2016
7
Jul

家のデザインについて、 理想の家づくりのためのコラム

【実例紹介】大開口・大空間の間取りのメリット・デメリット・注意するポイント

太陽の降り注ぐ大きな窓や、大きなリビングは「明るい家」「開放感のある家」としてとても人気のあるつくりです。特にご希望が多いのが、リビングからウッドデッキへ横につながる空間、吹き抜けリビングの縦につながる空間づくりです。

今お考えの家は、そのようなイメージではありませんか。実はこのような作り方には技術力が必要です。「大開口・大空間作り」のデメリット・メリットや、夢をかなえるために注意したいポイントをご説明いたします。

【実例紹介】大開口・大空間の間取りのメリット・デメリット・注意するポイントのインデックス

1.明るくて気持ちのいい家のはずが、不快のもとになっている?

日差しを取り入れるはずの大きな窓(大開口)は、同時に熱が逃げる場所でもあります。一般的な木造住宅内から熱が逃げる箇所は大きく次のようになっています。
・開口部―48%
・外壁―19%
・すきま風や換気―17%
・床―10%
・天井や屋根―6%

この知識があれば、次のようなデメリットと対処法を想定することができます。

 

1-1.断熱性能が大きくダウン―夏は暑く、冬は寒い家になってしまう可能性も

上記に挙げたように熱ロスが起こる部分のほぼ半分が開口部であるのなら、そこを大きく広げる大開口の家はときに「暑く寒い家」となってしまうことは想像に難くありません。
冬場、大きな窓ガラスが日中の暖かさを取り込むことができるのは、太陽がさんさんと射すお天気のよい昼間だけです。日光のあたたかさはあっても、外気そのものが室温よりも下回っていればやはりガラスから熱が逃げていくこともまた事実です。
夏はどうでしょうか。夏もまたエアコンで快適な室温を実現していても、ガラスから入ってくる太陽光の熱で室温は上昇傾向にあります。その状態でも快適さを求めようとすると、エアコンをフル稼働させなければなりません。
開口部を大きくとると見た目の開放感・明るさを得ることができますが、同時に熱ロスの問題が大きくなってしまうデメリットも知っておきたいものです。

 

1-1-1.【熱ロス対処法】トリプルガラスなど、断熱性の高い窓が必須

この窓からの熱ロスを防ぐためには、熱を逃がさない工夫を施した「トリプルガラス」「ペアガラス」を導入する必要があります。これらは通常のガラス1枚のサッシと異なり、2~3枚のガラスの中に特殊なガスを封入するなどの工夫によって、外気と室内の温度が急激な変化を低減します。特に夏の暑さが気になる場合は、ガラスの表面に金属膜加工を施したLow-Eガラス(Low Emissivityの略で、低放射の意)を取り入れることも検討してください。赤外線や紫外線を反射し、真夏の(特に西側の部屋の)暑さを軽減することができます。
金属のサッシもまた、熱を伝える働きが大きいことで知られています。冬の寒い日、夏の暑い日、空調によって外気温と室温が大きくかけ離れてしまったときに生じる結露を目にするのは、ガラス部分のみならず金属サッシの部分でもあります。この部分を樹脂製に変えることで、熱をやり取りする働きを大きく低減します。例えば、樹脂製サッシのペアガラスと、従来型のサッシ窓との比較をしたとき、熱の逃げにくさは4倍にもなるといいます。確かにコストはかかりますが、建築後にかかる空調のランニングコストを考え長い目で見たときには押さえるべきポイントです。

 

1-1-2.【熱ロス対処法】熱のコントロールに「パッシブデザインの考え方」を

冬には太陽光を取り入れ、夏には日差しをよける工夫をする「パッシブデザイン」。これは以前の「2.パッシブでつくるエコハウス」でもご説明しましたが、改めて触れておくことにします。パッシブデザインとは、私たちの身の回りにある自然エネルギーを上手に取り入れる工夫です。
夏の暑さをしのぐためには
・ひさしや軒を大きめにつくり、室内に入る太陽光をさえぎる工夫
・ひさしや軒を大きく確保できないときは、シェードやルーバーを設置
・落葉樹を庭に植えて庭から入る太陽光を遮断
・風の通り道を確保して熱気を溜め込まないようにする
ことが大切です。
冬の寒さを抑制するためには
・角度の低い冬の日光を室内に取り入れる工夫(夏に必要なひさしや軒の大きさとの兼ね合いを計算)
・冬には葉を落とす樹木で太陽光を遮断しない工夫
が大切です。

 

2.大空間はどんなデメリットが?工夫次第で問題もなし

大開口の開放感と同時に好まれているのが、「大空間」です。これまでの日本の住宅は「ここまでが何の部屋」と明確に区切ってきましたが、近年顕著なのが、「キッチンとダイニング」「ダイニングとリビング」を広く取ることです。これらを一体化、広くつくることがトレンドとなっています。
キッチンで一人寂しく食事を作る人、テレビを見ながら食事が出来上がるのを待つ人…そういう気持ちの分断も避けることができることから人気です。また、1階と2階を完全に区切るのではなく、縦に広がる「吹き抜け」も広く採用されていることはご存じの通りです。このような大空間でもまた、「熱ロス」の問題が生じがちです。それぞれの部屋でファンヒーターやストーブを使ってきたこれまでの家のイメージから想像がつくように、「1台のエアコン(ストーブ)で大空間の快適温度をキープできるのだろうか」という心配事です。

 

2-1.家全体の断熱性能に着目、熱を逃さない・入れない工夫を

大空間を快適な場所にするためには、家全体の断熱性能を上げる必要があります。いわば、家を「魔法瓶化する」という考え方で、適切な断熱材の種類と量ですっぽりと家を包み込むものです。断熱性能を上げると、大空間であっても暑い・寒いをあまり意識せずに済むうえに、基本的に眠るだけの寝室の暖房や冷房をしなくてもよくなります。
日本は狭いとはいえど、南北で気候が大きく変わりますので、必要な断熱性能はその地域により異なります。家を建てるエリアによって提案された断熱性能が適切かどうかを知る必要もあります。

 

2-2.立体的な「風の通り道」を確保すれば大空間も怖くない

熱の出入りが大きくなりがちな大空間であっても、三次元的な風の通り道を考えておけば大丈夫です。吹き抜けリビングは縦に大きな空間で、熱い空気は上層に、冷たい空気は下層にたまりやすいものですが、夏は上層の熱い空気を上手に抜くしかけを、冬は温まった空気を下層に回すしかけを施しておけばよいのです。
その工夫の中で目に見えてわかりやすいのがシーリングファンです。夏のエアコン使用時に下層にたまりがちな冷たい空気を上層にまで届けるため、シーリングファンを下向きにまわせば、上手に攪拌ができます。せっかく温めた空気が上層に昇ってしまい足元が寒くなる冬は、シーリングファンを上向きにまわせば、暖かい空気が内壁づたいに降りてくるので大空間でも寒さを感じることがありません(※3)。
視覚的に理解しづらくても、明確な効果があるのがパッシブデザインです。吹き抜けとは別の位置にスケルトン階段を設ける工夫をすれば、暖房効果で上に昇る温かい空気が生じて上層にたまってしまっても、吹き抜け上部から階段部分へと暖かい空気がおしやられ階段伝いに下層へ回るという緩やかな空気の循環が生じます。どんどん上層に昇る空気の力で温かな空気を下層部に押し出すようにおろすことができるのです。
吹き抜けの上部、もしくはロフト上部といった熱い空気がたまりやすい場所に開閉できる天窓(トップライト)やドーマーを設ければ、夏のあの滅入るような暑さを経験することもほとんどありません。
空気の性質を利用したパッシブデザインも、冬は暖かく夏は涼しい家を実現するための手法のひとつです。

 

3.大開口・大空間の家が抱えてしまう「耐震性」の問題は

地震や台風のときには「柱や壁の多い部屋(トイレやバスルーム)が安心」という話をお聞きになったことがあるでしょう。そう聞けば、大開口・大空間の家で柱や壁が減ってしまうことによる耐震性に問題はないのか、という疑問が生まれます。キッチンとダイニング、ダイニングとリビングをつなぐために、または吹き抜けを実現するために柱や壁が少なくなる大空間部分は、2階や屋根を支える力が弱くなってしまうのではという心配も生じます。それはある意味で正しい理解です。しかしながら、これにも対処法があります。

 

3-1.アクセントとして柱を入れることも一考

リフォームのときによく用いられる手法として、壁は落としても柱は残すという方法があります。新築の家であってもこの手法を採用することがあります。リビングとダイニングとする部屋の間の壁のみを排除し、耐力上必要な柱を設けるのです。テーブルなどの作り付け家具と一体化させることで柱の存在感を消す工夫もでき、比較的取り組みやすい大空間のつくり方といえます。しかし、「柱があったら自由に子どもが走り回れない」「私が希望する本当の意味での大空間ではない」といったときには、別の方法を考えます。

 

3-2.木造であっても大空間をつくれる工法の検討

柱と柱の間に渡す梁の長さのことを「スパン」と呼びます。ロングスパンの建物といえば、体育館や商業施設など、RC造(鉄筋コンクリート構造・Reinforced Concrete Constructionの略)を思い起こすことでしょう。これを一般の木造住宅に応用したのが「SE構法」です。木のもつ温かみを保ちながら強度を担保する集成材を使用し、柱と梁を独特の金物で接合することで、筋交い(ブレース)や耐力壁が不要なロングスパンの建物を実現します。その実力は「車を3台入れることのできるビルトインガレージ」をも作れるほどで、9メートルの大開口を確保できます。
ビルや大規模建築物と同等の構造計算システム(国土交通大臣認定)でその強度を計算し、耐震性を数値で表すことが可能なSE構法の家は、大開口・大空間の間取りでも安心です。

 【実例紹介】大開口・大空間を手に入れた方たちの実例を見てください

「大きな窓、広い空間を木造で」と希望され、実際にその夢を手にした実例が多くあります。まずはその施工事例の写真を見てください。木の持つ温かみを感じさせながらも広々としているリビングやダイニングを一度目にしたら忘れられないのではないでしょうか。リビングダイニングで30帖、ホテルのような車寄せつきのエントランスホール、リビングの大きな窓から取り込む景色…。これらはすべて、SE構法だからこそ実現できた家です。

【大空間の可能性】

https://www.mokkotsu.com/special/201601_large-space

 

【大空間、大開口の施工例一覧】

https://www.mokkotsu.com/house_search/?andtag=1,2&

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