吹抜のリビングと小上がりの和室のある家

吹抜けがあることで家中がワンルームのように繋がり、広々とゆったり過ごすことができるリビング。吹抜けの窓からの採光が白い珪藻土の壁に反射してリビングは奥まで明るく心地のいい空間。キッチンの奥には水周り、階段の登った先には寝室と、生活のしやすいレイアウト。

リビングに隣接し、玄関からも出入りのできる４帖半の和室。子供の遊び場として、お昼寝の部屋として重宝している。小上がりになった畳下には引き出しを備え、収納にも大活躍。奥の収納下に取付けた地窓空間は、足下がオープンになり限られた空間を広く見せる効果も、また風通しもいい。写真では見えないが壁に引き込んだ３枚の建具を引き出せば、来客用に使うことができる。

２階は建築時は仕切らずに広いまま使い、将来子供部屋となる空間。大きめの遊具を置いて子供には嬉しい遊び場となる。廊下添いには家族の本棚を造り付け、アルバムを置くスペースも設けた。本棚の端はベンチを兼ねた高さで造り、ここで本やアルバムを開く。奥一面の爽やかなグリーンの壁には奥様のセンスの良さが引き立つ。 外張り断熱と充填断熱を組み合わせた「ダブル断熱」は気密にも断熱性にも優れ、夏にはホール内に設置したエアコン１台だけを稼働して、吹抜けを伝って家中を涼しく快適温度に保つ。天井の頂部には排熱のためのトップライトを取付け、夏の暑さ解消に大きな役目を果たしてくれる。

階段を上がって右手にある寝室は８帖で、４帖半の畳コーナーを設けた。間接照明を組み込み、宙に浮いたような造りで面白みもある。ベランダに出入りのできる寝室は、奥には４帖のウォークインクローゼットや一部をロフトにするなど収納も充実。TVを壁掛けにして、畳下にＡＶ機器の配線をするなど、細かな部分にも配慮。窓から望む森林や、勾配に仕上げた高い天井が設計以上の空間の広さを感じる部屋となった。

リビングの延長となるスペースに設置した洗面化粧台は奥様お好みのタイルで印象的なコーナーに。右手には脱衣室があり、左の家事室には室内干し竿が設けられている。洗濯物を畳んだり、アイロンをかけたり、仕事をされる奥様のサポートにと、キッチン近くのこのレイアウトは、間取りを考える上で最も重要なポイントになった。 室内干しのカウンター下には床下に暖気を送る冬期稼働の「床下エアコン」を設置し、床下全体を暖めた空気は洗面下などの足下に設けた「床ガラリ」を伝って室内を温める。床下空間全体が温まるので、玄関やトイレなど家中が暖かい。

玄関の隣には土間続きの収納部屋を設け、靴やコート類の収納スペースとした。壁に引込んだ建具で来客時は閉ざされるが、間仕切り壁は上まで設けず、天井板を収納奥まで貼り伸ばして広く感じる効果を持たせた。何度も参加された見学会で参考になり間取り計画で要望を伝えられた。正面の壁には凹凸のあるタイルを貼り印象的な玄関に。

３方を道路に囲われた土地は採光や通風の面では優位であったが、プライバシーの面で考慮が必要であったため、住宅地の出入口となる玄関面にはあえて窓を設けない外観とした。外構では建物と同じ木製フェンスで目隠しのフェンスで仕切るなどした。