【実例紹介】スキップフロアでワンランク上の住まいへ! 後悔しないための間取りや注意点、メリットとは?

【実例紹介】スキップフロアでワンランク上の住まいへ! 後悔しないための間取りや注意点、メリットとは?のインデックス
少しでも収納スペースを多くとりたい、単調なフロアにメリハリをつけたい。そんな時の選択肢として「スキップフロアのある家」はいかがでしょうか。スキップフロアは、空間を縦に活用してユニークな間取りを実現する方法です。
開放感あふれるおしゃれな空間づくりにぴったりですが、実際にスキップフロアを取り入れるとどのような空間になるのか、取り入れる際にどのような注意点があるのか気になる方も多いのではないでしょうか。スキップフロアのメリットや注意点を挙げながら、後悔せずに取り入れるためのポイントをご紹介します。
1.スキップフロアがもたらすメリット
スキップフロアは、1.5階や2.5階、いわゆる「中二階」「中三階」を設ける間取りです。床の一部に高低差を設け、数段の階段でつなげて空間を区切る方法で、「小上がり」などと呼ばれる場合もあります。
1-1.平屋や二階建てでも、三層以上を確保できる
一般的に、各土地は都市計画法によって用途が定められており、この法律で第一種低層住居専用地域とされる土地では、建物の高さが制限されています。このような制限のある場所で家を建てる場合には、建物全体の高さを法律で決められた範囲内に収めなければなりません。
高さは出せないけど、床面積は増やしたい……。こんな時の方法のひとつがスキップフロアです。最大限に高さを確保してもなお、必要な床面積を確保できないときにスキップフロアがその効果を発揮します。効率よく床面積を増やして収納や書斎スペースとして活用するのもいいですね。
1-2.視覚的に広く見える
同じフロアで視界が平坦に通るよりも数段の差がつくスキップフロアは、視覚的に広く見える効果があります。例えばリビングとダイニング、キッチンのスペースを数段の階段で上下にスライドさせると、視界がずれるために、実質的には同じ階でありながらもまるで別の部屋にいるような気分になれます。
実際の面積よりも広がりを感じるだけでなく、光を通す工夫がしやすいのも大きなメリットです。日のあたらない方角のスペースを下げて太陽光の差す方角を高くすると、まんべんなく光の入る明るい室内を作ることができます。
1-3.段差の下部を収納スペースに
スキップフロアを取り入れると、その下部を収納スペースとして活用できます。段差が大きいスキップフロアの場合は、衣類を収納してウォークインクローゼットのように使えるかもしれません。こちらの事例では仕切りをひいて棚をつくり、細々したものを収納するスペースにするなど、アレンジの仕方は様々。
キッチンの近くであれば、食品やストック用の水など重たい品物を楽に収納できるスペースにしてもいいでしょう。生活動線に併せた計画を立てられれば、より効率的にスペースを活用できます。
1-4.土地に高低差があるときに活躍
高低差のある土地(傾斜地)に家を建てるとき、どうしても1階部分より下になるスペースが発生してしまいます。「スペースを無駄なく使いたいけれど、高さの差が1階層ほどもない……」というときにこそ、スキップフロアを取り入れて、階段数段分をずらした中階層の空間で、デッドスペースを削減できます。
傾斜地は、平な土地よりも比較的、安く購入できる場合も多いですから、スキップフロアを取り入れて空間を上手く活用する前提で、選択肢に入れても良いかもしれませんね。
1-5.狭小地でも無駄がない
壁ではなく高低差で区切られた部屋は、スキップフロアの最大の特徴と言えるのではないでしょうか。高さの変化だけで部屋のようにしているため、空間は緩やかに繋がっているものの各部屋の区切りは明瞭です。そのため、特に狭小地の場合、壁で部屋を区切るとどうしても圧迫感が出てしまいますが、スキップフロアで区切る間取りであれば、視界を遮らず開放的な空間をつくれます。
また、一般的な間取りでは、廊下が空間をつなぐ役割をはたしますが、スキップフロアは緩やかに連続している間取りとなるため、廊下を設けるスペースも節約してほぼ全ての床面積を居住空間として活用できます。少しでも、居住スペースを確保したい狭小地での住まいづくりにこそスキップフロアは効果を発揮するでしょう。
1-6.いつでも家族を身近に感じられる
壁で空間を区切らないスキップフロアのもう1つのメリットは、家族の様子が伺いやすいこと。高低差を工夫して視界に入らないスペースも設ければお互いのプライバシーに配慮しながらも、緩やかなつながりによって家族の気配を感じられる空間となります。小さいお子さんの遊びのためのオープンスペースとして活用すると、いつでも目が届く安心感もあります。
2.スキップフロアを作るときの注意点
スキップフロアは、部屋と部屋を壁で区切らずに高低差で区切るため家の中に多くの階段があるという特性上、気をつけなければならないポイントも当然あります。
2-1.断熱・空調に配慮が必要
前述の通り、スキップフロアのある家は部屋を壁で区切らないため、大きなワンルームのような形になります。そのため、空調周りに悩む方が多いようです。
しっかりとした断熱を施し、熱の出入りを低減した家になるように事前に計画すると良いでしょう。また、暖かい空気が上層に、冷たい空気が下層にたまったままにならないように、エアコンはもちろんシーリングファンやサーキュレータなどの空調設備を適切に準備したり、地域によっては床暖房の導入も検討したりすると安心です。
2-2.建築費用が高くなりがち
階段や床板ひとつひとつに工夫が必要なスキップフロアは、同じサイズの家を建てるのに比較して材料と手間がかかります。壁の少ない大きなワンルームであるとも言えるので、強固な家となるように耐震性を確保する必要があります。建築コストが上がるというのがデメリットのひとつです。
2-3.スキップフロアの設計・施工には経験が必要
複数の性質を持つスペースがひとつの空間を共有するスキップフロアは、光や空気の入り方、音の響き方のコントロール、プライバシーの確保などに、一般的な戸建ての家以上に気を遣わなければなりません。ので、3D画像や模型で示してもらえなければ思ったとおりの家に近づけるのが難しいかもしれません。設計はもちろん、施工に慣れている建築会社を選んでください。
2-4.自治体により判断が分かれる
家を建てる計画を立ち上げたら、設計書などをそろえ「許可してください」と申請をします。自治体が建築基準法に照らし合わせて建築物を審査しますが、スキップフロアについてはその判断が分かれるのが実態です。
高さが1.4メートル以下で、なおかつ設置されている床の面積2分の1未満のスキップフロア(収納スペース分)であれば床面積としてカウントされない場合が多いのですが、床面積として算入するルールを採用している自治体、スキップフロア自体認めない自治体があります。この点でも、スキップフロアの設計・施工になれた建築業者に任せるのが最善と言えるでしょう。
2-5.固定資産税が上がる
段差をつけてスペースを広げたスキップフロアは、通常の1階建て・2階建ての家と比較して床面積が多くなります。このため、床面積=家の資産価値として計算する固定資産税が上がってしまう結果となります。スキップフロアのないごく一般的な家を持つ人が支払う固定資産税の金額は参考程度にし、それを上回る金額となることを知っておいてください。もちろん、この点でもスキップフロアを取り扱いなれている建築士や建築業者のノウハウが必要です。
2-6.掃除が面倒
スキップフロアは空間の区切りを高低差で表現するため、大きなワンルームのような形になるといえども、お掃除ロボットを使う際には限界が出てしまいます。また、階段が多くなると掃除機を持って移動するのにも不便という声もあるようです。例えば、軽量でコードレスの掃除機を選んだり、各エリアにクイックルワイパーを設置したり、少しでも掃除の負担が減らせるような工夫ができると良いでしょう。
3.【実例紹介】スキップフロアの家を手に入れるために最も重要なこと
スキップフロアのある家は、空間にメリハリをつけたユニークなデザインを楽しんだり、スペースを有効に使ったりできる面で優れています。一方で、特徴あるデザインが「暮らしぶり」に直結したり、建築が許可されるかどうかにハードルがあり、そしてその範囲の判断が自治体によって異なっている、“大きなワンルーム”であるため高い耐震強度が求められる……などのいくつかの注意点があります。
スキップフロアは、難しい間取りのため設計者や施工業者にも高い技術が求められるので、これらの点をスムーズにクリアするためにはスキップフロアの施工実績が豊富で、なおかつ耐震性が確実な家づくりをしている会社に依頼するのがオススメです。また、スキップフロアは非常に高度な構造解析(構造計算)をしないとその安全性を検証できません。SE構法ではスキップフロアであっても、その安全性の確認が可能になります。
スキップフロアのメリットとデメリット、その注意点を踏まえつつ信頼のできる施工会社によって叶えられた、個性豊かな実例をぜひご覧ください!
3-1.スキップフロアの寝室
1日の疲れを癒すのに最も重要な空間である寝室。忙しい毎日をパワフルに過ごすためにも、睡眠の質が高まるようなリラックスできる寝室づくりは欠かせません。
広々とした寝室も解放感がありおしゃれですが、睡眠に集中するには狭いところの方が落ち着くという時もありませんか? 広いベッドなのに寝ているうちに、なぜかいつも隅の方にまるまってしまう、なんて方もおられるかもしれませんね。そんなあなたが睡眠「だけ」に集中できるような空間をスキップフロアでつくるのも一案です。
3-2.スキップフロアで緩やかに区切ったダイニングとプレイルーム
ゆっくり食事をとってリラックスするダイニングスペースと子供たちをのびのびと遊ばせてあげられるスペースは分けたいけれど、子供たちを目の届かない場所で遊ばせるのも心配……。
そんな時に、スキップフロアで緩やかに空間を区切るのがオススメです。壁やドアで視界をさえぎらず高低差も緩やかなスキップフロアを取り入れれば、別の部屋のように空間を区切りながらも、それぞれのスペースにいる家族の様子をいつでも気にかけることができます。
3-3.スキップフロアで和洋のコラボレーション
こだわりがたくさんあると、マイホームを和洋どちらのスタイルにするか迷う方も多いのではないでしょうか。おしゃれな空間づくりの極意は統一感ですから、どちらか一方と決めたらもう一方は諦めざるを得ない……という場面もあるでしょう。部屋やフロアごとにスタイルを分けるのも良いのですが、もっと自然な形で複数の要素を取り入れたい、という時にもスキップフロアが活躍します。
こちらの事例のように全体は明るく優しい色合いのフローリングで北欧テイストでまとめながら、スキップフロアの一角だけに畳を取り入れ自然と和洋のテイストを調和させるのも素敵ではありませんか? 畳で日向ぼっこをしてゆっくり過ごしたり、瞑想や読書など何かに集中してリフレッシュしたりするスペースにしてもいいですね。
まとめ
注意点にきちんと気をつければ、スキップフロアは個性的な住まいを実現できるとても面白い方法です。狭小地や傾斜地などで家を建てたい方にはスキップフロアはとても良い選択肢であり、家族との時間やつながりを大切にしたい方にもオススメです。せっかくのマイホームですからこだわりを沢山つめこみ、スキップフロアでユニークな家族のお城をつくりませんか?