HOUSE STORIES2021.06.15
味わいある木とともに暮らす、Mファミリー
思い描く理想をカタチに変えていく家づくり。SE構法だから実現できた、こだわりの空間には、家族それぞれの想いがつまっている。そんな家での、その後の暮らしvol.13。
三角屋根の下は、遊びと工夫に満ちた大空間。
豊かな山林を有し、三大清流のひとつ長良川が市内を貫く岐阜市は、都市と自然が心地よく密接した地域。
「実は、山奥に住むっていうアイデアもあったんです」と笑顔を見せるのは、キャンプに釣り、ブッシュクラフトなど自然の中にいることが大好きだというこの家のご主人。共に公務員として働く奥様と、4歳ともうすぐ3歳だという可愛らしい姉妹の4人が暮らす新居は、一家の中心である“パパ”が愛する自然感あふれる一軒家。
お姉ちゃんが、「パパがひとりでつくった!」と披露するのは、リビング中央のブランコ。木の梁に真っ白なロープを引っ掛けて作ったご主人お手製の遊び場だ。見上げればその梁を超えて、天井まで吹き抜けの大空間が広がっている。南側の大きな窓から自然光がたっぷりと入り込み、家ぜんぶが柔らかな光に満ちている。その光の中で愛らしい姉妹が代わる代わるブランコを漕いだり、テーブルでビーズ遊びをしたり。小さな裸足は、家中を縦横無尽に駆け回り、次の遊びを探している。
ともに、岐阜の出身というご夫妻。子どもが誕生し、暮らしていたアパートが手狭になってきたところで、新居を持つことを考えはじめたという。
「だいぶ時間をかけました。準備には優に1年はかけたかな。大きな買い物ですから、納得のいく住まいが欲しくて。最初は地元の住宅展示場へ行きました。家づくりには何も知識がないので、まずは、という気持ちだったんです。実際に土地を探しながら、次第に工務店もいいのかもしれないと思うようになりました」。
思い描いていたのは、山の景色を背負うような場所に建つ背の高い家。実際には山奥ではなく、ふたりの子育ての利便性も考えて、両親の実家や学校からもほど近い土地を手に入れた。でも車で少し走れば、美しい山々や渓谷、清らかな小川が流れるこの場所にとても満足している。こだわったのは、木のぬくもりに満ちた大空間で、家にいながらして自然を感じられること。常に家族の気配に触れられること。そしてもうひとつ、さまざまなモデルハウスを巡る度に気になったのが、“柱”の存在だ。「柱のない大空間を木造で作ることができたら」と、夫婦は木造住宅の評判を頼りに「栃井建設工業」を訪ねたのだ。
「ログハウスみたいな木の家も憧れだけど、柱のない大空間が最も理想的でした。イメージだけが大きく膨らんでいたところで、工務店さんが上手く聞き出し、私たちの想いを汲み取ってくれたんです。提案をしてくれたSE構法は、まさに理想の木の家でした。それに、まだ幼い子どもたちと過ごす家だから、耐震に強く安全性が高いものであるならば、選ばない理由はないですよ」。
あえてむき出しにした構造材が、味わいとぬくもりを演出する吹き抜けこそ、この家の最大の魅力。家族が裸足で過ごすその大空間は、今は子ども達の遊び場も兼ねている。段差をつけて設えられた和室は、賑やかなリビングと対照的な、静謐が漂うおちついた一室。ここは、両親や親戚、友人家族が遊びに来たときに泊まれるようにとの思いで作られた。
プライベート空間がまとめられた2階は、吹き抜けに面した回廊が各部屋をつないでいる。ドアがふたつ付けられた子ども部屋は、姉妹が大きくなったとき2室に仕切れるようにと工夫されている。夫婦の寝室には、吹き抜けを見下ろせる扉と、さらに奥の隠し扉は、窓側に沿って宙に浮くような回廊へと繋がっているのだ。家のそここに設けられた遊び心のある小窓は、内外の景色をドラマチックに切り取り、どこにいても家族の気配を感じることができるなど、小さな仕掛けや、遊び心に満ちている。
「ワクワクしました。着工直前まで話し合いが続きましたし、作りはじめてからも、現場で細かいアイデアを出させてもらったら、2日後にはそのパーツがついていたりして。自分たちの声を真剣に受け止めてもらっている気がしましたね」。当時、育休中だった奥様は、家づくりに全力投球できたことが何よりもの喜びだと語る。
遊びと工夫の真骨頂でもあるのは、ご主人の“趣味の部屋”。釣り好きのご主人はいまこの部屋で、ルアー作りにハマっている。釣り竿ラックの奥の小さなデスクでは、木彫りで仕上げられた美しいハードルアーが完成間近だ。
「籠る感覚が好きなんです。夫婦の出勤時間がずれているので、ひとりの時間をここで楽しむことも多いかな。小さなパーツが危険だから、入り口に“鬼のお面”を置いて、いまは子ども達には入らないでねってしています(笑)」。
家族の気配を感じながらも、ひとりひとりが気持ちをリセットできるような自分だけの空間が、きちんとこの家には用意されている。
自宅の完成から2年が経ち、ブラックチェリーの無垢床が淡い飴色に変化しているように、この家での暮らしは少しずつ色づき始めている。入居してすぐに迎えた妹さんの1歳の誕生日のあとで、家族がひとつになったコロナ禍のステイホームも、新しい暮らし方を知るキッカケにもなった。
「これまで暮らしていたアパートだったら苦しかったかもしれないステイホームも、この家だからこそ伸び伸びと過ごすことができました。近所でメダカや川エビを獲ってきて庭に小さな池を作ったり、林業を営む友人と山で伐採した木材を使って小屋を作ったり。小学生の姪っ子とアサガオも植えたし、夏にはみんなでプールも楽しみました」。庭の隅に作りはじめたビオトープのすぐそばでは、姉妹が拾って来たというドングリが、空に向かって芽を伸ばしている。
リビングの床に家族が集まると、ご主人がポロンとアコースティックギターを鳴らす。お姉ちゃんの大好きな流行の曲もコードを覚えて演奏するパパを、憧れと好奇心の眼差しで見つめる愛らしい瞳がある。
この家を形作っている大小の三角屋根。そのカタチは、小さな手と大きな手、家族みんなの手を重ね合わせたみたいに、やさしさに満ちている。
インタビュー | 岐阜県岐阜市 M邸(重量木骨の家) |
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施工 | 栃井建設工業株式会社 |
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