【実例紹介】3階建て住宅の本当のメリット&デメリット
【実例紹介】3階建て住宅の本当のメリット&デメリットのインデックス
地価の高い都市部を中心に人気のある、3階建て住宅。空間を縦方向に有効活用できるため、土地が狭くても十分な居住スペースを確保しやすく、建物の高さを生かした魅力的な住空間を作ることができます。一方で、3階建て住宅を建てる際には、建築上のルールや間取りの工夫など、注意しなければならない点もたくさんあります。今回は、3階建て住宅のメリット・デメリットや、建築時の注意点などをご紹介していきます。施工をご検討されている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
3階建て住宅のメリット
狭小地でも床面積を確保しやすい
3階建て住宅は空間を縦に活用できるため、敷地が狭くても床面積を確保しやすいというメリットがあります。このため、地価の高い都市部であっても、限られた敷地の中で十分な生活スペースを確保することができます。ただし、地域によって建てられる高さや、建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)、容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)といった建築規制が異なるため、その地域のルールの範囲内で3階建て住宅を計画する必要があります。
フロアごとに使い分けやすい
3階建て住宅は、用途ごとにフロアを使い分けやすく、家族のライフスタイルに合った柔軟な家づくりが可能となります。一般的な2階建て住宅よりもワンフロア多いため、部屋数を確保しやすく、家族間のプライバシーを確保しやすい点も魅力と言えるでしょう。このため、二世帯住宅にもおすすめです。また、1階部分にビルトインガレージを設けてガレージハウスにしたり、店舗や事務所を構えて店舗併用住宅にしたりするプランニングも人気があります。
見晴らしが良い
3階建て住宅の一般的な高さは約13mほどで、最上階からの見晴らしの良さもメリットの一つに挙げられます。ちなみに、2階建て住宅の一般的な高さは平均で約7mであり、3階建て住宅との差は約6m。建物が高いほど遠くまで見晴らすことができ、3階建てにすることで、2階から見る景色とは全く異なる景色を目にすることができるでしょう。屋上を設ければ、さらに高い場所からの眺望を楽しむことができます。
水害に備えられる
3階建て住宅は高さがあるため、水害への備えにもなります。高所に避難できるため、身の安全を確保しやすく、また、主要な生活機能を2階以上に置いておけば、床上浸水した場合の被害を最小限に抑えることができるでしょう。近年は気候変動による異常気象が多発しており、豪雨被害も各地で発生しています。建築予定地の近くに河川がある場合や、ハザードマップで浸水や土砂崩れなどの災害リスク地域に指定されている場合は、万が一に備えて3階建て住宅を建てることを強くおすすめします。
3階建て住宅のデメリット
建築コストが高い
3階建て住宅は、一般的な2階建て住宅に比べて高さや重量がある分、強度が必要になり、建築コストが高くなる傾向にあります。また、建物を木造で3階建て以上にする場合、法律で構造計算が義務付けられているため、その費用もかかります。構造計算とは、風荷重、積雪荷重、地震荷重に対する建物の耐久性を確認するための計算のことを言います。3階建て住宅の重みに対し地盤の強度が足りない場合は、地盤補強工事も必要になるため、その費用も追加でかかります。
階段の昇降が大変
3階建て住宅はフロア数が多い分、階段で昇降する際の負担が大きくなります。日々の生活における負担を少しでも軽減させるには、水回りをワンフロアにまとめて家事動線を短くすることをおすすめします。また、老後を見据えてホームエレベーターを導入したり、主要な生活スペースを下階にまとめたり、といった対策も重要です。家具を搬入する際の負担も大きく、住宅密集地は窓からの搬入が難しい場合もあるため、設計や家具選びには注意が必要です。
階下に光や風が届きにくい
3階建て住宅は都市部の住宅密集地に建てられることが多く、プランニングによっては、1階や2階に光や風が届きにくくなってしまうことがあります。採光や風通しを良くするためには、吹き抜けや天窓を設けたり、中庭を設けたりするなどのアイデアがあります。また、住宅全体に光と風を広く行き渡らせるためには、間仕切りの少ないオープンな造りにすると効果的です。
3階建て住宅で後悔しないための注意点
地域の規制を調べておく
3階建て住宅を検討される場合は、建てたい地域の建築規制をあらかじめ調べておく必要があります。建てられる建物の高さは、用途地域(計画的な市街地形成のために分けられたエリア区分)によって異なり、さらに、建ぺい率や容積率の規制が厳しいエリアでは、建物に使える面積も限られてくるため注意が必要です。また、周辺地域の採光や通風を確保するために斜線制限が設けられている場合、建物の高さや、道路境界線または隣地境界線からの距離などの制約を受ける場合もあります。
快適な動線を確保する
先ほどデメリットの項で、3階建て住宅は上下階移動の負担が大きいということをお伝えしました。このため、快適な暮らしを実現するためには、動線をいかにコンパクトにできるかが重要となります。例えば、家事動線を短くしたい場合は、水回りやLDKといった主要な生活スペースを近づけて配置するのがおすすめ。行き止まりのない回遊動線を作れば、スムーズに移動することができます。買い物の動線を考える場合は、ガレージ内から玄関に直接アクセスできる間取りを作り、近くにキッチンやパントリーを設けると良いでしょう。
断熱性を高める
3階建て住宅は空間が縦方向に長いため、冷暖房効率が下がってしまう可能性があります。室内の温度を一定に保つためには、住宅全体の断熱性を高め、空気の循環を生むことを意識しましょう。断熱材や開口部に使用する部材を工夫すれば、外気の影響を最小限に抑えることができます。また、吹き抜けを作ると上部だけが暖まり、下部が冷えてしまうことがありますが、シーリングファンやサーキュレーターなどを用いれば、空気循環が生まれ、室温を均一に保つことができるでしょう。
耐震性を強化する
3階建て住宅は縦方向に長いため揺れやすく、また、下階部分にかかる荷重が大きいため、一般的な2階建て住宅以上に耐震性に配慮しなくてはなりません。住宅の強度を高めるなら、「在来工法」や「2×4(ツーバイフォー)工法」などに見られるように、梁、柱、耐力壁といった構造躯体を増やして住宅を安定させる方法が無難だと言えるでしょう。しかし、これらの工法は柱や壁の数が多くなるため、大きな空間が作れないという弱点があります。
木造で耐震性と空間の広さを両立させたいという場合は、重量木骨の家が採用している「SE構法」という選択肢もあります。高強度の集成材を特別な金物で接合することで、構造強度を保ちながら梁や柱を最小限まで減らすことができ、吹き抜けやビルトインガレージといった大空間のプランニングが可能になります。
3階建て住宅の間取りのコツ
水回りをワンフロアにまとめる
3階建て住宅の間取りを考える際、水回りをワンフロアにまとめることを意識すると良いでしょう。浴室、洗面所、トイレなどを集約しておけば、家事動線をコンパクトにすることができ、上下階移動が多い3階建て住宅でも快適に生活しやすくなります。また、水回りを一箇所にまとめることで、配管コストやメンテナンス費用を削減することができ、設備のスペースの無駄をなくすこともできます。
壁をなくして空間を広く取る
3階建て住宅は、住宅密集地などの狭小地で、限られた土地を有効活用するために建てられるケースが多く見られます。このような場合、壁を多く作ると一つ一つの部屋が狭くなり、圧迫感が生まれてしまう恐れがあります。先ほどご紹介したSE構法によって壁の少ない空間を設計すれば、視覚的な開放感が生まれ、実際の面積以上の広さを演出することができるでしょう。
空間を縦方向に有効活用する
限られた土地の中で十分な居住スペースを確保するためには、空間を縦方向に有効活用することを心がけましょう。3階建ての時点でフロア数を三つ確保できていますが、小屋裏収納(ロフト)や屋上を設けたり、反対に半地下や地下室を設けたりすることで、縦方向にさらに広い空間を作ることができます。ただし、先ほどもお伝えした通り、地域ごとに建築規制が異なっているため、ルールを確認した上で計画しましょう。
老後を見据えて部屋を配置する
3階建て住宅を計画される場合、老後を見据えて間取りを考えることも重要なポイントです。歳を重ねると、これまで以上に上下階移動が大変になるため、水回りやLDKといった主要な生活スペースはなるべく下階に配置するのがおすすめ。階段の段差を緩やかにしたり、ホームエレベーターを設けたり、階段移動の負担を減らす工夫があれば、なお良いでしょう。3階には子ども部屋を配置し、巣立った後の部屋を有効活用できるよう、可動式の間仕切りを設けるなどしてフレキシブルな間取りを作ると便利です。
3階建て住宅のよくある疑問
3階建て住宅に関して、多くの方が持たれている疑問をまとめてみました。3階建てにするかどうか迷われている方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
3階建て住宅は売却しにくい?
3階建て住宅に対し、売却しにくいというイメージを持たれている方は多くいらっしゃいます。その理由の一つは、階段移動が負担になるということ。高齢者のいるご家庭や、老後まで長く住み続けたいと考えている方から敬遠される傾向にあります。二つ目の理由は、耐震性に不安のある方が多いということ。縦方向に長い構造であるため、地震の揺れに弱いというイメージを持つ方が多くいらっしゃるようです。
将来的な売却を見据えて建築する場合は、ホームエレベーターを設置したり、耐震等級の高い設計にしたり(最高の耐震等級3が望ましい)するなど、住宅の資産価値を高めておくことが重要です。また、土地を購入する際に、利便性が良く人気のある地域を選択すれば、買い手が見つかりやすくなります。
3階は水圧が低くなるのか?
3階建て住宅で水道を使うためには、水を押し上げる力、つまり水圧が必要になります。地面を通る水道管から1階、2階、3階へと水が押し上げられることで給水されるため、階数が高くなるほど水圧は低くなります。
このため、水量を多く必要とする水回りの機能を3階に置くことは、あまりおすすめできません。しかし、3階にトイレや手洗いを設けたいという場合は、給水管の太さを変えたり、ポンプを設置したりするなどの対策を取ることができます。低水圧に対応している設備機器も多く販売されているため、チェックしてみると良いでしょう。
塗装やメンテナンス費用が高くなる?
3階建て住宅は、一般的な2階建て住宅よりも外壁の面積が大きく、また、高所の作業が必要になるため、外壁の塗装費用やメンテナンス費用は高くなります。しかし、㎡単価で塗装の料金を設定している業者が多く、3階建てと2階建てとの差はそれほど大きくならない傾向にあります。
高所作業のための足場代に関しても、2階と比べると若干の追加料金を求められるものの、それほど大きな出費になる可能性は低いと言えるでしょう。また、家を建てる際にあらかじめ、汚れや経年劣化に強いメンテナンスフリーの外壁を採用すれば、メンテナンスの頻度を減らすことができ、ランニングコストを抑えることができます。
家全体に電波が届くか不安
現代の家づくりにおいて、インターネット環境は考慮すべき必須条件と言えるでしょう。3階建て住宅は縦方向に長いため、家全体に電波が行き渡るのか不安を持たれる方も多くいらっしゃいますが、木造の3階建てであればそれほど問題はありません。また、住宅の設計や、Wi-Fiルーターの置き方を工夫すれば、より快適にインターネットを使用できます。
1階から3階まで電波を届けるためには、ルーターは中間の2階に置くようにしましょう。周囲に壁や家具などの障害物があると、電波が遮られてしまうため、置き場所には注意が必要です。間仕切りを減らし、広々とした吹き抜け空間を作れば、電波が行き渡りやすくなります。また、電波の届きにくい場所は、中継機を置くことでインターネット環境を改善することができます。
3階建て住宅の人気の間取り実例
せっかく3階建て住宅を建てるのであれば、2階建て住宅では味わえない快適な住環境を実現させたいものです。ここでは、3階建てならではの施工アイデアを実例とともにご紹介していきます。
ルーフバルコニーは開放感が抜群
3階建て住宅が多く立つ住宅密集地では、庭を作るスペースの確保が難しい傾向にあります。屋上やルーフバルコニーを設ければ、周囲の視線が気になりにくいプライベートな屋外空間を作ることができ、3階建てならではの眺めや開放感を満喫することができます。
こちらの事例は、2階の屋根を利用して設けられたルーフバルコニー。3階の居住スペースからフラットにアクセスでき、日常生活の中でルーフバルコニーを活用しやすい間取りとなっています。スペースはそれほど広くありませんが、青空や星空の下でゆったりとした時間を過ごすには十分な空間です。
ビルトインガレージで安全に駐車
都市部の住宅密集地では駐車場の確保が難しいため、1階部分を駐車スペースにしたガレージハウスもおすすめです。住宅内部にガレージが組み込まれているため、車を雨風や盗難、イタズラから守ることができます。月極の駐車場を契約する必要もないため、ランニングコストがかからない点も魅力です。何より、大事な愛車をそばに感じながら暮らせるということは、車好きの方にとってこの上ない幸せと言えるでしょう。
こちらの事例は、広々としたビルトインガレージを備えた、3階建て町家風住宅。正面の出入り口が格子戸になっていて、京都の風情ある街並みによく馴染んでいます。間口いっぱいの大空間は、重量木骨のSE構法ならでは。スペースが広いため、DIYをはじめ、さまざまな用途に利用できます。
中庭×吹き抜けで家全体を明るく
3階建て住宅を建てる場合、1・2階に光や風が届きにくいというデメリットがあります。周囲に住宅が密集している場合は、採光や通風がさらに難しくなりますが、中庭と吹き抜けを組み合わせることで、これらの問題を一挙に解決させることができます。
こちらの事例は、親子2世帯が暮らす3階建てのコートハウス。南側に配置された中庭をコの字型に囲んでいて、明るさを確保しつつ、プライバシーも守られた設計となっています。内部は2階から3階にかけて大きな吹き抜けを設けています。中庭と吹き抜けがもたらす開放感により、親世帯も子世帯も心地よく暮らせる、明るく快適な空間が実現しました。
まとめ
3階建て住宅にはメリットとデメリットの両面があり、これらをよく理解した上で購入を決める必要があります。また、3階建て住宅に一生住み続けるか、将来的に売却する予定があるのかによっても、プランニングの内容は変わってきます。いずれにせよ、3階建て住宅で安全かつ快適に暮らすなら、重量木骨の家の「SE構法」にぜひお任せください。木造の温もりと、自由度の高い空間デザイン、そして高い耐震性能、全てを備えた3階建て住宅で豊かな暮らしを送ってみてはいかがでしょうか。