木の家を知って、「木の家」に住もう。

木の家を知って、「木の家」に住もう。のインデックス
玄関の扉を開けると、ふっと感じる木の香り……。家の構造としての木材だけでなく、天井、床、壁などの内装にも木をふんだんに使った木の家には、優れた機能性に加えて、木の香りで癒されるなど、住む人の心と体にとって、さまざまな魅力があります。ナチュラルな暮らしを楽しみたい、家族みんなに優しい家を建てたい、夏は涼しく冬は暖かい省エネの家に住みたいなど、様々なニーズに応えてくれるのが木の家です。そこで、木の家を建てるメリットや、その楽しみ方をご紹介します。
木の家とは?
一口に言って、木の家とはなんでしょうか。その字から考えると、「木で作った家」という事になりますが、家と言うのは実に様々な要素が含まれてできています。木を家のどこに使えば、それが「木の家」と呼ばれるものになるのか、皆さんも一緒に考えてみませんか。
木造住宅・構造そのものが木の家
まずは、家の構造体に木を使うという事が「木の家」の定義の一つです。いわゆる構造体としての木造住宅がそれにあたります。構造としての木造にもいくつか種類があり、主な物としては「木造軸組み工法」「ツーバイフォー」「ログハウス」などがあります。
内装が木の家
次に、構造にはこだわらず、内装に木を使う事でも、「木の家」と言うことが出来ます。床や壁、天井等全ての内装材に木を使うことが出来ます。また、階段の段板や、造り付けの家具、窓枠等も木で作ることが出来ます。
<無垢材のメリット・デメリット>
無垢というその字の通り、一本の木から切り出した木そのものを板状にしたものです。木目の美しさや、木の香り、肌触りなどが魅力です。その一方で、季節によって収縮をすることもありますし、種類によっては傷が付きやすいので扱いが難しいこともあります。
<突板のメリット・デメリット>
突板とは、合板の表面に天然木を薄くスライスしたものを張り付けて板状にしたものです。中身は合板なので無垢材に比べて、加工がしやすく、収縮も少ないので扱いやすい一方、長期間の使用で表面の天然木がはがれてしまう事もあります。
<シート貼りのメリット・デメリット>
紙や、樹脂フィルムなどのシート状のものに木目調のプリントをして、それを合板に貼り付けて、板状にしたものがシート貼りと呼ばれる木材です。価格を抑えることができることと、柄をそろえやすいことがメリットですが、木質のものと比べるとクオリティは下がって見えるでしょう。
外観・外装が木の家
木が好きな人の中には、外壁などの外装材も木を使いたいという方もいます。外装材に木を使うと、風雨や太陽の光にさらされることになりますので、建築当初からだんだんと色味や風合いが変わってきます。そういった経年変化を楽しめるのも、木の家ならではでしょう。
木の家の機能的なメリットと癒し効果
「木の家」と聞くと、家の構造体に木材を使った、いわゆる木造住宅というイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。木造住宅のメリットとしては、ほかの工法で建てられた家と比べて、建築コストが抑えられるという事があります。また、キッチリと構造計算された木の家なら、自由な間取りやデザイン性の高い大開口・大空間も可能です。地震や台風が多い日本で建てる木の家ですから、耐震性を証明する構造計算は重要です。
木材は湿気を吸収・放出する性質があるので、人が快適と感じる湿度を保ってくれるというメリットもあります。これは、家の断熱性能を高く保つことにも一役買っています。木材をたくさん使う空間で過ごすことは精神的にとても良く、その結果病気をする人が減るというデータもあるほどです。このように、構造材としての木材にも魅力が沢山ありますが、「木の家」の良さを肌で感じるには、壁や床や天井などの内装にも木材を使う事をおすすめします。
木の家には、木材だけが与えることが出来る魅力があります。それは、他の工法では得られない、家の中にいて感じられる、木が持つ温かみや癒し効果です。
<木の家のメリット>
・木が持つ温もりが感じられる
・木の香りはリラックス効果がある
・湿気を調節してくれる
・木の色がだんだんと変化していくのを楽しめる
・体に優しい自然素材
・夏は涼しく、冬は暖かく省エネである
・カビやダニなのどの発生を防ぐ効果がある
しかし、木の家はメリットばかりではありません。自然の物を、自然に近い形で使うという事ですので、その扱い方やメンテナンスについては、人工素材と同様にという訳にはいかないでしょう。ですが、手を掛ければ掛けるほど味が出てくるのも木のいいところですので、木の家をつくるのであれば、建てた後のメンテナンスも楽しむという気持ちで家づくりに臨んでみましょう。
木材の特徴として気を付けたいことの一つに、天然の木材は湿度によって伸び縮みをするということ。例えば無垢のフローリングは、裸足で歩いたり寝転がるととても気持ちがいいものですが、冬は乾燥でひび割れをしてしまうこともあります。その気持ちよさをキープするためには、定期的なお手入れをしてあげるという事も必要になります。
木の家をおしゃれにする木の種類や貼り方
木の内装材と言われて一番に思いつくのはフローリングの床材ではないでしょうか。現在は、フローリングに使う樹種も幅広く色も自由に選べますし、フローリングを床にどういうデザインで貼っていくのか、貼り方のセレクトでも部屋の雰囲気が全く違うものにもなるので、選択肢は無限大です。
空間の中にスキップフロアを設けて、ダイニングとリビングを自然な形で区切ったこちらの木の家。一番低くなっているスペースの床部分は、板の貼り方をヘリンボーンにすることで、空間をゆるく分けています。床板の貼り方を一部でも変えてみると、木の家の空間全体にちょっとした変化が生まれるはず。また、ヘリンボーン張りは木の家のインテリアにクラシカルな印象を与える効果もあります。
木の家の構造材として使用している柱や梁を、あえて見せる「真壁工法」。古くから日本の建築物に使われてきた構法にはなりますが、素材の選び方次第ではモダンな印象にもなり、木の家らしさが存分に感じられます。白い壁に縦に伸びる柱が並ぶことで、空間が広く見える効果も。こちらのお宅のように、吹き抜け空間に真壁工法を取り入れると、よりダイナミックな木の家の空間になります。
木の家は、使い方次第で様々なスタイルに
木の使い方や分量
木の家は、木の使い方や分量によって印象が変わるのが特徴です。例えばこちらのお宅のように、天井の梁を大胆に見せることで、木の家であるという印象をより与えることが出来ます。そして、あえて種類や色味の違う木材をミックスさせることで、面白い空間に仕上がっています。ただし、木材で統一していることから、不思議とごちゃごちゃした印象はありません。
木の家をモダンに魅せる
同じ木の家でも、モダンですっきりと見える空間。天井に白いクロスを貼るだけで、ずいぶんと印象が変わることがわかります。こちらの木の家のように、デザイン性の高いモダンなイメージの照明やダイニングテーブルなどを使いたい場合は、少し木の分量を抑えるようにすると、インテリアと家具のバランスが取りやすいでしょう。
木の色を選ぶテクニック
一口に「木の家」と言っても、木の色によって与える印象は全く違ったものになります。白っぽい色味はナチュラルな雰囲気に合いますし、赤茶系はノスタルジックな、あるいはアンティークなイメージに合います。ダークブラウン系であれば、シックで落ち着いた大人の雰囲気の家に合うでしょう。最近は着色して色を楽しむ人も増えていますので、作りたい家のイメージに合う色を探してみましょう。
木と異素材との組み合わせ
「木の家」と言っても、すべてに木を使わないといけないわけではもちろんなく、逆に異素材と組み合わせることで、木の質感の良さが際立つという事がよくあります。特に、鉄や、コンクリートなどのように無機質なものと合わせると、木の温かみが無機質の素材の冷たさを和らげて、ちょうどいい雰囲気になるでしょう。また、タイルや珪藻土のような有機素材を組み合わせると、お互いにアクセントになりますので単調はでない、面白味のある雰囲気に仕上がるでしょう。
木の家に合わせた造作家具で統一感を
国産の杉板を貼ったという天井が印象的な、こちらのリビングルーム。杉板は昔から日本の家づくりによく使われてきた素材ですし、なによりその柔らかさから、木の温かさを感じることが出来ますし、手触りも抜群です。床や天井の色味に似た木材で、テレビまわりのボードや収納を造作しています。造作家具なら、室内で使われた木材と素材を合わせることができ、また家族の使い方に合わせてデザインすることができます。木材は使い込んでいくうちに、だんだんと味わいも増していくでしょう。
ダイニング収納を造作家具にした、こちらのお宅。扉や引き出しを多くデザインし、雑多になりがちな細かなものをすっきり隠してくれます。パソコンデスクを兼ねることで、余分にデスクを買う必要もありません。このデスクは、時にお子さんの勉強机に活用することも可能です。また、この収納はエアコンを隠すという大事な役割も。木の家の造作家具だからこそできる、収納アイデアです。
木の家を楽しむなら、ウッドデッキが必須
木の家を外でも楽しみたいという方には、ウッドデッキはいかがでしょうか。こちらのお宅ではウッドデッキを広く取り、水場も設置。気候のいい時期には、ここで食事をしたり、パーティーをしたりと、第二のリビングとしてさまざまな使い方ができます。ウッドデッキは裸足で歩いても気持ちよく、子供たちの遊び場としても最適です。また、屋根を設置することで、使い勝手は格段に上がります。
縁側のようにも、またリビングルームの延長としても使えるウッドデッキ。ウッドデッキに使う素材と家の内部の素材の色味や質感を揃えることで、全体的に統一感が出ます。大きな掃き出し窓を開け放てば、ホームパーティーなどたくさんの人が集まる機会にも活用できます。ウッドデッキでは、趣味を楽しんだり、裸足で寝そべって日向ぼっこをしたり、夜は月を見ながらお酒を飲んだりと、さまざまな楽しみ方ができます。
木の家の木目を活かした個性的な外観
白い壁をベースに、効果的にレッドシダーの板張りを施した外観。玄関まわりを見てみても、漆喰の白とレッドシダーの対比が美しく目に映ります。玄関にはあえて鉄平石を組み合わせて、自然素材で統一。訪れる人の目を楽しませてくれる、木の家らしい玄関です。木の家は、外観においても、木材の使用範囲によってイメージに大きな違いが出るのがまた興味深いところです。
建物の南面と西面に、灰黒色の焼杉板を貼った、印象的な木の家。一方で、メンテナンスとコストを考慮して、道路から見えない外壁にガルバリウム鋼板を採用しています。焼杉板は表面をバーナーで焼く、昔ながらの板材。焼いて炭化させることで、耐候性や耐久性がアップします。木を使った外観と言うとどうしても茶系の色を思い浮かべますが、このように全く違ったイメージにすることも可能です。独特の色合いや風合いを楽しみながら、素材としても機能性がアップするのが、焼杉の魅力でもあります。
まとめ
昔から私たちの生活の身近な存在として、木があります。そして「木の家」は長い間、日本の家づくりの材料として、主なものでした。今、時代は変化し続けています。家づくりの材料についても、技術の発達とともに様々な選択肢が出てきました。それでも、私たちが「木の家」に魅力を感じるのは、その太古からの歴史が私たちのDNAに刷り込まれているからなのかもしれません。
今回ご紹介した「木の家」には、現代らしさが感じられる点が多くみられました。異素材とのハイブリッドや、豊かな着色など、自分たちの暮らしに合わせた現代の「木の家」を作ってみませんか。