きのある雰囲気が演出されています。車1台を駐車してもゆとりのあるビルトインガレージは、玄関まで雨に濡れずに入れます。また、手洗いスペースも設置されているので、家の中で洗いにくい物を洗ったり、ビルトインガレージ自体の掃除の為にも非常に便利です。
土間コンクリートの風格のあるエントランス
重厚感のある仕上げの土間コンクリート
ビルトインガレージに並んで、大きな玄関扉が設置されています。その玄関とビルトインガレージ前のスペースが、濃いグレーの土間コンクリートで仕上げられています。この住宅は、敷地内で高低差が2mもあるため、地下一階をRCで、上部をSE構造で設計しています。そのRCで設計された地下部分に、この土間コンクリートで仕上げた玄関周りの雰囲気がピッタリと合っています。玄関扉の横には、すりガラスの大きなフィックス窓が設置されて、外部からの光も入る明るい玄関ができました。
広範囲に土間コンクリートを設え、クールなイメージを演出
敷地に対して、建物が奥に配置されています。建物までの長いアプローチの全てが、土間コンクリート仕上げです。駐車スペースを開放すると、中庭にダイレクトにアプローチすることができ、またその中庭の半分ほどのスペースも引き続き土間コンクリートで仕上げています。家の外壁も塗り壁のフラットな仕上がりで、統一感のあるテクスチャーが、クールなイメージをトータルに演出することに成功しています。
土間コンクリートの蓄熱性を活用
リビングに面した通り土間が室内を快適に
玄関を入ると土間空間が広がっています。入って右側の土間には、玄関収納と洗面台、正面には、リビングまで続く通り土間の空間があります。コンクリート土間は、夏は冷気を、冬には暖気をためておくことができるので、一日を通して極端な寒暖差を感じることなく快適に過ごせます。通り土間に面した、大きな開口から入る太陽光からの熱と、通り土間に設置された薪ストーブからの熱を蓄えれば、快適な冬を過ごせそうです。
サンルームを土間コンクリートにすることでさらなるメリットが
大きなサンルームでは、雨の日でも洗濯物を干すことができます。また子供が遊ぶことも可能ですし、これだけの広さがあるので、布団を干すこともできます。また、このサンルームの床が土間コンクリートで仕上げてあるので、蓄熱効果も期待できます。さらに、サンルームの開口部外側には、可変性のルーバーが付いています。夏の暑い時にはルーバーを動かして、日光が入る量を調整できるので、夏の暑さ対策にもなっています。
まとめ
今回は、土間コンクリートについて、色々な情報をお伝えしました。見た目のイメージで取り入れてみたいなと思っていた方も、その特色や性質などを知ることができたのではないでしょうか。最後に、土間コンクリートで仕上げた空間をご紹介しましたが、一言に土間コンクリートと言っても、様々なイメージの空間がありましたね。今回ご紹介した以外にも、豊富な実例が載っている「重量木骨の家」のサイトでさらに検索して、あなたに合った土間コンクリートのある家を作ってくださいね。
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