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HOUSE STORIES2020.03.17

内と外をつなぐ土間のある暮らしを謳歌する、松尾ファミリー

思い描く理想をカタチに変えていく家づくり。SE構法だから実現できた、こだわりの空間には、家族それぞれの想いがつまっている。そんな家での、その後の暮らしvol.5。

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黒と木材、世界感を統一したスタイリッシュな家。

和歌山県海南市。静かな町の一角に、周囲の住宅からひときわ目の引くスタイリッシュな外観の建物がある。無垢材とブラックのコントラストが美しく、窓枠もすべて黒で統一されている。玄関扉を開けば、長いモルタルの土間が広がっている。その土間はリビングへとつながっていて、扉も敷居もない奥行きのある大空間が、なんとも贅沢だ。土間にさりげなく置かれたレッドウイングのブーツやクラシックなランタンが、暮らす人の世界感を作り出している。

土間とつながった納戸から、ピョコっと顔を出した愛らしい女の子の笑顔とぶつかった。松尾彰彦さんと昌子さんの長女、百香ちゃん7歳だ。ウォークインできる納戸内には、家族のジャケットとたくさんのアウトドアグッズが収納されている。

彰彦さんと昌子さんは、夫婦揃って小学校教員。妻の昌子さんは現在、3人目の男の子の育休中で、1歳の心平くんはよちよちと歩き出したばかり。長男である4歳の亮成くんの後をキャッキャと追いかけている。夫婦の戸建てへの夢は、長女の百香ちゃんが産まれた時からだと話す。

「当時はマンションに暮らしていたんですが、ずっと自分たちの家を建てたいと話し合ってきました」。
その日を夢見て、マンションで家具を選ぶときも、間に合わせで揃えるのではなく、いつか新居で使えるものをと「カリモク」を中心に上質なものを選んでいった。

「土地探しには時間をかけました。さほど家が建ち並んでいなく、ほどよく田舎で、趣味のアウトドアの世界を暮らしながらも体験できるような場所を探していました。自分たちだけの空間を作り上げられたら、と思っていたんです」。
周辺には田んぼもあり、とてものどかな雰囲気。その上、スーパーや病院も近くにある。さらに共働きの夫婦にとって、実家が近いというのは何よりもの魅力だった。3年をかけた土地探しの中で吟味し決断した、理想的な場所。「広さも十分あって日当りもいい。庭だけでなく、将来畑も作れそうだと思いました。それに趣味のガレージも••••••!と、次々と夢が膨らみました」。

彰彦さんと昌子さんは、ともに和歌山の田舎育ち。昔ながらの広い土間があり、薪で沸かすお風呂のある家で育った。
「子ども時代から、土間のある暮らしが日常でした。マンションのときにも感じていましたが、現代の住宅の仕切られた玄関を窮屈に感じてしまって。家を建てるときの条件のひとつに、広い土間をあげていました」。
暮らしの中に土間のある、日本ならではの家で育ったふたりの記憶。それはそのまま、自分たち家族の空間へと投影されていった。玄関扉からリビングまで続く土間は、日本家屋のそれとはまた雰囲気が異なり、明るい光に溢れている。東側の大きな窓からは朝日がたっぷりと注ぎ込み、そのスタイリッシュな土間は利便性を伴って、内と外とを見事につないでいる。
「毎朝ここでコーヒーを飲むのが、至福の時間なんです。いい家に住んでいるなって、つくづく感じています(笑)。この家ができるまで、自分たちの家を一から作っていく楽しさを味わうこともできたので、いまこうして生活していても、ものすごく愛着があるんです」

設計・施工は、友人の紹介で知り合った地元の浅井良工務店に依頼。部屋の数よりも、広いリビングのある家を第一に要望したという。子どもたちが走り回れるような空間があり、大きな窓の向こうにもまた広い庭が広がっている••••••。そんな家が理想だった。数度に渡るヒアリングを経て、工務店から受け取った設計プランの、柱のない大空間のLDKには目を奪われた。その斬新さに当初は驚いたものの、実際に暮らしてみてからは、大空間の大らかさに加え、気密性能、絶妙な光の入り具合など、すべてが計算されていることを実感。住みはじめてからは改めて「さすがプロ」と思えるような瞬間が多かった。

「床材も作り付けの建具材も、色が濃いアカシア材で統一してもらいました。暮らすなら木のぬくもり、木の匂いに満ちた家がいいと思っていたんです。そしてもうひとつ気にかけていたのが、地震への心配でした」。
阪神大震災を経験している松尾さん夫妻は、南海トラフへの懸念がいつも心にあるという。新築の時も真っ先にアタマによぎったのは、地震が来たらどうしよう、ということ。だからこそ、広い空間を確保しながら耐震構造を持つSE構法は、家族みんなの安心感にもつながったという。

部屋にいながらしてアウトドアの世界感を感じられるこの家の中心には、大きな薪ストーブが置かれている。
「薪ストーブは、設置して本当によかったです。大人だけでなく、子どもたちも火を見ていると安心するみたいで。休みの日に家族で薪を割ったり、人を呼んでパーティをする際に、ストーブで焼いたピザやアヒージョを振る舞ったりと、薪ストーブのおかげで休みの日の過ごし方も変わりました」。

吹き抜けになった大空間を、ストーブの太い煙突が屋根まで貫き、寒い冬でもポカポカに温めてくれる。広いLDKで、マットブラックのストーブと同じ質感の黒のアイランドキッチンが、リンクするように存在感を放っている。
「黒のキッチンは『キッチンハウス』で見て一目惚れしたものです。このキッチン側のエリアは、いまは子どもたちの遊び場になっていますが、将来的には和室にしてもいいかなと思って、腰窓にすることにしました」。

吹き抜けになった2階部分には、子ども部屋や寝室が。でもいまは、家族の時間を作っているのは大きなLDK。小学生の百香ちゃんはキッチンカウンターで宿題をするのが日課だ。自分の部屋を持っている嬉しさ、これからこんな部屋にしたいと夢を語り、喜びいっぱいの様子。彰彦さんもまた、趣味のコレクションであふれた書斎スペースを持つ。家族がひとつになりながらも、この家にはひとりひとりの夢の場所が用意されている。
「これまで以上に子どもたちと遊ぶようになり、畑仕事に庭いじり、暖炉メンテナンスにプラモデルと、次々と趣味が増えました」と、彰彦さん。昌子さんもまた、大好きな料理に没頭でき、友人を招くのが楽しみになったという。

昨年末には、広い庭に家族みんなで令和元年の記念にと、建具材と同じアカシアの木を8本植えた。彰彦さんは、この庭に芝生を植えたり、ガーデニングにも挑戦してみたいと意気込む。アカシアの木の成長とともに、3人の子どもたちはこの木の家で豊かな時間を過ごしていく。元気に庭を駆け回る子どもたちの姿を、リビングの窓際から目を細めながら見つめる彰彦さんと昌子さんの姿がある。
「家族5人そろって過ごせる時間は、あと何年だろう、って考えてしまいます。子どもたちが巣立つその日まで、この家での家族の時間を大事にしたいなって思うんです」。

インタビュー和歌山県海南市 松尾邸(重量木骨の家
施工株式会社浅井良工務店