リビング横の和室をおしゃれに作る方法は? レイアウト&仕切り方のポイント
リビング横の和室をおしゃれに作る方法は? レイアウト&仕切り方のポイントのインデックス
間取りを考える際に、和室を設けるかどうかは迷うところ。うまく活用できず、いつの間にか物置になっていた……なんて話もよく聞きます。そこで今回は、さまざまな用途に使いやすいリビング横の和室について解説していきます。作り方のポイントを押さえて、居心地の良い和室を作ってみてくださいね。
リビング横に和室を作るメリット
汎用性が高い
メリットの一つは汎用性の高さ。リビングとのアクセスが良いため、洗濯物を畳んだり、アイロンをかけたり、家事のスペースに使うことができます。また、床が柔らかいため、横に寝転んで休憩でき、幼いお子さんも安全に過ごすことができます。
仕切りがある場合はリモートワーク用のスペースに使ったり、来客時に応接間や寝室にしたりすることもできます。置き場所に困りがちな仏壇に関しても、和室があれば違和感のない仏間を作ることができます。
リラックス効果
畳にはリラックス効果があり、い草に含まれている「フィトンチッド」という成分が関係しています。畳の爽やかな芳香はこの成分によるもので、ストレスやアレルギーを和らげたり、免疫力を高めたりする効果もあると言われています。また、サラリとした手触りや、程よいクッション性も畳の魅力の一つ。フローリングの固い床では寝転んだ時に体を痛めてしまうことがあるため、休憩の際にはリビング横の和室を活用すると良いでしょう。
調湿効果
畳には湿度を一定に保つ効果があります。一畳につき約500mlもの水分を吸収する能力があると言われていて、ジメジメしやすい夏でも過ごしやすく、カビやダニの発生を防ぐこともできます。また、乾燥しやすい冬には適度に水分を放出するため、湿度が上がり室内が温かく感じられます。このように、湿度が大きく変化しやすい日本の気候でも、一年を通して快適な住環境を維持することができます。
リビング横の和室のデメリット・注意点
メンテナンスが必要
和室はフローリング以上に、定期的なメンテナンスが欠かせません。畳は時間が経つとささくれや日焼けが目立ってくるため、数年に一度張り替えを行う必要があり、それに伴うコストも発生します。また、畳の目にはゴミが入りやすく、掃除を怠るとダニの温床となってしまいます。
このため、掃除機をかけるだけでなく、箒でゴミを掻き出したり、固く絞った雑巾で拭き上げたりする必要があります。また、畳の湿度が高すぎるとカビが発生してしまうため、適度な換気も心がけましょう。
ペットには不向き
ペットのいるご家庭は、和室を設けるのに注意が必要です。ペットが畳をかじったり引っ掻いたりしてボロボロにしてしまった、という話は多々あります。また、粗相や吐き戻しがあった際に、フローリングのように拭き掃除で綺麗にすることが難しく、汚れや臭いが残ってしまうことがあります。
それでも和室を設けたいという場合は、ペットが立ち入らないようにする、あるいはしっかりしつける、といった対策が欠かせません。また、傷に強く水洗いしやすいペット用の畳もあるので、こちらを検討してみても良いかもしれませんね。
家具を置きにくい
畳は凹みやすいため、家具を置くのに向いていません。特に、重くて脚が細い家具は強い圧力がかかってしまうため、脚がなく床にピッタリと接する家具をおすすめします。また、畳は日焼けもしやすいため、家具を置いている部分と置いていない部分とで色の差が出てしまいます。間取りや日除けの工夫で直射日光を避けつつ、極力家具を置かなくて済むように造作収納や押し入れなどを積極的に活用しましょう。
リビング横の和室のタイプ
仕切りあり
仕切りのあるタイプは和室とリビングをきっちりとゾーニングでき、和室を独立した個室として使用することができます。ただし、仕切りがあることによって空間に圧迫感を与えてしまうというデメリットも。可動式の間仕切りを設ければ、用途に応じてリビングと一体となった大空間を作ることができ、フレキシブルに使用できます。
仕切りなし
仕切りのないタイプは、和室とリビングを一体に使うことができ、空間を広く見せることができます。一つの空間の中に和と洋のテイストが混在することになり、デザインのコントラストを楽しむことができるのもメリットの一つ。また、開かれたスペースとして和室が存在することで、暮らしに溶け込みやすくなり、活用の幅も広がることでしょう。
フラット
和室のタイプは仕切りの有無だけでなく、フロアレベルによっても分類されます。フラットなタイプは、リビングと一体感を持たせることができ、仕切りのないタイプと組み合わせることで、より開放的な空間を演出することができます。
段差がないため、幼いお子さんやご高齢の方も安心して過ごせるバリアフリー設計でもあります。またフラットタイプには、取り外しができる置き畳を敷くというアイデアもあり、用途に応じてフローリングと使い分けることができます。
小上がり
小上がりとは、床面を一段上げたスペースのことを指します。床の高さは30〜40cmほどで、ベンチのように畳に腰掛けることもできますし、和室をキッズスペースとして使用する場合は、お子さんと視線の高さを合わせやすくなるというメリットもあります。また、段差を活用して収納スペースを設けることもできます。空間に変化が生まれるため、個性的な部屋を作りたい方におすすめです。
リビング横の和室のおしゃれな仕切り
ふすま・引き戸
ふすまや引き戸は、閉め切れば完全な個室としてプライバシーを確保でき、大きく開け広げればリビングと一体の大空間にもなります。和の要素を強くしたい場合は昔ながらのふすまを選び、和室をリビングと調和させたい場合は洋室に使われている引き戸を取り入れましょう。近年のふすまはバリエーションが豊富で、色やデザインが個性的なものを選べば、デザイン性の高い和モダン空間を作ることができるでしょう。
ロールスクリーン・プリーツスクリーン
ロールスクリーンとプリーツスクリーンは、いずれもスクリーンと呼ばれる生地を上下に昇降させて使う間仕切りアイテムで、前者は巻き取り式、後者は折りたたみ式となっています。ふすまや引き戸と同様に、開け広げておけばリビングと一体感を持たせることができます。密閉性がなく空間に圧迫感を与えないのがメリットで、目隠し程度に閉じて使いたい場合におすすめの間仕切りです。
障子・格子
障子や格子は、間仕切りとしての機能はもちろん、和の雰囲気をより高めるインテリアとして人気があります。いずれも透過性が高いため、プライバシーの確保には向いていませんが、空間に軽やかな印象を与えることができます。また、閉め切った状態で和室内部の照明をつけておけば、障子や格子から光が漏れて間接照明のように演出することができます。
スキップフロア
スキップフロアとは、同じ空間の中で床の高さを一部分だけ変えたスペースのことを指します。床の高さを一段上げた小上がりや、一段下げダウンフロア、1階と2階の間に設けられた中二階などが該当します。壁や扉などの間仕切りとは異なり床の高さによって空間を仕切るため圧迫感を与えず、なおかつ遊び心のあるデザインに仕上げることができます。
リビング横の和室をおしゃれにする方法
空間の統一感
リビングの一角に和室を設ける際、デザインの調和がうまく取れず、チグハグな印象を与えてしまうことがあります。空間に統一感を持たせる方法としては、和室とリビングで同じ壁材を使う、和と洋の両方のテイストに合うシンプルな家具を取り入れる、といったアイデアがあります。和室を含むリビング空間全体をどのように作りたいのか、設計段階でイメージを固め、その上で内装を決めていきましょう。
低い家具
和室は床座が基本であるため、座卓や座椅子といった背の低い家具を選ぶようにしましょう。リビングとの統一感を持たせるために、カーペットやクッションといった洋風のアイテムを置いても良いかもしれませんね。床座は目線の位置が低くなるため、背の高い家具があると圧迫感が出やすくなってしまいます。背の低い家具で統一して空間に余白を持たせ、心安らぐ和の空間を作りましょう。
畳のデザイン
近年では畳のデザインにもさまざまなタイプがあります。琉球畳と呼ばれる縁なしタイプは、モダンな空間にも馴染みやすいためおすすめです。縁のある従来型の畳を選んでレトロ感を演出するのも良いですね。また、畳のカラーバリエーションも豊富にあるため、リビングの色味に合わせたり、複数の色の畳を組み合わせたりすることもできます。
和室横のリビングのレイアウト実例4選
シームレスにつながる和室
こちらは、和室とLDKが一体となった30帖の大空間。畳が和室からリビングの端までシームレスにつながっていて、空間に連続性をもたらしています。白を基調とした内装と、吹き抜けの天井も相まって、空間の広がりを感じられます。また、和室を囲むようにスライドドアが設けられているので、個室を作ったり、一室空間にしたりと、間取りをフレキシブルに変えられる点も魅力です。
リビング奥の純和風空間
リビングの奥に設けられたこちらの和室は、ふすま、畳、障子、床の間といった純和風の造り。間口が広く、ふすまを全開にすればひと続きの大空間を作ることができます。一方、リビングはスギのフローリングを張った和モダン空間。それぞれ全く異なる表情を見せている和室とリビングですが、木をふんだんに使うことで、温もりと調和を生み出しています。
小上がりの床下は収納に活用
リビングの一角にあるこちらの和室は、休憩スペースとして使えるだけでなく、小上がりの床下を引き出し収納に活用しています。お子さんのリビング学習の勉強道具を片付けたり、消耗品のストック場所にしたりして重宝しているそうです。この和室は中庭と直接アクセスできるようになっていて、窓を開ければベンチのように小上がりに腰掛け、外気に触れながらリフレッシュすることができます。
ダウンフロアでこもり感を演出
こちらの和室はリビングから少し奥まった場所に配置されていて、隠れ家のような落ち着いた空間となっています。小上がりの和室はよく見かけますが、こちらは少し珍しいダウンフロアとなっていて、一段下がったスペースに体をすっぽり収め、こもり感を楽しめます。内装にもこだわり、重厚感のある梁見せ天井や、大胆にくり抜かれた壁のデザインが目を引きます。
まとめ
和室をリビングと隣り合わせに配置することで、使い道の幅が広がり、空間全体のデザイン性も高められるということをご理解いただけたのではないでしょうか。今回ご紹介した内容を参考にしつつ、和室とリビングという二つのリラックス空間を上手に組み合わせてみてくださいね。