今回のテーマは、バイクガレージ。その中でも特に、住宅の一部に組み込まれたビルトインタイプに憧れているバイク乗りの方は多いのではないでしょうか。今回は、おしゃれで機能的なバイクガレージのある家づくりのヒントをご紹介していきます。バイクを自宅内で保管できれば、自慢の愛車がより身近に感じられ、バイク生活がもっと充実することでしょう。
バイクガレージとは
バイクガレージとは、バイク専用のガレージのこと。バイクガレージには複数のタイプがあり、一つは住宅と一体型のビルトインタイプ。このほかには、コンテナタイプや、さらに簡易的なテントタイプなどがあります。今回の記事では、ビルトインタイプのバイクガレージについて解説していきます。
バイクガレージのメリット
バイク好きな方々が自宅にバイクガレージを設ける理由は、それだけ大きいメリットがあるからと言えるでしょう。ここでは4つのメリットをご紹介します。
バイクを保護し、劣化を防ぐ
バイクは部品の多くが金属で出来ているため、雨ざらしになると錆びてしまう恐れがあります。また、太陽の熱や紫外線は、塗装面の変色につながり、シートやハンドルのグリップなどのラバー素材も傷んでしまいます。そういった事を防ぐためにも、バイクガレージを設けることをおすすめします。
盗難やイタズラからバイクを守る
バイクは、車両本体や部品の盗難が相次いでいます。車体に傷をつけるイタズラもあとを絶ちません。ガレージハウスにして自宅内でバイクを保管できるようにすれば、このようなトラブルのリスクを下げることができるでしょう。
メンテナンススペースとして使える
バイク乗りの方の中には、自分でメンテナンスを行うという方も少なくありません。バイクガレージというバイク専用の空間があれば、道具を広げていても家族の邪魔にならず、落ち着いて作業に没頭できるでしょう。
バイク用品の収納場所にもなる
ヘルメットやグローブ、ライダースーツなど、バイクには関連グッズが多く、保管に場所を取ってしまいます。また、メンテナンスのための工具を片付けるスペースも必要です。バイクガレージというバイク専用のスペースがあれば、これらを一箇所にまとめて収納することができます。
バイクガレージに必要な広さ
バイクガレージは、どれくらいの大きさがあれば快適に使用できるのでしょうか。ここでは、目安となる大きさや、注意すべき点をご紹介します。
バイクの車種ごとの大きさ
バイクガレージを作る際には、車体の大きさを考慮しなくてはなりません。車種ごとの大きさ(全長)は概ね以下の通りとなっています。
・原付(〜50cc):平均1.7m、大きくても2.0mほど
・小型バイク(〜125cc):平均1.9m、大きくても2.2mほど
・中型バイク(〜400cc):平均2.2m、大きくても2.4mほど
・大型バイク(400cc〜):平均2.3m、大きくても2.7mほど
原付や小型は1.5帖あれば駐車が可能。中型バイクは平均サイズであれば2帖分のスペースに駐車できますが、中型でも大きめのものや、大型バイクは3帖以上のスペースが必要です。取り回しのしやすさを考慮し、広めのスペースを確保しましょう。
所有台数や買い替えも考慮する
バイクガレージを作る際は、先ほどお伝えした車体の大きさも考慮しつつ、台数や、車と一緒に置くかどうかなどを考えて広さを決めるようにしましょう。複数の車両を所有している場合は接触のリスクを考慮し、間隔を空けて駐車できる広さを確保しましょう。現在、バイクを1台のみ所有している場合も、より大きいサイズの車両に乗り換えたり、台数が増えたりする可能性などを踏まえ、余裕のあるスペースを用意するようにしましょう。
趣味部屋の場合はさらに広く
ガレージを作る際には、あらかじめ用途も決めておきましょう。ただの車庫とするだけでなく、メンテナンスのためのスペースや、工具やバイク関連用品の保管場所として使用する場合は、通常よりも広いスペースが必要になります。また、広々とした自分だけの空間を作ることができれば、DIYの作業場所や、コレクションルームといった趣味部屋としても利用できます。
バイクガレージをつくる際の注意点
バイク専用のビルトインガレージを作る際には、以下のような注意点があります。
間取り・生活動線
バイクガレージを作る際には、生活動線を意識しましょう。例えば、室内とガレージを直接行き来できる間取りになっていれば、移動距離が短く、雨の日に濡れてしまう心配もありません。かといって、居室とガレージとの距離が近すぎると、家族の生活スペースにまで音が響いたり、臭いが漏れたりする恐れがあります。また、バイクを出し入れしやすくするために、前面道路からアクセスしやすい場所に計画することも大切です。
住宅の耐震性
バイクの出入りを考えると間口の広いバイクガレージの方が使いやすいと言えますが、それだけ住宅の耐震性が落ちてしまうことになります。しかし、せっかくガレージを作るなら広々とした造りにしたいもの。そのような場合におすすめなのが、高い耐震性能と木造の温もりを兼ね備えた「SE構法」。高強度の集成材を特別な金物で接合することで、構造強度を保ちながら梁や柱を最小限まで減らすことができ、広々とした大空間を実現します。
車庫内の汚れ
バイクガレージを作る際には、「ガレージは汚れやすい空間である」ということを理解した上で作る必要があります。排気ガスや、タイヤ痕、洗車時の水しぶきなど、汚れの原因はさまざま。メンテナンスの際にエンジンオイルをこぼして染みになってしまうこともあります。このため、汚れに強く、手入れのしやすい内装材を選ぶ必要があります。
エンジン音・排気ガス
ガレージハウスにありがちな悩みの一つが、エンジン音。ガレージ内でエンジンをかけた際に音が響き、寝ている家族を起こしてしまうというトラブルは少なくありません。また、排気ガスがガレージ内にこもったり、臭いが居住スペースにまで漂ってきたりするトラブルも多々発生しています。これらを防ぐためには、居室とガレージの距離を離す、ダクト換気扇を設ける、といった対策があります。
明るさ・照明
バイクガレージを安全に出入りするためには、明るさの確保も必要です。暗くて周囲がよく見えず、大事な愛車を傷つけてしまっては元も子もありません。ガレージに窓を設ければ、日中は自然光だけで明るさを確保でき、風通しも良くなります。夜間はガレージ内が見えづらくなってしまうため、空間全体を照らすメイン照明や、手元を明るくする補助照明など、用途に合わせて照明を組み合わせてくださいね。
バイクガレージを快適にする設備
バイクガレージをより快適な空間にするための設備には、以下のようなものが挙げられます。
水栓
水栓はバイクを洗車したり、ガレージ内を水洗いしたりするのに便利。また、メンテナンス時にタイヤや部品などを触った手を洗うことができ、汚れを居住スペースに持ち込まずに済むというメリットがあります。水栓の中でもスロップシンクは底の深いシンクに水を溜めておけるため、アウトドア用品などの大道具の洗浄や、つけ置き洗いに役立ちます。
エアコン
バイクのメンテナンスや、DIYなど、長時間ガレージ内に滞在することが想定されるならば、エアコンの設置がおすすめです。夏は涼しく、冬は暖かい快適なガレージ環境を保つことができます。また、湿度をコントロールすることもできるため、車体や工具の錆びや劣化を防ぐ効果も期待できます。
電動シャッター
シャッターは防犯面でのメリットが大きく、必要不可欠な設備。しかし、手動の場合は開閉のためにいちいちバイクを乗り降りしなくてはならず、手間がかかってしまいます。一方、電動シャッターは、リモコン一つで操作できるためおすすめです。また、電動シャッターはモーターでシャッターを巻き上げるため、開閉音が静かというメリットもあります。
オートライト
オートライトがあれば、暗がりで照明のスイッチを探す手間を省くことができます。人や物が近づいた際にセンサーが反応して自動的に点灯・消灯するため、不審者の接近を検知するのにも役立ち、防犯面でも効果があります。また、ライトを消し忘れる心配もないため、省エネにもつながります。
バイクリフト
バイクリフトのメリットは、メンテナンス時の体勢が楽であること。腰をかがめて作業していると体を痛めてしまうことがありますが、バイクリフトがあれば、視線の高さまでバイクを持ち上げて作業できます。また、バイクリフトの中でも、電動油圧式は上昇下降の動作がスムーズ。土間に埋め込んで設置するタイプは段差がないため、バイクを乗せやすいというメリットがあります。
汚れに強い内装材
先ほどご説明した通り、バイクガレージは汚れやすい環境であるため、汚れに強い内装材を選ぶ必要があります。例えば、壁や天井は、汚れや水しぶきに強いスチール素材などがおすすめ。床の仕上げは、コンクリートが一般的ですが、タイヤ痕やオイル染みが目立ってしまう恐れがあります。このため、汚れが染み込みにくいゴムタイル仕上げや、塗装仕上げなどを選べば、綺麗な床をキープできます。
バイクガレージをおしゃれに作るポイント
自慢の愛車をより美しく見せるためには、おしゃれなバイクガレージが必要です。以下の4点を意識しながらつくっていきましょう。
スタイルを明確にする
バイクガレージを作る際には、まずはスタイルを決め、それに沿ったアイテムやデザインを取り入れていきましょう。人気のスタイルとしては、「アメリカンヴィンテージ」「西海岸」「インダストリアル」「シンプルモダン」などが挙げられます。メカニックな空間らしくクールに無骨に仕上げるも良し、木材を多く使ってナチュラルに仕上げるも良し……。あなたの理想に合った居心地の良い空間を作りましょう。
インテリアにこだわる
バイクガレージのスタイルを決めたら、次はインテリア選び。ガレージ内の雰囲気を高めるアイテムとしておすすめなのは、サインボードやアートパネルなどのグラフィックアイテム。スタイルに合った雑貨やオブジェを飾ることはもちろん、ミニカーなどのコレクションを展示しても良いですね。癒しを取り入れるために、観葉植物を置く方も多くいらっしゃいます。
見せる収納を活用する
バイクガレージをおしゃれに作るには、見せる収納を活用するという方法もあります。例えば、工具を壁面収納でスッキリと片付けておけば、ガレージの雰囲気を作ることができるだけでなく、必要な道具を一目で選びやすくできます。また、ガラス製のディスプレイ棚にヘルメットやバイクウェアなどを飾ったり、吊り下げ棚で空間を立体的に使ったりしても良いですね。
照明で美しくライトアップ
バイクガレージを検討されている方の中には、自慢のバイクをじっくり眺めて過ごしたい、と考えている方も多いのではないでしょうか。そのような方々はぜひ、愛車を美しく照らすための照明にもこだわりましょう。シーリングライトは室内を最も明るく照らすため、メイン照明におすすめ。ピンポイントに愛車を照らして存在感を出すなら、ダウンライトやスポットライト。柔らかく幻想的な光でガレージ内のムードを高めるには、ブラケットライトやフットライトなどの間接照明を取り入れると良いでしょう。
まとめ
バイクガレージはただの車庫ではなく、工夫次第で「好き」を詰め込んだ趣味の空間にすることができます。バイクを安全に保管でき、なおかつ、メンテナンスやコレクションも楽しめる……。そんな素敵な空間をぜひ作ってみてくださいね。