ガレージハウスで「平屋」や「狭小住宅」を建てるメリット・間取りや注意点を解説。得する税金のお話も
ガレージハウスで「平屋」や「狭小住宅」を建てるメリット・間取りや注意点を解説。得する税金のお話ものインデックス
平屋を建てたい、できれば車を駐車できるガレージがあれば……そんなご希望をお持ちでしょうか。ガレージを内包する平屋づくりを考える時、いくつかの面を慎重に考えなければなりません。生活の動き全てが平面で済む平屋はとても便利で、長く住まうにはもってこい、という特徴がありますが、「自動車も一緒に」となれば、その分しっかりと考えなければならないことも増えてしまいます。
今回の記事では平屋や、狭小住宅、スキップフロア等でガレージハウスを実現するため、知っておきたいことをご説明いたします。読後には、あなたの思い描くガレージハウス像が変わり、より積極的に検討できるようになっていることでしょう。
1.ガレージハウスで気を付けること、間取り等について
そもそもではありますが、ガレージハウスとは、家の内部にガレージ(車庫)を持つ家のことです。そのため、防音や換気の対策、セキュリティ面での配慮など、自動車とご家族とが“仲良く暮らす”工夫が重要です。
平屋の場合、ガレージ部分に隣接する部屋が、自動車のエンジン音やエンジン排気のニオイの影響を受けて「生活しづらい場」となることが考えられます。寝室やリビングではなく、浴室やトイレ、洗面など滞在する時間が短い箇所をガレージ部分に近づければ、これらの問題もさほど大きなものにならずに済むでしょう。
2.平屋のガレージハウスを建てるときのメリット
自動車も家族の一員となれば、自動車の“部屋”に相当するガレージ部分にも気を遣いながら、暮らしやすい平屋住宅を手に入れたいところです。
では、このような機能面を満たした平屋にするためのポイントをご紹介しましょう。
【メリットその1】道路と生活スペースの距離が取れる
平屋の場合、生活スペースがすべて1階に集中しているので、どうしても周囲の通りとの距離が近くなってしまいます。外からの視線は、どうしても気になりますよね。そこで、通りと生活スペースの間にガレージがあれば、ある程度距離を取ることができ、通りからの視線や喧騒を感じることなく暮らすことができるでしょう。
また、ガレージに向けて開口部を設ければ、大好きな車を眺めながら暮らすこともできます。
【メリットその2】こだわりの車が、外観デザインの一部になる
ガレージハウスの一番の魅力は、車やガレージを含めたデザインが家の外観になることです。ガレージのシャッターを開けておけば、こだわりの車を見せることもできますし、シャッターを閉じれば、スッキリとした外観に見せることも。平屋の家は、横長でシンプルな外観になることが多いですが、車のデザインや色を見せたり、シャッターの素材を少し工夫することで、外観に個性が生まれます。
【メリットその3】車から室内へ、荷物の運搬がスムーズ
ガレージを作ることで、荷物の運搬がしやすいのも、大きなメリットのひとつでしょう。買い物などで荷物がたくさんある時は、屋根のあるガレージ内から直接室内に運べるのはとても便利ですよね。天候が悪いときでも、雨に濡れることなく室内に入ることができます。
平屋は、シニア層はもちろん、最近は小さなお子さんのいるファミリー層にも人気の間取り。シニアや子育てファミリーにとってはとくに、車からの乗り降りや荷物が運びやすいことはメリットが大きいでしょう。
3.平屋のガレージハウスを建てるときのデメリット
【デメリット】自動車の台数によっては、「人」に割ける敷地が減ってしまう
家族構成や利用方法によっては、自動車が1台で済まない事もあります。複数台の自動車を所有/維持するとき、敷地に対してガレージスペースが広くなってしまい、住まいのスペースが狭くなってしまう可能性があります。
また、あまりにもギリギリでガレージスペースをつくってしまうと、車庫入れが難しくなったり、自動車のドアの開閉がしづらくなったりと、問題点が多くなってしまいます。
これもまた、2階/3階を考えない平屋ならではのデメリットといえるでしょう。
4.平屋のガレージハウスを建てるときの注意点
【注意点】敷地確保の段階で「車種」「自動車の居場所」を検討する
ひとくちに「自動車」といっても、1台あたりのサイズは車種により大きく異なります。
家族全員で移動するときに多く使われる7人乗りから、2人乗りの軽自動車まであります。今現在所有している自動車、ないしはこれから購入しようとしている自動車のサイズと台数を明確にし、どれくらいのスペースがあればラクに駐車できるかを想定しておくとよいでしょう。
そして、家の前面に接する道路と敷地、隣接する家との関係で、どこにガレージを作るのかを考えなければなりません。複数台の自動車を並列(横並び)にするべきか、縦列(縦並び)にするべきかも、ここで見えてくるはずです。
大事なのは、自動車の出し入れをいかにスムーズに行うかです。無理なレイアウトを採用すると、ガレージから車を出すときに「あわや事故」、という場面に遭遇するかもしれませんし、車庫入れのときに誤って家にぶつけてしまう可能性もあるからです。せっかく建てた理想の家に住んでいて余計なお金を請求されたくはないですよね。
5.狭小住宅でガレージハウスを建てるときはどうする?
狭小住宅をガレージハウスにする場合、敷地のほとんどが自動車スペースとなることを“覚悟”しなければなりません。しかしながら、都市部であれば地価が高く駐車場を借りる費用も跳ね上がりますし、近隣に駐車場の空きスペースを探せないことも充分に考えられます。
このような問題を解消するため、狭小住宅をガレージハウスにすることは大きなメリットを生んでくれますが、どのような点に注意しなければならないのかを考えてみましょう。
【実例紹介】狭小住宅で知るべき7つの注意点と、収納等に困らない有効な間取り術
5-1.ガレージが大開口になるため耐震性能の確保が必須
狭小住宅の場合、1階部分はほとんどが駐車スペースとなるでしょう。大きな開口部を設け、そこを自動車の出入口にしなければなりませんので、壁面が少なくなる事から高い耐震性能がなければなりません。
それでなくても狭小住宅の建つエリアはそのほとんどが市街地で「お隣さん」との間がとても狭いので、より強固な家が必要といわざるを得ません。
5-2.【重要】3階以上の木造住宅の場合、構造計算が必須
狭小住宅の場合、生活のスペースを「上に上に」と伸ばさなければなりません。このことから、1階をガレージにする場合、生活スペースは2階/3階以上となってしまいます。現行の建築基準法では、3階以上の木造住宅の場合、建築確認申請時に「構造計算書」を添えなければなりませんのでそれに対応出来る建築会社を選定する必要があります。
構造計算書は、限界耐力計算など建物の安全性をチェックし、耐力壁の耐震強度や風に耐える強度など、総合的に「家の剛性」を判断するものです。これは、これから建てる家の安全を確保するためにとても重要なことです。
特に1階部分をガレージにするとき、自動車の出入口を大きく取るために、2階/3階の重みを均等に受け止めることが難しくなりますので、設計時には特に慎重にならなければならない部分です。
5-3.狭小住宅をガレージハウスにするときの注意点
市街地で土地を取得しようとしたとき、価格の問題で致し方なく「狭小住宅」となってしまうケースが多くあります。それらの土地はいわゆる「うなぎの寝床(道路に面する敷地の幅が狭く、奥行きが長い土地のこと)」であることが多いのが特徴です。
このように奥行きのある敷地の場合、ガレージ部分(1階)に1~2台の自動車を置くことが可能かもしれません。しかしながら、縦列駐車が基本ですので、奥に入れた自動車を出したいとき、前に停めてある自動車と入れ替えなければならないといった手間が生じます。
また、建物の前の道が狭い、ないしは交通量が多いとき、自動車の出し入れに“テクニック”を要することも注意点に挙げられます。また、見通しが悪くなる可能性もありますので、敷地内に自宅用カーブミラーを設置するなどの工夫をしなければならないでしょう。
5-4.狭小住宅をガレージハウスにするメリットは?
【メリットその1】狭小地でも敷地内に車を駐車できる
狭小住宅は敷地に限りがあり、家の前などに車を停めるスペースを確保するのが難しい場合も多いでしょう。駐車スペースを作るとなると、建物の面積も小さくなってしまいます。
また、駐車場を別の場所に借りるにしても、都心部では駐車場の月額料金が高かかったり、そもそも空きがなかなか見つからないなどの問題があります。このような理由から、都心部の狭小地に家を建てる場合は、車を建物内に停めることができるガレージハウスを検討するご家庭が多いようです。
【メリットその2】大事な車をしっかり守ることができる
都心部の狭小住宅エリアでは、道路も狭いことが多く、敷地内の駐車スペースがあっても、敷地ギリギリに車を停めることが多いでしょう。そうなると、防犯面でも心配ですし、思いがけず愛車に傷がついてしまうこともあるかもしれません。その点、車を建物内に停められるガレージハウスであれば、さまざまな面で安心です。
さらに、屋内のガレージハウスであれば雨風にさらされることもないので、車が汚れたり、日に当たって変色する心配もありません。
【メリットその3】アウトドア用品などをガレージ内に収納できる
狭小住宅は、収納場所にも限りがあります。アウトドア用品など、家の外で使うアイテムに関しては、わざわざ室内に持ち込んで収納するのは大変ですよね。そこで、ガレージハウスであれば、ガレージ内に収納場所を確保して、そこにアウトドアグッズやお子さんの遊び道具などを置いておくことができます。
ガレージ内であれば、雨に濡れることなく、また盗難の恐れもありません。アウトドア用品などの車からの出し入れもスムーズにできます。
6.スキップフロアでガレージハウスを建てたいときは?
狭小住宅において、床面積を実質的に広げる方法のひとつとして採用されるのがスキップフロアです。
家の中に「1.5階」などをつくり、段差を設けることで見た目にも広いと感じられるこのスキップフロアは、ガレージハウスをつくりたいときにも有効です。
通常、スキップフロアで生まれた段差の下部には、収納スペースをつくることが多いものですが、1階部分のスキップフロアの「外部」、つまり敷地内の1階部分外壁より外側に駐車スペースを設けるのも一考に値します。
【実例紹介】スキップフロアの間取りを考える上での注意点、メリット、最も重要なことは?
6-1.スキップフロアを使い、ガレージハウスをつくるときのメリット・デメリット
メリットは、もちろん高い駐車場を借りずに済むことと、雨を気にせず乗車や降車ができることです。そして、シャッターをつければセキュリティやプライバシーを気にせずに住める家になるでしょう。
また狭小住宅であれば、限られた敷地の中で、居住スペースを少しでも広く確保したいもの。そこで、1.5階や中二階などを設けるスキップフロアの間取りにすることで、ガレージ上部のデッドスペースを1.5階として活用することもできます。
ただし、ガレージの真上は、どうしても冷気にさらされる面積が大きくなってしまうので、家族みんなが集まるリビングルームには不向き。そこで、ガレージ上のスペースは、収納場所だったり、使用頻度が低めの空間にするのがいいでしょう。
一方、デメリットは、車高の高い自動車を入れづらいということです。狭小住宅において高さのある自動車を中心に家づくりをしてしまうと、ご家族が生活に使えるスペース(高さ)が制限されてしまう可能性があります。
6-2.スキップフロア×ガレージハウスの注意点
ガレージハウス一般にいえることですが、自動車の音や排気ガスのにおいなどが、家族の生活に影響を及ぼすことが注意点として挙げられます。
これを避けるために、1階のガレージ部分とLDKなどの家事を行う生活エリアの間に、スキップフロアを「横向き」につけ、仕切りにするという方法があります。スキップフロアの階段スペースを駐車スペースに対して横向きに配置し、音が響かないよう工夫するのです。
そもそも敷地が狭いので、玄関を駐車スペース奥にしか設けられないこともあり、ご家族だけでなく、お客様が家に入りにくいといったことも生じるかもしれません。このような場合は、動線を工夫したり、選ぶ自動車のサイズ面での妥協を求められるかもしれません。
7.ガレージハウスの税金面での話
固定資産税は、敷地や家の評価額で決まります。正しくは「土地は土地」、「家は家」で計算されますが、特に家屋部分に関しては年々評価額が下がることが基本です。
さて、ここで気になるのがガレージハウスにおける固定資産税です。建物の内部に自動車を駐車するガレージ部分ですが、延床面積のうち5分の1である場合、計算から外してよいこととなっています。
居住スペースとのバランスを保てば、固定資産税減税を図ることができますので、特に地価の高いエリアでは大きなメリットとなるでしょう。
※建築確認の審査を行う自治体により取り扱いが異なることがあります。具体的な設計に入る前に設計担当者としっかり相談しておきましょう。
8.平屋や狭小住宅をもっと素敵に! ガレージハウスの4つの実例
ガレージハウスは、シャッターをつけるかつけないか、またシャッターの素材やデザインによって、印象が大きく変わります。そこで、実際に素敵なガレージハウスを実現している、4つのお宅をご紹介しましょう。
白い外壁が印象的な、こちらの狭小住宅。前面には縦長の窓が2つだけと、スッキリしたデザインです。1階部分に2台分のガレージスペースを設けていますが、あえてシャッターはつけずに、車のデザインを見せています。白い外壁なので、パッと明るめカラーの車種もよく映えますね。ガレージをオープンにしたことで、玄関ドア部分を壁によって自然な形で隠してくれています。
広々と余裕のある敷地にどっしりと建つ、シンプルな平屋住宅。31坪の居住スペースの、なんと約半分の14坪をガレージにしたという大胆な間取りです。これだけの大空間をガレージにするのは、SE構法でしかできないデザイン。お気に入りの車を並べてもいいですし、ゆったり使って車のメンテナンスや趣味のDIYを楽しむなんて、理想ですね。
こちらのお宅は、全自動シャッターを備えたモダンなビルトインガレージ。木製のシャッターをはじめ、異なる素材をバランスよく組み合わせた個性的な外観となっています。夜になると、エントランスとガレージ全体がオレンジ色にライトアップされ、また違った雰囲気が楽しめます。
ガレージハウスと聞くと、モダンな印象の家を思い浮かべるかもしれませんが、和風の家でも素敵に見せることができます。例えばこちらのお宅は、町屋風のデザインに。シャッターの代わりに格子の引き戸を設けて、ガレージ内をあえて見せています。こうすることで、車を外観デザインの一部にしながらも、雨風や防犯面からしっかり車を守ることができます。夜になると、ガレージから漏れる光も印象的ですね。
まとめ
ガレージハウスは、自動車を「家の中に入れる」ための大きな開口が必要です。このとき、一番重要なのは、その開口部を設けてもなお、強度を保っていられることです。重量木骨の家なら、構造計算と施工精度の高さから、大開口を作ってもその高強度は“折り紙つき”。ガレージハウスも得意分野です。
重量木骨の家でつくられたガレージハウスの事例をご覧ください。注文住宅ならではのこだわりの数々に、お手本としたいアイデアがたくさんあるはずです。