2016
29
Sep

家のデザインについて、 理想の家づくりのためのコラム

3階建て住宅の本当のメリット&デメリット

地価の高い都市部を中心に根強い需要がある3階建て。

一般的には、望む建物の床面積に対して敷地の大きさが2階建てでは満足できない場合に、3階建てになるケースがほとんどだと思います。しかし、その特徴を上手に生かすことで、2階建てでは思いつかなかった「3階建てだからこその魅力的な建物」も可能となります。

今回はこの3階建てについての「オススメポイント」「注意ポイント」を中心に解説していきたいと思います。

3階建て住宅の本当のメリット&デメリットのインデックス

【オススメポイント1】敷地を最大限に生かせる

なんといっても、一番のメリットは敷地を最大に有効活用できるという部分です。「建ぺい率」や「容積率」などの用途地域の制限にもよりますが、可能な限り建物を上に広げることで、床面積が増えることが最大のメリットとなります。

よって、狭い敷地ほど3階建ては大きな効果を発揮します。「利便性の良い土地は価格が高いので広い土地は購入できないけれど、狭小地を購入して望む広さの家を手に入れたい」という方には、3階建てはとても有効なのです。

また、建て替えの場合でも、現状の2階建てのままだと家族構成において住みづらい部分を3階建てに建て替えることで、必要な部屋も確保できるというケースも多いです。

他にも、利便性が良く法的制限が緩い土地なので、「2階建てではもったいない」とお考えの方にも3階建ては有効です。

ただし注意点として、「事前に法的な制限をしっかりと調査する」ということがあります。前述した「建ぺい率」「容積率」だけでなく、「道路斜線」や「北側斜線」、「防火制限」などを踏まえて、その範囲内で最適な3階建てを計画する必要があります。これについては、工務店や建築士などの専門家に早めに相談して下さい。

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【オススメポイント2】階数ごとに使い方を分けることができる

建物の使い方によっては、各階をそれぞれ目的も持った独立した使い方ができるということも特徴です。例えば、店舗や事務所併用住宅にする場合に、「1階は店舗や事務所として独立させて、2階・3階を住まいとする」パターンや、ガレージハウスを建てる際に「1階をビルトインガレージにして、2・3階は居住スペースとする」場合などです。

特に店舗併用や事務所併用住宅の場合には、プライベート空間を維持しつつ居住スペースと店舗(事務所)スペースの広さのバランスを取るために、あえて3階建てとする場合もあります。

この考え方は完全2世帯住宅の場合にも有効です。親世帯と子世帯の人数のバランスを考慮して、1階を親世帯、2階・3階を子世帯にして上手に生活空間を分けるという方法です。また、2世帯同居型の場合でも、1階を親世帯の寝室、2階を共有のLDK,3階を子世帯の寝室というような、親世帯と子世帯のライフスタイルを考慮しながら共有空間も大事にしたプランニングも可能です。

他にも、賃貸併用住宅を計画する際に、自分の住居と賃貸部分を完全に分離して、かつ多くの家賃収入を確保するために3階建てを計画するという考えもあります。

このように、2階建てに比べてもう1階の空間ができることで、その階による区切りを利用してプランニングするという考え方です。

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【オススメポイント3】窓を有効に活用できる

当たり前のお話ですが、2階建てよりも3階建ての方が高い位置に部屋ができるので、窓を上手に配置することで、眺望が良くて光を取り入れやすい家になります。

また、同じ総床面積であれば、一つの階あたりの部屋数は減るので、一部屋につける窓は配置しやすくなります。それらを考慮して上手に設計すれば、光や自然の風が通りやすい家にもなります。

ただし、これらは周辺環境に左右されるケースも多いので、環境をしっかりと調査して最適な窓の配置を考える必要があるでしょう。

 

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【注意ポイント1】階段の存在

「階段」の存在に注意しましょう。2階建てよりも1か所増えるので無駄に感じてしまいます。これは計画上仕方ないことですが、対策としては、スケルトン階段などのオープンな階段にすることが考えられます。視覚的にはオープンで空間を邪魔しないのでデメリットも薄らぎます。

 

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また、階段については3階まで上り下りするということも考慮しなければいけません。「若いときは良いけれど年を取ったらどうだろう」と不安になる方もいるかもしれません。

考えられる対策としては、主寝室を1階に配置しておき、足腰が弱くなっても3階まで上がらなくてもよい計画をしておくことなどがあります。

他にはホームエレベーターをつけることも一つです。ただ、コストアップになることと、そのためのスペースの確保という問題もあるので、しっかりと検討して設置するか決めてください。

これらについては「これがベスト」という正解がありません。それぞれの家族の考え方ひとつです。自分たちの暮らし方をしっかりと考慮して計画する必要があります。

 

【注意ポイント2】家の資産価値を考えなければなりません

最近よく聞くケースが、「将来子供が独立したらその住宅を売ってしまって、便利の良いマンションを購入するつもり」とか、「老後はこの家を賃貸に出して田舎暮らしにシフトする」というような、長期的に資産の移動や運用も考えた計画をするという方も非常に増えています。それは利便性の良い敷地であるということも大きな要因ですが、建物についても資産価値の高いものを選択するということが重要になります。

 

【注意ポイント3】耐震性を考慮する必要があります。

3階建ての場合は2階建てよりもさらに1階の重量が建物にかかってきます。それを支える構造躯体や地盤はより強固にしなければいけません。また、建物自体が上に高くなるわけですから揺れやすくもなります。法律的にも木造住宅の2階建て以下ではやらなくてもよい「構造計算」が義務付けられています。できれば耐震等級も3を取得できるような耐震性を確保したほうが良いでしょう。これらはコストアップの要因にもなります。

在来木造工法や2×4工法で耐震性の高い住宅にする場合には、建物が揺れないように「耐力壁」と言われる壁をより多く配置する必要があります。しかし、「耐力壁」が増えることよって開放的な空間ではなくなる可能性もあります。これは、在来木造や2×4で3階建てを建てるときの大きな弱点です。敷地を最大に有効活用したくて3階建てにしたのに、空間に制限がかかるようでは本末転倒な気がしますね。

それを木造住宅で解決する方法としては、「SE構法」のようなラーメン構造の構造躯体を使うことです。これらの構法は柱と梁の接合部で強度を保つことができるので、耐力壁が少なくても耐震性を確保できます。それによって、1階部分にビルトインガレージを配置したり、広々したLDKや吹き抜けを計画したりしても耐震性の高い住宅を可能とします。

→「SE構法」のページへ

 

■楽しい3階建てライフを

せっかく3階建てを建てるのですから、魅力的な暮らしができる建物にしたいものです。これについていくつかのアイディアを紹介します。

 

1.「屋上ルーフバルコニー」

3階建てを計画するケースでは敷地の広さが足りないという場合がほとんどだと思います。ということは、庭が十分に取れないというケースが多いと思います。

そこで魅力的なスペースになるのが、「屋上」です。屋根の部分をフラットにして、しっかりと防水処理をすることで「屋上ルーフバルコニー」として活用することができます。洗濯物を干すなど日常的に活用もできますし、ウッドデッキやテーブルなどを設置して食事やお茶を飲んだり、ハンモックでリラックスしたりと楽しい空間にもなります。

しかし、ここでも注意点があります。通常の屋根であれば荷重がかからないところを、屋上にも人が乗るわけですから構造計算上、人が乗っても大丈夫な構造にしておく必要があります。

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2.「縦の空間を利用する」

建築地の法的な制限によって、建築可能な最高高さが決まっています。それを3層に分けていくのですが、これを上手に配分していくことが大事です。

例えば、1階部分は階高を少々低くしても2階のLDKは天井高を高くする。そして3階部分は勾配天井などを使って、天井高の低いところと高いところを上手に使い分けながら解放感を保つというような手法です。

他にもスキップフロアなども採用することで、変化のある面白い空間にもなりますね。

【実例紹介】スキップフロアの間取りを考える上での注意点、メリット、最も重要なことは?

 

また、一般的な木造住宅の場合、軒高9m以上の建築は法的に実現が難しいのですが、SE構法のような鉄骨やRCと同様の構造計算をする工法では、軒高12mまで建物を高くすることが可能となります。もちろんその敷地の用途地域の制限の範囲内であることは前提ですが、このような構造を採用することでより縦に開放的な建物となる可能性が広がります。

 

一般的には、3階建てを建てるケースは「本当は2階建てにしたいけれど敷地が狭いから仕方なく3階建てに…」というような方も多いかもしれません。

しかし、色々なアイディアを施すことで、普通の2階建てよりも魅力的な建物になる可能性はたくさんあります。そして、優れた構造躯体を採用することでその可能性はさらに広がっていきます。

これらの可能性をもっと広げて、ぜひ魅力的な3階建てを実現してください!

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