階段にプラスアルファの役割を。家族の暮らしに馴染む、生活階段

階段にプラスアルファの役割を。家族の暮らしに馴染む、生活階段のインデックス
階段は、フロアとフロアを繋ぐためのものだけではありません。階段下のデッドスペースを上手く活用して収納の役割を加えたり、窓に面して配することで外を眺めながら移動できるようにしたり、ワイドな階段でスキップフロアをつなげたりと、階段にもうひとつの役割をプラスすることができます。すると、ただデザイン性の高い階段というだけではなく、暮らしにより馴染む生活階段になります。
収納と一体化させ、機能性をもたせた階段
デザイン性と室内の解放感を優先させて、スケルトン階段を採用するお宅も増えています。しかし、スケルトン階段の下はどうしてもデッドスペースになりがちに。とくに都心部の狭小住宅などでは、できるだけスペースを無駄にはできないですよね。そこで、階段下のデッドスペースは、絶好の収納スペースになるのです。
こちらのお宅では、階段下のスペースを利用して、ランダムに飾り棚を設けています。飾り棚や収納など、大きさやデザインをあえてバラバラにすることで、見た目にもちょっと面白い壁面に。このように階段下を収納スペースにするなら、デザイン性も兼ね備えていると素敵ですよね。
階段下と階段脇のスペースを上手に活用して、スタディスペースにすることもできます。階段下は本棚に、ニッチのように壁を凹ませたスペースには造作の机をはめ込み、立派な勉強空間に。リビングで家族との時間を共有しながらも、階段で自然に空間を仕切ることで、勉強や仕事にも集中できそうです。
階段の手すり部分を本棚と兼用することもできます。適度に目隠しにもなり、空間を遮らないので解放感もあります。また、階段に座って本を選びながら、家族みんなが読書を楽しむのもいいですね。
一段ずつ、見える景色が変わっていく階段
階段は、昇ったり降りたりする空間ではありますが、それにもう一つ意味を与えてあげることもできます。たとえば、階段を大きな窓に面して設けることで、階段を昇り降りするたびに、外の景色を目で楽しむことも。朝は抜けるような青空、オレンジ色の夕暮れ時、月が照らす夜の街と、さまざまな表情が階段から眺められます。
一階から二階、二階から三階へと縦の続くスケルトン階段は、大きな開口部に面し、光が降り注ぐ開放的な空間。特に、二階から三階へ一段ずつ昇っていく時は、まるで空に向かっていくかのよう。一階から三階まで吹き抜け空間に階段があるので、家族の存在がどこにいても感じられます。
玄関ホールにある、存在感のあるスケルトン階段。大きな窓に沿った階段を昇っていくと、見える景色が少しずつ変わっていき、その先には広々としたリビングがお目見え。来客にとっては、期待感を高めてくれる空間でもあります。階段からは子どもたちが遊ぶ姿や、中庭の植栽や花々が毎日楽しめます。
額縁のような窓の向こうに、スケルトン階段が見えるこちらのお宅。リビングルームのソファに座っていると、家族が行き来する様子を見ることができます。階段側からも、家族のくつろぐ様子を見ることができ、いつでも家族をガラス越しに感じることができます。
スキップフロアを優雅につなぐ、ワイドな階段
家の中を自然な形で区切ってくれるのが、スキップフロアです。2、3段の小さな段差であっても、スキップフロアを設けることで部屋全体の印象が変わり、視覚的にも広く見える効果も期待できます。
こちらのお宅では、リビングルームから三段ほど上がったところにダイニングルームが広がります。敷地に余裕があり、リビングダイニングに大きな空間を取ることができる場合には、空間に余裕があることで単調になってしまいがち。そこで、スキップフロアでリビングとダイニングに高低差を設ければ、空間にメリハリが生まれます。
細長い土地や狭小住宅など、敷地の関係でスキップフロアを採用するお宅も多いでしょう。部屋同士を壁で仕切ると、どうしても狭い印象になってしまいますが、スキップフロアなら空間を遮りません。4、5段高いダイニング&キッチン側からリビングを見下ろせることで奥行きが感じられ、家全体が広く感じられます。
スキップフロアの階段はワイドに設けることが多いので、空間の行き来以外にも、実はちょっとした役割が生まれます。たとえば、大勢の来客があった時にはベンチ代わりになったり、段差を利用してグリーンやオブジェなどを置いてみるのもいいかもしれません。
ちょっとした階段下のスペースを有効活用
階段下のデッドスペースは、アイデア次第でいろいろな使い方ができます。フリースペースにしておけば、家族の成長とともに、使い方にも幅が広がります。
たとえばキッズスペースは、お子さんの成長とともに必要なくなる空間。そこで、階段下のちょっとしたスペースを遊び場として活用してみるのはどうでしょう。本棚を設けて絵本が読める場所にしたり、ブロック遊びなどができます。リビングルームの一角に作ることで、ここだけはおもちゃで遊んでもいい場所だよと約束させれば、お子さんが部屋全体を散らかすこともなくなるかもしれません。
スケルトン階段の下を、洗面所として活用している例も。リビングルームからは見えないように壁を作って仕切ります。リビングルームからトイレや洗面所が丸見えなのは抵抗がありますが、こういった仕切りがあることで、お客様にも安心して使ってもらえますね。
階段のステップを工夫して、本棚や飾り棚のように使うこともできます。手前の空間に椅子を一脚置けば、小さいながらもちょっとした読書スペースができあがり。観葉植物の定位置にしたり、アート作品を置いてミニギャラリー風にしたりと、フリースペースにするのも使いやすいでしょう。
階段をただ昇り降りするための空間として使うのではなく、家族の暮らしにぴったりの活用方法をプラスしてみましょう。デザインにも工夫すれば、プラスアルファの意味を持ちながらも、家を素敵に演出してくれる階段にもなります。