【広島市】音楽のある暮らしを愉しむ家

夫婦ともに音楽を仕事としているためご要望の防音室は1階に配置し、LDKは2階とした。 防音性能を重視したため、隣家のある東西方向には窓を設けていない。 室内の明るさ確保のため、南側に掃き出し窓と北側の屋根に天窓を連続させている。 楽器が心地よく演奏できるよう、勾配や凹凸のある天井となっている。

焼杉貼りの外壁、アプローチの植栽、木製玄関ドア、洗い出し仕上げの土間など、職人による手作り感を重視することで、造成された住宅地に対してぬくもりを提供する。

以前の暮らし方がそのまま移せるよう、ダイニングテーブルをソファで囲うスタイルとしている。 2階でもピアノやチューバやトランペットが演奏できるよう、掃き出し窓は２重サッシにするなど、防音性能にも配慮した。 天井や床には無垢の杉板を使用し、あたたかみのある内装に仕上げている。 中央の腰壁部分が階段で、冷気止めや子供やペットの落下防止対策として鍵付き建具を設置。

キッチンは広島の家具職人による造作である。 扉の面材はモアビ（南洋桜）を使用、左側キッチンカウンターの天板はホワイトオーク。 シンクの下をゴミ箱スペースとし、家事のしやすいレイアウトに。 壁面のタイルは青い釉薬が鮮やかなものを採用され、パイプに調理機器を吊るしいつでも手軽に料理が楽しめる。 キッチン奥が納戸とパントリーになっている。 対面キッチンではなくI型のキッチンとし、納戸への通路の一角がキッチンとなるレイアウトとしている。

１階の洗濯・洗面室から外に出て、２階バルコニー下の空間を利用した洗濯干しスペースのデッキへ。急な雨でも洗濯物が濡れないような軒下空間としている。 天気の良い日はデッキで日光浴をしたり、隣の緑を借景として活かした生活が営まれている。

２階のLDK南側にあるバルコニー。 奥行き分だけ屋根を伸ばし、デッキが雨に濡れにくくすることで、天候に左右されずバルコニーが利用できる。 バルコニー水栓もあるので、夏はデッキにビニールプールを出して楽しんだり、楽器のメンテナンスを行うことも可能。 南側の眺望もよく、心地よい風も感じられるよう、バルコニー腰壁はスリット付きの木塀とした。

家を支える構造躯体を布団に入りながら眺められるよう、１階の寝室のみSE構法の梁を現しとして天井を仕上げた。 大きな窓からは、隣家の借景を愉しむことができ、クローゼットの扉はカーテンで代用した。 将来的にベットになる可能性もあり、壁のスイッチ・コンセントが床から１メートルの高さに付いている。

２坪ある洗面室に、脱衣場兼室内洗濯干し場の機能を付加。 ドアを開ければ、屋外洗濯干し場のデッキへとつながる。 洗面台は広島の家具職人が製作。 大きなシンクでしっかりと付け置き洗いも可能。 キッチンと同じタイルを洗面所にも採用し、壁はシナ合板で仕上げている。

ゼロエネルギー住宅とするために、屋根には約5.4kwの太陽光発電を搭載。 バルコニー西側は焼杉外壁の袖壁とし、夏の西日がLDKに差し込むのを防ぐ役割と隣家からの視線を遮る役割を持つ。

玄関から一直線に階段を上がれば２階リビングスペースに。 リビングからアプローチの植栽を眺めることが奥様のお気に入りだと言う。 玄関ホールの下駄箱は可動棚のみのシンプルなつくりで、オーナーの好みの靴が整列している。 吹き抜け空間でもある階段上部に天窓を３つ配置。 夏の日中は遮光スクリーンで日差しを遮り、夜間は開閉して立体通風を促す。 冬はしっかりと昼光利用を行っている。